( 188176 )  2024/07/06 17:33:47  
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携帯キャリアショップで働く高田花さんは、カスタマーハラスメント(カスハラ)が問題となっている状況において、顧客からの迷惑行為や要求にさらされていると述べている。

顧客が急なタスクや性的なコンテンツを見せたり、暴言を吐いたりすることもある。

スマホの汚れや臭いにも悩まされ、客が警察に通報される事態も起こっている。

高田さんは、カスハラのない職場を作るべきだと訴えている。

(要約)

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大手キャリアの販売代理店で働いている高田さん 

 

 カスタマーハラスメント、通称カスハラの増加が社会問題化している。厚生労働省は対策を強化するため、企業に従業員保護を義務付ける方針で法整備を進めている最中だ。全国に7000店以上存在している携帯キャリアショップも、カスハラが発生しやすい現場の一つ。店員は顧客と1対1で、かつ長時間コミュニケーションを取る必要があるため、顧客からの迷惑行為を受けやすいという。 

 今回、都内の携帯ショップに5年間勤めているという高田花さん(仮名・20代)に話を聞いた。 

 

「キャリア変更などの業務が重なると、お客様をお待たせする時間が増えてしまう」という高田さん。説明事項が多い業務が続けば所要時間が増えるのは当然だ。ほとんどの人がおとなしく順番を待っているそうだが、待ち時間に対してクレームをぶつけられたこともあるという。 

 

「お客様の中には、いわゆる“機械に弱い”方が多くいらっしゃいます。そのような方々からすると、私たちがタブレットで業務を進めているのがさぼっているように見えるみたいで…『タブレットいじってるなら暇だろ!さっさと俺を案内しろ』と怒鳴られました。 

 

 後からいらっしゃった、電話で予約されている方を先に案内したら『電話すればいいのか』と言って、その場で店舗に電話をかけてきました。予約システムのこともわからない人に、機種変更などの説明をするのは本当に骨が折れます」 

 

 どの客を対応することになるかは運でしかない。「貧乏ゆすりをずっとしている人や、ぶつぶつ文句を言っている人がいたら『私のところに来ないで!』と祈っています」と高田さんは続ける。 

 

 一見、“普通の客”に見えたとしても油断はできない。 

 

「業務のため、お客様のスマホ内のデータを確認することがあります。お預かりしたスマホを見たら、待ち受け画面が卑猥な画像だったことが何度かありますね。あと、アルバムの中に大量の成人向けビデオや画像が入っていたり。 

 

 顔に出さないようにして業務を続けますが、本当に気持ち悪いです…実はわざとやっていて、私の反応を楽しんでるんじゃないかって疑ってしまいます」 

 

 スマホの中に何を保存するかは個人の自由ではあるが、見せられた方は堪らない。他にも「成人向けビデオを見たいからアプリを入れてくれ」など、本来の業務と関係のない無茶な要望を受けたこともあるという。 

 

 

 問題はスマホの“中身”だけにとどまらない。スマホが黄ばんでいたり、皮脂がベットリとついているのは珍しくなく、垢や体毛が挟まった状態で手渡されることもあるというから驚きだ。 

 

「もともと、新品の商品を扱う用でゴム手袋が常備されているのですが、汚いスマホを触るときにも着用するようになりました。同僚がゴム手袋をつけているのを見ると『あのお客様のスマホ汚いんだ…』ってわかりますね。 

 

 あと、スマホ自体が臭かったこともありました。たばこの臭いが染みついていて、むせ返りそうになりましたよ。お客様は自覚がないのか、飄々としていましたが」 

 

 どんな客が来店しても、店員は拒否することはできない。店内で客が暴れ、警察に通報したこともあるという。 

 

「カウンターを挟んだだけの距離で暴言を吐かれたりすると、強い恐怖を感じます。間に仕切りがあるわけでもないし『襲われてもおかしくないよね』って同僚と話したりもしました。 

 

 別にこの仕事ってリモートでもいいんじゃないかって思います。お客様から直接感謝の言葉をいただけるのはうれしいですが、それ以上に変な人が来た時に逃げられないことが怖いですね」 

 

 たしかにリモート接客になれば、直接暴言を吐かれることも、汚いスマホを触る必要もなくなるかもしれない。しかし、最も変えるべきは顧客の意識だ。誰もがカスハラのない職場で働ける未来をつくっていく必要がある。 

 

<取材・文/日刊SPA!取材班> 

 

日刊SPA! 

 

 

 
 

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