( 183880 )  2024/06/24 02:05:17  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

2024年6月21日の記者会見において、岸田総理は年金世帯や低所得者世帯への追加の給付金を検討すると述べました。 

 

◆【年金一覧表を含む写真4枚】国民年金と、厚生年金の「月1万円未満~30万円以上の1万円刻みの受給権者数」をまとめて見る!2024年度の年金額改定も 

 

また、同会見では「酷暑乗り切り緊急支援」として8~10月分の3か月間で電気・ガス料金補助を行うとも表明しています。 

 

不安が叫ばれる年金ですが、国民年金の平均月額は5万円台、厚生年金でも14万円台となっており、今年度は増額されるも実質的には目減りとなっており、止まらぬ物価高の中では不安を感じる年金世帯も多いでしょう。 

 

今回は上記2つの対策について同会見を振り返りながら、国民年金と厚生年金の受給権者数を1万円刻みでみていきます。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」によれば、物価高から守る「二段構え」の対応の第一段のうちの一つとして、8~10月分の3か月分の電気・ガス料金補助を「酷暑乗り切り緊急支援」として行います。 

 

具体的な内容については早急に与党と調整するとのことですが、円安が続く今、エアコンなど電気代がかかる夏~秋における電気・ガス料金補助は助かるでしょう。 

 

また、第二段の対策の一つとして、物価高に苦しむ年金世帯や低所得者世帯を対象に追加の給付金が検討されるとのことです。 

 

なお、給付金については昨年は住民税非課税世帯や低所得世帯へ10万円給付が、また今年度は新たに住民税非課税世帯等となった世帯に10万円給付が決定されています。 

 

新たな追加給付金が検討されている年金世帯。 

 

年金への不安は高まっていますが、平均的な受給額はいくらでしょうか。 

 

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。 

 

●国民年金(老齢基礎年金)の受給額 

〈全体〉平均年金月額:5万6316円 

 

 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円 

 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円 

● 厚生年金の平均年金月額 

〈全体〉平均年金月額:14万3973円 

 

 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円 

 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円 

※国民年金部分を含む 

 

国民年金は月5万円台、厚生年金は月14万円台となっています。 

 

実際には年金受給額には個人差があり、加入状況や、厚生年金は収入に応じて納めた保険料により個人差が大きくあらわれるものです。 

 

国民年金と厚生年金について、1万円刻みで受給権者数も確認しましょう。 

 

●【国民年金一覧表】受給額ごとの人数(1万円刻み) 

 ・1万円未満:6万5660人 

 ・1万円以上~2万円未満:27万4330人 

 ・2万円以上~3万円未満:88万1065人 

 ・3万円以上~4万円未満:266万1520人 

 ・4万円以上~5万円未満:465万5774人 

 ・5万円以上~6万円未満:824万6178人 

 ・6万円以上~7万円未満:1484万7491人 

 ・7万円以上~:178万3609人 

●【厚生年金一覧表】受給額ごとの人数(1万円刻み) 

 

 ・1万円未満:6万1358人 

 ・1万円以上~2万円未満:1万5728人 

 ・2万円以上~3万円未満:5万4921人 

 ・3万円以上~4万円未満:9万5172人 

 ・4万円以上~5万円未満:10万2402人 

 ・5万円以上~6万円未満:15万2773人 

 ・6万円以上~7万円未満:41万1749人 

 ・7万円以上~8万円未満:68万7473人 

 ・8万円以上~9万円未満:92万8511人 

 ・9万円以上~10万円未満:112万3972人 

 ・10万円以上~11万円未満:112万7493人 

 ・11万円以上~12万円未満:103万4254人 

 ・12万円以上~13万円未満:94万5662人 

 ・13万円以上~14万円未満:92万5503人 

 ・14万円以上~15万円未満:95万3156人 

 ・15万円以上~16万円未満:99万4044人 

 ・16万円以上~17万円未満:104万730人 

 ・17万円以上~18万円未満:105万8410人 

 ・18万円以上~19万円未満:101万554人 

 ・19万円以上~20万円未満:90万9998人 

 ・20万円以上~21万円未満:75万9086人 

 ・21万円以上~22万円未満:56万9206人 

 ・22万円以上~23万円未満:38万3582人 

 ・23万円以上~24万円未満:25万3529人 

 ・24万円以上~25万円未満:16万6281人 

 ・25万円以上~26万円未満:10万2291人 

 ・26万円以上~27万円未満:5万9766人 

 ・27万円以上~28万円未満:3万3463人 

 ・28万円以上~29万円未満:1万5793人 

 ・29万円以上~30万円未満:7351人 

 ・30万円以上~:1万2490人 

※国民年金部分を含む 

 

上記も見てわかるとおり、個人差が大きい年金額。 

 

厚生年金の平均月額では、男性と女性でも約6万円の差がみられました。 

 

上記の1万円刻みの受給権者数をみると厚生年金のボリュームゾーンは「9~11万円台」、「15~20万円台」ですが、10万円未満の方も約250万人います。 

 

国民年金のみの夫婦であれば、平均額でも月約11万円。 

 

年金世代に多い厚生年金の夫と国民年金の妻の組み合わせでも、平均で月約22万円となります。 

 

年金だけでは生活が苦しく、物価高には対応しきれず貯蓄を切り崩すなどの世帯も少なくないでしょう。 

 

 

また、年金額は毎年度改訂されます。2024年度の年金額は以下の通り。 

 

●2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金):月額(前年度比) 

 ・国民年金(満額):6万8000円(+1750円)昭和31年4月1日以前生まれの方は月額 6万7808 円(+1758 円) 

 ・厚生年金※:23万483円(+6001円) 

※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。 

 

2024年度は物価高により増額となりましたが、マクロ経済スライドの調整により、実質的には目減りとなりました。 

 

令和6年度の参考指標となる、物価変動率は3.2%。 

 

ただし、物価変動率が名目手取り賃金変動率※を上回る場合、名目手取り賃金変動率を用いて年金額は改定されます。 

 

名目手取り賃金変動率は3.1%ですが、そこにマクロ経済スライドによるスライド調整が▲0.4%入り、年金額改定率は+2.7%となりました。 

 

物価変動率には達しないため、実質的には目減りといえます。 

 

※名目手取り賃金変動率とは、2年度前~4年度前までの3年度平均の実質賃金変動率に、前年の物価変動率と3年度前の可処分所得割合変化率(0.0%)を乗じたもの 

 

物価高は止まるところを知らず、帝国データバンクによれば値上げ品目は2022年で2万5768品目(値上げ率平均14%)、2023年で3万2396品目(値上げ率平均15%)、そして2024年は現段階で8269品目(予定含む。値上げ率平均17%)です※。 

 

※調査時点の食品上場105社のほか、全国展開を行う非上場食品90社を含めた主要195社の2022-24年価格改定計画(実施済みを含む)。なお、品目数は再値上げなど重複を含む。 

 

一方で、公的年金は物価高には対応しれず、少子高齢化の日本においては今後年金受給額が減る可能性も考えられるでしょう。 

 

今回のような社会情勢による急激な物価高においては、貯蓄や仕事による収入など個人や各家庭の日ごろの備えが必要な一方で、給付金による支援も必要と考えられます。 

 

「年金世帯」や「低所得者世帯」への追加給付金について、その詳しい対象者や内容については、引き続き今後の動向を確認していきましょう。 

 

 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 

 ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」 

 ・日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」 

 ・首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日 

 ・帝国データバンク「6月の食品値上げ 614 品目」 

 

宮野 茉莉子 

 

 

 
 

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