( 187005 )  2024/07/03 14:44:47  
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デベロッパーとの癒着を断ち切れない小池都知事 

 

 神宮外苑、築地市場跡地、五輪選手村を改修した「晴海フラッグ」。東京都内で進められるこれら三つの「巨額再開発事業」を、同じ企業が主導している事実をご存じだろうか。都庁OB14人の天下りを受け入れる三井不動産グループと都の、「癒着の構図」とは――。 

 

【写真を見る】美脚を披露するキャスター時代の小池百合子氏(1992年) 

 

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「週刊新潮」7月4日号では、小池百合子都知事(71)がついぞメスを入れられなかった都の「暗部」、都庁OBの外郭団体への天下りの実態について詳報した。小池氏に尽くして出世すれば「東京地下鉄株式会社」(東京メトロ)社長などの天下り先が用意され、1500万円以上の年収が保障される。庶民感覚からかけ離れた「天下り天国」。それと同等、いやそれ以上に闇が深いのが、民間企業への天下りである。 

 

〈都幹部14人 三井不天下り〉 

 

 6月16日、そんな見出しで都庁OBの三井不動産グループ2社への天下りについて報じたのは「しんぶん赤旗」だ。記事によると都市整備局(旧都市計画局)元局長や同局元参事ら12人が三井不動産に、同局元所長ら2人が三井不動産レジデンシャルに天下っていたという。同社グループへの天下りが特に問題視されるのは、都の大型再開発事業を同社が複数主導しているからである。具体的には、神宮外苑、築地市場跡地、東京五輪・パラの選手村を改修した「晴海フラッグ」の三つだ。 

 

 まずは神宮外苑。ここで進められている「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事の4社である。老朽化が進む神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上でそれぞれ建て直し、新しい神宮球場の近くに三井不動産や伊藤忠商事が超高層ビルを建てる――というのが再開発計画の中身だ。 

 

 元都庁幹部の澤章氏はこう語る。 

 

「明治神宮外苑は都市公園で風致地区でもあるので元々、いろいろな規制がかかっています。その規制をかけているのが、都の都市整備局です。そこが神宮外苑の規制を取っ払う手続きをして、容積率をバーンと上げて、三井不動産などが高層ビルを建てて儲けられるようにお膳立てをしてきたわけです」 

 

 2022年8月には、再開発で建て替えられる新秩父宮ラグビー場を整備、運営する事業者を選ぶ一般競争入札が行われている。入札に臨んだのは以下の三つの企業グループだ。「楽天、清水建設、TBS」「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」「三菱地所、大成建設、電通」。選ばれたのは、「鹿島建設、三井不動産、東京ドーム」のグループだった。入札価格は清水建設のグループが約226億円、三菱地所のグループが約358億円だったのに対し、三井不動産のグループは1桁少ない約82億円だった。 

 

 この再開発の問題点を都議会で追及してき日本共産党の原田あきら都議が言う。 

 

「そもそも神宮外苑の再開発は、三井不動産が主導している事業です。その企業が、新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札していく。これほど怪しい話はありません」 

 

 出来レース。そう批判する声が聞こえてくるのも無理からぬことだが、やはり同様のささやき声が聞こえてくるのが、築地市場跡地の再開発事業「築地地区まちづくり事業」である。 

 

 

 築地市場跡地の再開発事業を担う事業者が発表されたのは今年4月19日。三井不動産を代表とし、読売新聞も名を連ねるグループと、アニメやゲーム中心の開発を掲げたグループが応募し、三井不動産のグループが選ばれた。 

 

「三井不動産のグループは計11社で構成されており、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店などのゼネコンだけではなく、トヨタ自動車まで名を連ねている。これに対抗できる企業グループを構成するのはほとんど不可能。そうしたこともあり、出来レースだという声が上がっているのです」(経済誌記者) 

 

 全国市民オンブズマン連絡会議幹事の清水勉弁護士はこう語る。 

 

「三井不動産は都庁OBを利用して都政をコントロールしようとしていると考えるのが当然ですし、癒着の疑念も生じます。都庁が『再就職だ』と言ってみても、何ら天下りの否定にはなっていません。この再就職にフリガナをふれば『あまくだり』ですよ」 

 

 先の原田都議が憤る。 

 

「三井不動産にとって都合の良い地区計画を都が作り、三井不動産が落札していくように見えますね。東京都はすごい勢いで土地や財産を三井不動産に差し出しているようなものです」 

 

 さらに「晴海フラッグ」再開発を巡っては、都有地を近隣基準地価の9割引きという、不当に安い価格で三井不動産などのデベロッパー11社に投げ売りしてしまった問題も――。7月4日発売の「週刊新潮」では、東京都と三井不動産の看過しがたい“癒着”、そしてここでも登場する森喜朗元総理の“役割”について、4ページにわたって報じている。 

 

「週刊新潮」2024年7月11日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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