( 187381 )  2024/07/04 15:40:14  
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お見合いにもマナーがある。初対面の席でエリート男性に対して彼女が思ったこととは……(写真:jumsica/PIXTA) 

 

お見合いをしても、“交際希望”をもらえず、通過率が悪い。そんな人たちは、お見合いでの言動に問題がある。 

仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて、苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、“自分では気づいていない、お見合いのときの失礼な言動”について述べる。 

 

【表で見る】気付かずやっていませんか?「お見合いで避けるべき言動」5つ 

 

■条件とリアルな本人のギャップ 

 

 お見合いは、それまでお互いのことを知らなかった男女が、サイトに登録されたプロフィールを見て、“この人なら、会ってみたい”と思い、申し込みをかけたり、申し込まれたお見合いを受諾したりする。 

 

 つまり、お見合いが成立した時点で、お互いに結婚相手の条件として“合格点”を出した人に会いに行くのだ。 

 

 条件では合格だったのに、お見合い後にお断りが来るのは、リアルな本人が不合格点だったからだ。 

 

 先日、かよこ(38歳、仮名)がお見合いしたのは、年収1500万円のエリート、さとる(42歳、仮名)だった。写真も好みのタイプだったので、かよこは、このお見合いにかなりの期待を抱いていた。 

 

 その日は、仕事を終えてからの夜のお見合いだった。 

 

 仕事が片付かず、思いのほか会社を出るのが遅くなってしまい、お見合いするティーラウンジには、ギリギリの到着になった。ティーラウンジに向かうと、入り口には、すでにさとるが立っていた。写真通りの素敵な男性だったので、心が躍った。 

 

 「はじめまして。さとるさんですよね」 

 

 さとるは、かよこを上から下までチラリと一瞥して、言った。 

 

 「席はすでに取ってあるので、行きましょう」 

 

 早めに来て席取りをしてくれていたようだ。かよこの中で、ますますさとるへの点数が上がった。 

 

■「写真と印象が違いますね」 

 

 しかし、好印象を抱いたのはここまでで、座って飲み物を頼み、お見合いがスタートすると、さとるが言った。 

 

 「なんだか写真と印象が違いますね。あの写真はよく撮れている」 

 

 “実物は見劣りする”と言われたようで、がよこは少しムッとしたが、とにかく1時間は大人の対応で乗り切ろうと思った。 

 

 「早めに来てお席を取っておいてくださって、ありがとうございました」 

 

 「ここのティーラウンジは、夜景が見えるから夜は、混雑するんですよ。婚活をしていると、都内のホテルのティーラウンジにも詳しくなっていきますよね」 

 

 

 ほかにもお見合いをしていることを匂わせる発言に、またもやムッと来たのだが、そこも受け流して、さとるをほめることに転じた。 

 

 「さとるさんは、好条件だし、お見合いのお申し込みもたくさんきているのでしょうね」 

 

 すると、さとるがさらりといった。 

 

 「そうですね。まあ、いろいろな方にお会いして、その中から決めていこうと思っています」 

 

 結婚相談所では、仮交際と真剣交際の区分があり、仮交際の期間中は何人と交際してもいいし、新しいお見合いをしてもいい。 

 

 さとるがたくさんのお見合いをしていることは、ルール違反ではないのだが、「たくさんの女性と会っていくなかで、結婚相手を決めたい」という言葉を聞いて、すでに自分は候補者から外された思いがした。 

 

 そこからもさとるは自分の話ばかりをして、かよこのことは何も聞いてこなかった。そうして、1時間弱のお見合いが終わった。 

 

 ラウンジから一緒にエレベーターに乗り、ホテルの出口に来ると、さとるが言った。 

 

 「雨が降っているし、次の約束があるので、僕はタクシーで行きます。では」 

 

 そうして、タクシー乗り場のほうに歩いていった。 

 

 お見合いを終えたかよこが、筆者に連絡を入れてきた。「すごく条件が良かったから、お金に目がくらんで期待して行ったけれど、とても自分勝手な方でした」。 

 

 「帰りのタクシーも、気の利く男性なら、『次の約束があって僕はタクシーを使うけれど、雨だから駅まで送りましょうか。一緒に乗って行きませんか?』と言ってくださいますよね。というか、私のことは見た瞬間にNGを出したんでしょうね」 

 

 そのうえで、「向こうからもお断りが来るでしょうけど、それよりも前に、私からのお断りを入れてください」と言った。 

 

 お見合いは、これからの人生を歩む相手を見つけるための大切な場だ。気に入らない相手が来たら不躾な態度を取り、気に入った相手だったら愛想をよく接する。 

 

 そんなふうに相手によって態度を変えるような人間は、付き合っていくうちに馬脚を現す。そんな人とは誰も結婚したいとは思わないはずだ。 

 

■お見合いでのNGな言動とは?  

