( 186543 )  2024/07/02 01:52:07  
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厚生労働省の報告や統計データを元に、日本の現状における老後のお金事情について説明されています。

若い世代でも将来的に年金を受けられる可能性はあるが、年金だけでは生活がきついことが示唆されています。

高齢者の平均年金支給額と支出額が記載され、老後を生き抜くための選択肢として「老後も働くか」「年金の受給年齢を引き上げるか」が提示されています。

投資や資産運用の重要性が強調され、現実的かつ自助努力が重要であると述べられています。

(要約)

( 186545 )  2024/07/02 01:52:07  
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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

「下流老人」「老後破産」…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。老後に必要なお金、貯められていますか? 厚生労働省『令和4年 厚生年金保険・国民年金事業の概況』などとともに、働く日本人のお金事情について見ていきます。 

 

【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額 

 

年金破綻の不安について、厚生労働省は下記のように回答しています。 

 

“Q.少子高齢化が進行すると、若い世代の年金額は減ってしまうのではないでしょうか? 

 

A.年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証しており、令和元年の財政検証では、若い世代が将来受け取る年金は、経済成長と労働参加が進むケースでは、引き続き、将来の時点で働いている人々の賃金の50%を上回る見込みです。年金制度が破綻している、若い世代は年金を受け取れない、といったことは全くありません。”(厚生労働省HP『年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました』) 

 

……『2019(令和元)年財政検証結果レポート「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し」』では、経済成長率と労働参加の進み具合などから、6つのケースについて年金額をシミュレーションしています。ケース1~4までは実質経済成長率が「+0.2~0.9%」、ケース5が実質経済成長率「0.0%」、ケース6が実質経済成長率「-0.5%」です。 

 

「経済は成長し続けるもの」というのが通説ではありますが、コロナ感染拡大をはじめ、「まさかの事態」が起こりうることは、国民皆が痛感していることでしょう。 

 

実際、国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2001年454万円だった会社員の平均給与は、以降、ITバブルやリーマンショックなどにより、前年比マイナスを連発、2009年に405万9,000円にまで下落しています。 

 

その後、アベノミクスの効果もあり、平均給与は増加傾向になりますが、2019年は前年比99.0%で436万4,000円。20年で3.8%のマイナスを記録しています(関連記事『 夫婦の年金額「2040年に25万円、2060年に32万円」…国の試算に疑問符 』)。 

 

「年金制度が破綻している、若い世代は年金を受け取れない、といったことは全くありません」としながらも、厚労省HP『いっしょに検証!公的年金』には、思わぬ文言が記されていました。 

 

 

“賦課方式では、年金給付の財源は現役世代からの保険料が主なものとなります。しかし、このまま少子高齢化が進み、年金の給付に必要な額を現役世代からの保険料収入だけで用意しようとすると、収入が不足し、十分な年金給付を行えなくなる可能性があります” 

 

……未来の不安は尽きませんが、実際のところ、今の高齢者の方々はいくら年金をもらっているのか? 

 

 

厚生労働省『令和4年 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)受給者は3,598万人で、受給者平均年金は月額14万3,973円です。下記が年齢別の平均年金月額になります。 

 

【60代】 

 

60歳・・・9万4,853円 

 

61歳・・・9万1,675円 

 

62歳・・・6万1,942円 

 

63歳・・・6万4,514円 

 

64歳・・・7万9,536円 

 

65歳・・・14万3,504円 

 

66歳・・・14万6,891円 

 

67歳・・・14万5,757円 

 

68歳・・・14万3,898円 

 

69歳・・・14万1,881円 

 

【70代】 

 

70歳・・・14万1,350円 

 

71歳・・・14万212円 

 

72歳・・・14万2,013円 

 

73歳・・・14万5,203円 

 

74歳・・・14万4,865円 

 

75歳・・・14万4,523円 

 

76歳・・・14万4,407円 

 

77歳・・・14万6,518円 

 

78歳・・・14万7,166円 

 

79歳・・・15万8,877円 

 

【80代】 

 

80歳・・・15万1,109円 

 

81歳・・・15万3,337円 

 

82歳・・・15万5,885円 

 

83歳・・・15万7,324円 

 

84歳・・・15万8,939円 

 

85歳・・・15万9,289円 

 

86歳・・・15万9,900円 

 

87歳・・・16万732円 

 

88歳・・・16万535円 

 

89歳・・・15万9,453円 

 

厚生労働省『令和4年 年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)』によると、支出額(月額)の中央値は18.3万円となっています。構成割合をみると、「15~20万円」が19.5%と最も高く、次いで「20~25万円」が17.1%、「10~15万円」が16.7%となっています。65歳以上は年齢が高いほど平均支出額は低くなりますが、上記の数字を見るに、年金だけでは厳しい生活を迫られることは間違いないでしょう。 

 

老後を生き抜くために提示されている選択肢は、現状2つ。「老後も働くか」「年金の受給年齢を引き上げるか」です。高年齢者雇用安定法の改正をはじめ、双方の動きを国は強く推し進めています。 

 

あまりの窮状に、ベーシックインカム(国が全国民に現金を配る制度。フィンランドやドイツといった国々で導入されています)を求める声も高まってはいるものの、あまり現実的ではない、という意見も。投資信託をはじめ、長期的な資産運用を促す動きが高まっている今、「自助努力」という言葉の意味が改めて問われています。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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