( 187791 )  2024/07/05 16:53:45  
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ベストカーWeb 

 

 運転マナーや交通違反が問題となっている自転車。そんな自転車に対して、2年以内に青切符の適用が可能になる道路交通法改正案が、今年5月に可決された! 

 

【画像ギャラリー】知らないとヤバイ!自転車が守らないと青&赤切符を切られる運転ルール(10枚) 

 

 青切符が切れることで取締りはどのように変わるのか!?日本の警察機関全体を統括・管理する警察庁、そして都内で実際に取り締まりを担当する警視庁に聞いてみた!! 

 

文/ベストカー編集部 

写真/Adobestock(トップ画像=xiaosan@Adobestock) 

 

 警察庁が公開しているデータによると、自転車の交通違反の検挙数は令和5年が4万4207件。平成26年が8070件だったので、10年間でその数は5倍に達していることがわかる。もちろん目に見える違反だけでこれだけあるので、検挙されない違反はさらに多い。 

 

 そんな状況に世論からも厳罰化の声が高まり、2024年3月5日、警察庁は道路交通法の一部改正をする法律案を国会提出。同年5月17日に国会で改正案が成立した。 

 

 改正案では、16歳以上の自転車等の運転者(学生も対象)が一定の違反行為をした場合、交通反則通告制度(青切符)の対象になるとのことだ。制度導入後の取り締まりイメージは以下のように感じだ。 

 

 ●交通反則通告制度(青切符) 

反則金を納付すれば起訴免除(16歳以上対象) 

・信号無視 

・指定場所一時不停止 

・通行区分違反 

・通行禁止違反 

・遮断踏切立ち入り 

・歩道における通行方向違反 

・制動装置不良自転車運転 

・携帯電話使用(ながら運転) 

・緊急自動車妨害 

・公安委員会遵守事項違反(傘さしなど) 

 

●告知票・免許証保管証(赤切符) 

起訴を見据えて捜査される 

・酒酔い運転 

・酒気帯び運転 

・携帯電話使用(危険を生じさせた場合) 

 

 項目のなかの公安委員会遵守事項とは何か?と疑問に思う人もいるかと思うが、これは各党道府県の公安委員会が定める「道路交通法施行細則」に記載されている。たとえば、東京都では「東京都道路交通規則」が定められており、第8条に次のような事項がある。自転車(軽車両)に適用されるものだけ抜き出してみた。 

 

 ●道路交通法施行細則(東京都) 

・前方にある車両が歩行者を横断させるため停止している時は、その後方にある車両は、一時停止し、または徐行して、その歩行者を安全に横断させること 

・傘をさす、物を担ぐ、視野を妨げたり安定を失ったりする方法で大型自動二輪車、普通自動二輪車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと 

・自転車を運転する時は、携帯電話用装置を手で保持して通話する、または画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと 

・カーオーディオを大音量にしたり、イヤホンなどで音楽を聞いたりするなど、運転に必要な交通に関する音が聞こえない状態で運転してはいけない(難聴者が補聴器を使用する場合などは除く) 

・クラクションが鳴らない自転車を運転してはいけない 

・バイクの後部座席に後ろ向きや横向きで乗ってはいけない 

・泥土の路外から舗装道路に入るときは、泥土を路面に落とさないよう確認して措置しなくてはならない 

 

 近年、街中で見かけるイヤホンをつけて運転する行為についても記載されており、東京都内などでは青切符の対象になるので注意が必要だ。 

 

 また、自転車でも、自動車と同じように右折レーンに進入して曲がっている人を見かけるが、違反なので改めてもらいたい。ちなみに警視庁が作成しているホームページ「自転車の交通ルール」では以下のように記載されている。 

 

 『自転車は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿って徐行しなければなりません(いわゆる二段階右折)。自転車の右折方法は交差点の大きさ(信号の有無、道路の広い狭い)や、交差点の形状(丁字型や十字型など)によって変わることはありませんので、どのような交差点であっても、二段階右折をしなければなりません』 

 

  

 

 

 この道路交通法の一部改正を受けて、警察庁、警視庁はどのように考えているのか?ベストカーでは両庁の広報担当部署に文書で質問状を送付、その見解を取材した。取材の回答については原文ママとしている。 

 

 [1]道路交通法の一部改正が可決・成立し、2年以内に施行されるとのことですが、一日でも早い施行を期待する声はありますか? 

