( 190478 )  2024/07/13 16:19:21  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

岸田総理は経済対策の一環として、年金生活世帯や低所得世帯に追加の給付金を支給することを明言しました(2024年6月21日記者会見)。 

 

◆【一覧表】住民税非課税世帯の「年代割合」を先に見る。高齢者が多いって本当?そもそも住民税非課税世帯になる年収目安はいくらなのか 

 

コロナ禍以降、主に住民税非課税世帯等を対象とした給付金が続いており、追加の支給に注目が集まります。物価上昇など日々の生活の変化がある中で、追加の給付とあれば大きな助けとなるでしょう。 

 

直近では、2024年度に新たに住民税非課税世帯などに該当した方に対し、10万円の支給も進められています。 

 

では、「住民税非課税世帯等」に該当するにも関わらず、2024年度の10万円給付の対象外となるケースにはどのようなものが考えられるのでしょうか。 

 

記事の後半では、2024年7月5日に公開された最新資料より、住民税非課税世帯の年代別割合も紹介します。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

政府は、年金世帯や低所得者世帯を対象とした「追加の給付金」を検討しはじめました。 

 

「物価高の中で食費の高騰などに苦しんでおられる年金(生活)世帯や低所得者世帯を対象として、追加の給付金で支援することを検討いたします。」としています。 

 

実施は秋ごろを予定しているとのことですが、具体的な対象者は未定です。 

 

これまでの動向を見ると、「住民税非課税世帯」「住民税の均等割のみ課税世帯」「家計急変世帯」などが対象となるケースが多く、所得制限の基準に注目が集まります。 

 

では、現在まさに行われている「住民税非課税世帯などへの10万円給付」について見ていきましょう。 

 

2024年度に新たに「住民税非課税世帯など」に該当した人へ、10万円給付が実施されています。 

 

早い自治体ではすでに支給済みのところもありますが、多くはこの7月~8月に受付・支給が行われる予定です。 

 

受給に該当すると思われる世帯に対しては、自治体から「お知らせ」や「確認書等」が届きます。 

 

オンライン申請や書類での受付など、自治体によって手続き方法が異なるので必ず確認するようにしましょう。 

 

原則として、今回の10万円給付の対象となるのは以下の世帯です。 

 

 ・世帯全員の2024年度住民税均等割が非課税である世帯 

 ・世帯全員が2024年度住民税均等割のみ課税者である世帯 

 ・2024年度住民税均等割のみ課税者と住民税均等割非課税者で構成される世帯 

※定額減税前の金額で判定されます。 

 

ただし、住民税非課税世帯であるにも関わらず「10万円給付」の対象外になることもあります。 

 

 

今回の10万円給付の対象となるのは、あくまでも「2024年度に新たに住民税非課税世帯等に該当した人」のみとなります。 

 

そのため、2023年度に同様の給付金を受け取った方は対象外となるので注意しましょう。 

 

2023年度には、住民税非課税世帯を対象として3万円・7万円の給付が行われたことにより、合計で10万円が支給されました。 

 

また、住民税の均等割のみ課税されている世帯にも10万円支給が行われ、話題となりました。 

 

こうした世帯は今回の給付金の対象外になります。 

 

なお、2023年度の給付金を「未申請・辞退」により受け取っていない場合でも、同様に対象外となる点にご注意ください。 

 

そもそも住民税非課税世帯とはどのような方が該当するのでしょうか。 

 

住民税は前年の所得をもとに決定されるので、もし所得が0円であれば住民税もかからない(=非課税)となります。 

 

例えば生活保護費や遺族年金などは所得にならないため、生活保護受給世帯や遺族年金で暮らす方などは該当するケースが多いでしょう。 

 

こちらに加え、所得が一定以下の場合でも住民税非課税世帯に該当します。 

 

所得要件は自治体によって異なるのですが、参考までに、東京23区内における条件を確認しましょう。 

 

●東京都23区内で「住民税非課税世帯」に該当する条件(所得等) 

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている方 

 

(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方 

 

(3) 前年中の合計所得金額が下記の方 

 

 ・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下 

 ・同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下 

例えば「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」の目安は所得45万円以下となっています。目安となる年収換算は以下の通りです。 

 

●住民税非課税世帯に該当する年収(港区のケース) 

東京都港区では、住民税非課税世帯に該当する年収として以下のとおり提示しています。 

 

 ・アルバイトやパートの給与収入が100万円以下 

 ・65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下 

 ・65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下 

 ・不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下) 

年金収入か給与収入かで、金額に大きな差があることがわかります。 

 

これにより、住民税非課税世帯には年金暮らしの方が該当しやすいと言えるでしょう。 

 

最後に、住民税非課税世帯の年代別割合も紹介します。 

 

 

ここからは年代別の住民税非課税世帯の割合を確認します。 

 

7月5日に公表された厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」によると、年代別の住民税非課税世帯の割合(全世帯に占める住民税非課税世帯の割合)は以下のとおりとなりました。 

 

 ・30歳代:12.0% 

 ・40歳代:10.0% 

 ・50歳代:13.6% 

 ・60歳代:21.7% 

 ・70歳代:35.9% 

 ・80歳代:52.5% 

 ・65歳以上(再掲):38.1% 

 ・75歳以上(再掲):49.1% 

年代が上がるごとに住民税非課税世帯の割合が増えており、65歳以上世帯では38.1%が住民税非課税世帯に該当します。 

 

高齢になるほど年金生活者が増え、収入そのものが低いこと。さらに、先述のとおり「所得45万円となる収入換算は年金の方が多い」「遺族年金は非課税」である点も、高齢者が多い要因と考えられるでしょう。 

 

年金収入だけでは生活が厳しい世帯も多いとわかります。 

 

ただし、あくまでも前年の収入により判定されるため、資産額は考慮されません。高齢者の中には資産形成に成功した人も含まれているため、給付に対して不満の声があがることもあります。 

 

今回、岸田総理から明言があったように、追加の給付金が検討され注目を集めています。 

 

対象となる世帯の年収や年代についても確認しましたが、その多くは高齢の方でした。老後になると現役時代のようにバリバリ働くことも難しくなり、年金に頼らざるを得ません。 

 

しかし、年金もそう多くをもらえるわけではないので、生活がままならないこともあるでしょう。そんな中の給付金ですので、より関心は高まります。今後の動きにも注目です。 

 

 ・東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」 

 ・総務省「個人住民税」 

 ・首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日 

 ・港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか」 

 ・厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」 

 ・首相官邸Instagram 

 ・江戸川区「令和6年度住民税非課税世帯等給付金(令和6年度新たに住民税非課税世帯等となる世帯への給付)」 

 

大庭 新太朗 

 

 

 
 

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