( 185885 )  2024/06/30 01:36:21  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

2024年6月より1年間実施される「定額減税」。この施策は年間4万円(所得税3万円・個人住民税1万円)を減税する経済施策のことであり、実際に皆さんの給与額(手取り額)にも変化があったことでしょう。 

 

◆◆【一覧表】これまで行われた”住民税非課税世帯等への給付金”まとめ。10万円だけでなく3万円~7万円というケースも 

 

定額減税の対象外となる「住民税非課税世帯」や「低所得世帯」には、しばしば給付金の支給行われています。 

 

2024年度もこうした世帯に対して10万円と子ども1人あたり5万円の支給が決定しました。さらに追加給付も検討されています。 

 

本記事では、対象となりやすい「住民税非課税世帯」について詳しく解説をしていきます。その他にも、高齢者の占める住民税非課税世帯の割合についても併せて触れていきたいと思います。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

2024(令和6)年度分の個人住民税において、新たに住民税非課税等となった世帯に対しても、1世帯当たり10万円が給付されます。 

 

●給付金の対象者 

 ・2024(令和6)年度分の個人住民税において、新たに、個人住民税均等割が非課税となった方のみで構成されることとなった世帯 

 ・2024(令和6)年度分の個人住民税において、新たに、個人住民税所得割が課されていない方のみで構成されることとなった世帯 

さらに、18歳以下の児童がいる場合は一人あたり5万円が追加で支給されます。 

 

「昨年と合わせて20万円以上の給付金がもらえる?」と思われたかもしれませんが、2023年度に本事業の対象となった方は対象外ですのでご注意ください。 

 

2023年度の支給を辞退した方も対象外です。 

 

コロナ禍以降、断続的に給付金の支給が行われていますが、こうした給付金の対象は主に「住民税非課税世帯」等に限定されることが多いです。 

 

では、そもそもどのような人が住民税非課税世帯に該当するのでしょうか。 

 

 

前年の所得をもとに住民税が決定されるため、所得が一定額を下回る場合、「住民税非課税」となるのです。 

 

また、生活保護受給者は必然的に住民税非課税世帯に該当します。 

 

では所得の目安はいくらなのでしょうか。参考までに、東京都23区内の例を確認しましょう。 

 

●住民税非課税世帯に該当する所得目安 

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方 

 

(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方 

 

(3) 前年中の合計所得金額が下記の方 

 

 ・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下 

 ・同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下 

例えば「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」の目安は所得45万円以下となります。 

 

●住民税非課税世帯に該当する年収目安 

所得45万円とは、年収に換算するといくらになるのでしょうか。給与所得者と年金受給者で目安が異なるので、それぞれで見ていきましょう。 

 

 ・アルバイトやパートの給与収入が100万円以下 

 ・65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下 

 ・65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下 

 ・不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下) 

給与収入であれば年収100万円以下で該当します。65歳以上の年金受給者であれば、年収155万円以下で該当するようですね。 

 

高齢者のほうが、住民税非課税世帯に該当しやすいといえます。政府は年金世帯へ追加の給付金を行うことも表明しました。 

 

参考までに、年金受給者の平均月額も確認しましょう。 

 

公的年金には20歳以上~60歳未満の誰もが加入する「国民年金」と、会社員や公務員等がその上乗せで加入する「厚生年金」があります。 

 

それぞれの平均受給月額は以下の通りです。 

 

●厚生年金の平均月額 

 ・〈全体〉平均年金月額:14万3973円 

 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円 

 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円 

※国民年金部分を含む 

 

全体平均は月14万円台ですが、男女別に見ると約6万円の差があります。 

 

これは女性の方が男性に比べて賃金が低いこと、育児や介護などライフイベントで働き方が変わりやすいことなどが理由と考えられます。 

 

●国民年金(老齢基礎年金)の平均月額 

 ・〈全体〉平均年金月額:5万6316円 

 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円 

 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円 

国民年金の平均月額は5万円台で男女差はありませんでした。 

 

国民年金しか受給していなければ住民税非課税世帯に該当するでしょう。 

 

厚生年金受給者で平均並みの年金が受け取れている人は、住民税非課税世帯には該当しないケースが多いです。 

 

最後に、「住民税非課税世帯」の割合を年代別で比較してみましょう。 

 

 

年代別の住民税非課税世帯の割合(全世帯に占める住民税非課税世帯の割合)について、厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」という資料から見ていきましょう。 

 

 ・30歳代:9.2% 

 ・40歳代:9.2% 

 ・50歳代:11.3% 

 ・60歳代:19.2% 

 ・70歳代:34.9% 

 ・80歳代:44.7% 

 

年齢を追うごとに、住民税非課税世帯の割合が増えていることがわかります。65歳以上(再掲)では35%が該当していることから、年金生活に入ると住民税非課税世帯に該当しやすいとうかがえます。 

 

住民税非課税世帯を母数とした場合、70~79歳が占める割合は37%、80歳以上が占める割合は29%となりました。やはり高齢者が多くを占めているようです。 

 

合わせて66%となることから、高齢者が多い実態がわかります。 

 

岸田総理は2024年6月21日の記者会見において、「秋に策定することを目指す経済対策の一環として講じる対策」の一環として、年金(生活)世帯や低所得者世帯に追加の給付金を支給することを明言しました。 

 

秋ごろの実施と考えられます。 

 

対象となる世帯の条件はまだ発表されていませんが、これまでの内容を踏まえると住民税非課税世帯は対象になる可能性が高いでしょう。 

 

年金世帯については、どこまでが対象になるのか注目が集まります。 

 

とはいえ、「非課税のほうが給付金がもらえてお得」とはいえません。物価上昇が続く中で、一時の給付金で生活費をすべて賄うのは難しいからです。 

 

特に公的年金の見込み額が少ないという方は、自分である程度の老後資金を作る必要があるでしょう。 

 

ここまで、「住民税非課税世帯」や給付金の最新情報について解説しました。「住民税非課税世帯」は住民税を支払わなくてもよいため、お金が少ない世帯にとっては良いことではあります。 

 

しかし、住民税が非課税になってもお金に余裕がない状態は続くものと考えられます。 

 

新NISAやiDeCoなどを取り入れて老後に向けた準備も重要ですが、「何歳までにいくら準備をするのか」「老後生活を送る上ではいくらお金が不足するのか」という計画を立てることも重要です。 

 

計画を立て、計画を達成するためにはどうすれば良いかを本記事をきっかけに考えてみてはいかがでしょうか。 

 

まずは下記の計算式にご自身の情報を当てはめて見ましょう。 

 

《老後資金の計算式》 

 

 ・(支出額-収入額)×12ヶ月×20年~25年- 現在の金融資産=老後に不足する金額 

今後、収入や支出、金融資産額などが異なってくる可能性があります。あくまでも、おおよその金額までしか把握することしかできませんが、金額を把握すれば明確な計画を立てることができ、実行できるでしょう。 

 

まずは「老後生活で不足する金額」から計算をしてみてはいかがでしょうか。 

 

 

住民税非課税世帯には、昨今さまざまな名称のもと「3万円・7万円・10万円」の給付が進んでいます。 

 

低所得の子育て世帯には追加で5万円の支給もありますし、秋ごろにはさらに追加の給付も見込まれています。 

 

手続きが必要なケースもあるので、最新情報はしっかり手に入れるようにしましょう。 

 

 ・東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」 

 ・総務省「個人住民税」 

 ・内閣府「物価・賃金・生活総合対策本部(第8回)議事次第」2023年3月22日 

 ・港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」 

 ・首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日 

 ・厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」 

 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 

 

長井 祐人 

 

 

 
 

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