 

【警察庁】 

自転車は非常に多くの方が手軽に利用している乗り物であり、新制度の施行に当たっては、制度内容の充分な周知が必要であることなどを踏まえて、改正法の公布の日から2年以内に施行することとしています。 

 

 [2]これまでの取締りよりも、頻度は多くなるのでしょうか?本気度がわからず、実効性を疑問視する声も少なからずあると思いますが、どのくらいのペースで取締りは行われるのでしょうか? 

 

【警察庁】 

現在、自転車の取締りは、自転車関連事故の発生状況や地域住民の取締りに関する要望などを踏まえ、自転車指導啓発重点地区・路線を中心に、悪質性・危険性の高い違反行為について検挙を行っているところであります。 

 

 具体的には、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合や、違反行為により他の交通主体に具体的な危険を生じさせた場合等に検挙を行っています。このような取締りの基本的な考え方は、交通反則通告制度の導入後も引き続き維持することとしています。 

 

 お尋ねの取締りの頻度や検問の有無についても、基本的には、事故の発生状況や地域住民などの要望を踏まえて検討していくこととなります。 

 

【警視庁】 

警視庁では、 信号無視や一時不停止をはじめとした悪質性・危険性の高い自転車に対する指導取締りを強化しているところですが、道路交通法の一部を改正する法律の施行を見据え 、引き続き指導取締りを推進していきます。 

 

 なお、指導取締りの頻度については回答を差し控えさせていただきます 。 

 

 [3]自転車は一般的な物でも20~30km/h出て、ロードバイクのようにより速度が出る車両もありますので、取締りは主に白バイ警官が担当するのでしょうか? 

 

【警視庁】 

指導取締りに当たっては、白バイや自転車を利用するほか、交通検問により実施する場合があります。 

 

 [4]現場の警察官としては、青切符を切ることができるようになると、これまでよりも自転車の取締りがしやすくなるのでしょうか?これまで自転車指導警告カードや赤切符による書類送検がありましたが、青切符で積極的に取り締まれるようになるのでしょうか? 

 

【警察庁】 

自転車を交通反則通告制度の対象とすることで、自転車の違反処理を合理的に行うことができるようになり、取締り現場での事務手続の負担軽減が図られると考えております。それにより、取締り現場において人的リソースが捻出されることとなりますが、これらのリソースは、自転車利用者に対する指導警告の充実に充てることにより、自転車の交通ルールの遵守を呼び掛けることとする予定です。 

 

【警視庁】 

青切符の適用により、取締現場における手続きの簡素化が図られ、拘束時間の短縮など、違反者の負担軽減が見込まれるほか、警察官の早期現場復帰が可能となり、これまで以上に事故抑止に資する効果的な交通街頭活動が実施できるものと考えています。 

 

 周知が必要ということで、施行は2年以内のギリギリのタイミングになりそうだが、実際に施行されれば、現場の警察官としては以前よりも積極的に違反を取締りやすくなるというのは、警察庁も警視庁も同意見のようだ。 

 

 本格施行はまだ先になりそうだが、先んじて今年11月から違反した際、免許センターでの講習命令が出される自転車の危険行為について、「酒気帯び運転」と「携帯電話の使用」の2種類を加えることで、最終調整に入っているとの情報もある。信号無視、通行禁止違反、遮断踏切の立ち入り、ブレーキの整備不良など従来の15の違反に、新たにこれらが加わるようになるそうだ。 

 

 講習は3時間、手数料として6000円がかかります。受講命令に従わない場合、5万円以下の罰金が科される。 

 

 誰でも乗れる乗り物ということで、これまであやふやになっていた部分が多い自転車のルールや法令遵守の問題。自動車ユーザーとしては、自転車だから何をやってもOKと勘違いした無法者が減ることを期待したいところだ。 

 

 

 
 

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