 

 

 お見合いで避けるべき言動を以下にまとめてみた。 

 

 1. 無愛想。相手の目を見て会話ができない 

 

 待ち合わせ場所で会ったときに、自分の名前を名乗り、「初めまして」とあいさつをするのだが、このときに笑顔で明るくハキハキとあいさつできない人は、もうその第一印象で減点される。 

 

 「メラビアンの法則」をご存じだろうか。 

 

 人と人がコミュニケーションを取る際、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に伝わるという、心理学上の法則だ。視覚情報と聴覚情報を占める割合が圧倒的に多いので、「初めまして」という言語情報は、明るい声(聴覚情報)と笑顔(視覚情報)で伝えることが大切なのだ。 

 

 また、前出のさとるのように、「写真と印象が違いますね」などと、写真と本人のギャップを告げるのは御法度。 

 

 お見合い写真は、プロのカメラマンがきれいに撮り、修正をかけていることも多いので、実物が写真よりも劣るのはよくあること。言葉に出して言われた相手は、いい気持ちがしない。 

 

■「何人と会いましたか?」は× 

 

 2.婚活歴、婚活状況は話さない、聞かない 

 

 「どのくらい婚活しているんですか?」「何人と会いましたか?」「今、仮交際している人はいますか?」「真剣交際に入った人はいましたか?」など、相手の婚活歴を聞くのは、マナー違反だ。 

 

 また、さとるのように「(今は仮交際期間中だから)たくさんの人に会って、そこから結婚相手を決めたい」というように、自分の婚活状況を話すことも、相手にマイナスな印象を与える。 

 

 3.過去に会った相手の悪口を言わない 

 

 「以前お見合いした人(お付き合いした人)で、こんな最悪な人がいました」などと、過去の相手の悪口をお見合いの席で言うのもタブー。 

 

 また、再婚者だった場合、相手は、“なぜ離婚したのか”その理由が気になるところだが、別れた相手のことをひどくけなすのもよくない。夫婦が離婚に至るのは、どちらにも原因があるわけで、相手の非ばかり責め立てるのは、聞いているほうは気持ちがよくない。 

 

 

 さらに、死別だった場合、死んだパートナーを美化して話すと、未練があるように思われてしまう。 

 

 4.家族をほめる、けなす 

 

 お見合いの席で家族の話が出たら、それを話すのは自然な流れなのだが、このとき「家族とは仲がよくない」「両親の愛情を感じたことはない」などと、家族を悪く言うことは避けたほうがいい。 

 

 結婚は、入籍をすれば相手の家族ともつながることになる。家族との関係がうまくいっていないことを聞かされたら、相手は不安になるだけだ。 

 

 逆に、「家族仲がいい」のをアピールしすぎるのも、自立できていない印象を与える。 

 

 また「姉(妹)が、婚活を応援してくれている」「兄(弟)が言うことは、いつも正しい」というように、兄弟姉妹と仲がよく、その助言をよく聞いているといった話をするのも、相手に小姑舅(こじゅうと)の存在をチラつかせることになってしまう。 

 

■金の話は信頼関係ができてから 

 

 5.お金の話はしない 

 

 お見合いの席では、金銭に関する話はしないほうが無難だ。 

 

 シニアの婚活になると、男性側がお見合いの席で、貯金の額や資産、年金のことを細かく話し、「結婚しても金銭面の心配はない」ことを強調する人もいるのだが、これはマイナスでしかない。 

 

 お金の話は結婚生活において重要な事柄なのだが、それを話すのは相手との信頼関係が深まってからだ。 

 

 お見合いの場では、お互い仕事のこと、趣味や休みの日の過ごし方、将来のビジョンなど明るく話すことが望ましい。大切なのはネガティブ用語を使わずに、明るく楽しい雰囲気を作り出し、話の結論はいつもポジティブにすることも忘れてはいけない。 

 

鎌田 れい :仲人・ライター 

 

 

 
 

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