( 189538 ) 2024/07/10 16:40:09 0 00 ホンダが2025年に名車「スーパーカブ50」を含む50cc以下のバイクの生産を終了すると発表したこともあって、2025年11月以降に生産される原付一種を対象とした排ガス規制は大きな話題となりました。
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この排ガス規制によって、2025年11月以降、原付一種の生産ができなくなると言われています。
原付はエンジンも車体も比較的小柄であり、大排気量のバイクと比べても燃費が良いため、エコな乗り物であるということができます。
排ガス規制により、2025年11月以降、原付一種の生産ができなくなる
そんなエコな乗り物が、より大排気量のバイクを差し置いて生産終了に追い込まれるというのは、一見理解し難いことのように思えます。
では、なぜ原付は生産終了になってしまうのでしょうか。その理由は、排ガス規制の項目を見てみることで分かります。
今回の排ガス規制によって制限されているのは、二酸化炭素の排出量ではなく、一酸化炭素や炭化水素、窒素酸化物など。つまり、燃費がいくら良くても排ガスにこれらの有害物質が多く含まれていれば規制にひっかかってしまいます。
排ガスに含まれるこれらの有害物質を取り除くには、触媒が必要です。基本的に、現在新車販売されている全てのバイクに触媒がついています。
ただし、バイクに使用されている三元触媒と呼ばれるタイプの触媒は、排ガスに熱されて高温になることによって効果を発揮することができるようになります。
通常のバイクの場合、排気量が大きい分排熱も多く、触媒は比較的すぐに温まります。一方、排気量が小さいため排熱の少ない原付の場合、触媒が十分に温まりません。
そのため、原付の排ガスから有害物質を取り除くのは、そのほかのバイクと比べて困難です。
原付一種以外のバイクは、2022年から排ガス規制が施行されているにもかかわらず、多くの車種はそれをクリアしている
実際、原付一種以外のバイクに対しては、2022年から排ガス規制が施行されているにもかかわらず、多くの車種はそれをクリアし、2024年現在でも生産を継続しています。
また、「OBD Ⅱ」と呼ばれる、故障の自己診断装置の搭載が義務付けられていることもコストアップの要因となり、原付の販売によって利益を出すことはますます難しくなります。
原付は、学科試験のみで免許を取得することができ、クルマの免許を持っていれば追加の試験や手続きなどなしに乗ることのできる、便利な乗り物です。
原付に乗ってバイクの楽しさに気づき、普通二輪免許や大型二輪免許の取得を目指す人も少なくありません。原付は日常の足として便利な乗り物であると同時に、趣味としてのバイクの世界の入り口としての側面も持っていると言えるでしょう。
このような原付を、2025年11月以降新車で購入することができなくなるというのは、多くの人にとっての損失であると言えます。
そこで、警察庁は最高出力を5.4ps未満に抑えた排気量100cc~125ccのバイクを「新基準原付」として原付と同じ扱いにする方針を発表しました。
エンジンの排気量こそ原付二種クラスであるものの、出力が抑えられているため、実際の乗り心地は現在の原付と大きく変わることはなさそうです。
新基準原付として準備されているホンダ「スーパーカブ110」
125ccのエンジンであれば排ガス規制に対応することも非現実的ではありません。今まで何十年もの間原付が担っていた役割を、今後は新基準原付が担っていくことになるでしょう。
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50ccという、原動機としては最少クラスの排気量のエンジンを用いた日本ならではのバイクが、数十年の歴史に幕を下ろすのは寂しいことです。
しかし、もともとラインナップの多かった125ccモデルをベースに新基準原付が開発されることで、原付免許で乗れるバイクの幅が広がるのは喜ばしいことかもしれません。
どのようなモデルが新基準原付として発売されるかは発表されていませんが、今後の動向から目が離せません。
Peacock Blue K.K.
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