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2023年9月10日に札幌ドームで撮影された写真が公開された。

株式会社札幌ドームは2024年3月期の決算で過去最悪の6億5100万円の赤字を記録した。

プロ野球チームが移転して以来初の決算であり、移転の余波と運営上の苦境が浮き彫りになった。

会社は厳しい経営環境に直面し、改善策を模索している。

(要約)

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札幌ドーム=札幌市豊平区で2023年9月10日午後6時10分、谷口拓未撮影 

 

 札幌ドームを運営する札幌市の第三セクター「株式会社札幌ドーム」は21日、札幌市内で定時株主総会を開き、最終(当期)損益が過去最悪で6億5100万円の赤字となった2024年3月期決算を報告した。プロ野球・北海道日本ハムファイターズが北広島市へ本拠地を移転してから初めての決算だったが、赤字額は当初見込みの2倍以上となり、移転の余波の大きさと運営を巡る苦境が浮き彫りとなった。 

 

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 「長らく本拠地としていた日本ハムが23年春に新球場に移転し、大きな経営環境の変化が現実のものとなった。厳しく受け止め、反省している」。総会後に取材に応じた山川広行社長は表情をこわばらせた。 

 

 最終損益は前期比7億7100万円減。プロ野球の試合がなくなった影響で、売上高は01年度の開業以来最低の12億7100万円にとどまった。ソフトウエアなど固定資産を札幌市に寄付するなどした減損処理2億円を除いても、運営赤字は4億5000万円に上った。 

 

 23年度は当初から2億9400万円の赤字を見込んでいたが、それを上回った。赤字分は内部留保で補塡(ほてん)する。現行の指定管理期間となる27年度までは市の公金投入は求めないとした。 

 

 イベント開催日数は目標を下回り、プロ野球の穴埋めができない現状を露呈した。23年度は前年度比26日減の98日間。平日開催で苦戦し、年額2億5000万円以上の契約を目指した施設のネーミングライツ(命名権)協賛企業の応募もなかったことが響いた。 

 

 23年度はこのほかにも苦戦続きだった。最大5万人余を収容するドーム内を暗幕で二分し、2万人規模のイベントに対応して需要を喚起しようとした「新モード」を10億円かけて導入したが、初めての運用は9月だった。 

 

 年間で6日間の運用を目標に据えたが、実績は自主開催イベントを含めて3日間。在京の興行関係者は「2万人規模には届かないが、実績のある北海きたえーる(最大収容1万人)など、ほかの施設が選択肢になるのでは」と指摘する。 

 

 山川社長は「やろうとしたことが思うように進まなかった。平日開催は頭の痛いところ。広告と平日ナイターがなくなり収益を上げるのが難しい。平日にプロ野球をやれたらいいが、やらせてくれないのでね」とこぼした。 

 

 24年度については、イベント誘致に引き続き取り組み、年間のイベント開催日数は22年度並みの123日を目標に掲げた。命名権や広告枠の販売促進に取り組み、黒字化を目指すとしている。 

 

 「見通しが甘かったのでは」との指摘に対し、「見通しが甘かった、には抵抗がある。思惑通りいかなかったのは事実だが、挑んだことに変わりはない。その辺をカバーして24年度の黒字化を目指したい」と山川社長。日本ハムというにぎわいと収入をもたらす優良なコンテンツを失い、正念場を迎えている。【谷口拓未】 

 

 

 
 

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