( 190813 ) 2024/07/14 17:04:48 0 00 Donald Trump is rushed offstage during a rally on July 13, 2024 in Butler, Pennsylvania.
（ブルームバーグ）： 11月の米大統領選でホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ前大統領が13日、ペンシルベニア州バトラーで集会に臨んでいた際に銃声が聞こえ、その後、トランプ氏は右耳を撃たれたと明らかにした。
恐怖の出来事を受けて大統領選のキャンペーンには動揺が広がり、政治的暴力を非難する超党派の声が上がった。
トランプ氏が負傷したほか、集会参加者１人が銃撃により死亡し、この他に参加者２人が重体となっている。シークレットサービスは声明で、高い位置から発砲した人物を射殺したと説明した。
複数のメディアはその後、連邦捜査局（ＦＢＩ）の声明を引用し、発砲した人物としてペンシルベニア州ベセルパーク出身の20歳の男、トーマス・マシュー・クルックス容疑者をＦＢＩが特定したと報じた。当局は事件を暗殺未遂と扱いつつも、動機の特定にはまだ至っていない。
トランプ氏の選挙陣営は声明で、同氏は「大丈夫だ」とし、15日からウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれる共和党全国大会に同氏が引き続き参加する計画だと発表した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、死亡した集会参加者の家族に哀悼の意を表するとともに、法執行当局者の対応に謝意を示した。
トランプ氏はその中で、「私の右耳の上部を銃弾が貫通した」とコメント。「ヒューという音、銃声が聞こえ、銃弾が皮膚を引き裂くのを感じ、何か悪いことが起きているのがすぐに分かった。大量の出血があり、何があったのか認識した」と説明した。
大統領選まで４カ月足らずのタイミングで突発した流血の混乱シーンは、近年の分断・過熱し緊張に満ちた米国の政治情勢に大きな反響をもたらすのは確実だ。
トランプ氏は共和党全国大会を前に、大統領選の激戦州の一つであるペンシルベニア州を訪れていた。同氏は副大統領候補を発表する準備をしている。
集会で大きなはじけるような音がした後、シークレットサービスが壇上に駆けつけ、身をかがめるよう叫ぶとともに、トランプ氏を囲んだ。その後、出血し、握りこぶしを上げるトランプ氏がステージからエスコートされる様子に、支持者からは歓声の声が上がった。同氏は現地の医療機関で検査を受けた後、13日夜に退院した。
バイデン大統領はデラウェア州で短い発言を行い、政治的暴力を非難。「われわれにはこのようなことがあってはならず、許すわけにはいかない」とし、「誰もが非難しなければならない」と述べた。
バイデン氏は事件を受けてトランプ氏と話すとともに、デラウェア州リホボスビーチでの週末の予定を早めに切り上げ、ホワイトハウスに戻った。バイデン氏の選挙陣営はテレビコマーシャルをできる限り早急に取り下げる作業を進めていると、陣営の担当者は明らかにした。
発砲が暗殺の企てかどうかの質問に対し、バイデン大統領は自分には意見があるが、評価をするための十分な事実がないと答えた。大統領は14日午前にワシントンで国土安全保障や法執行当局の担当者から最新情報の報告を受ける見通し。バイデン氏はペンシルベニア州のシャピロ知事（民主）や事件現場バトラーのダンドイ市長とも直接話した。
岸田首相ら外国首脳も政治的暴力非難
岸田文雄首相は14日、Ｘ（旧ツイッター）に「民主主義に挑戦する暴力には毅然（きぜん）と立ち向かわなければなりません。トランプ前大統領の一刻も早い回復をお祈りしています」とする投稿を寄せた。
このほか、スターマー英首相やカナダのトルドー首相、オーストラリアのアルバニージー首相といった先進各国の首脳に加え、ブラジルのルラ大統領やインドのモディ首相らからも、政治的暴力は決して容認されないとの投稿が相次いだ。
シークレットサービスは声明で、トランプ氏は無事であり、保護措置を講じたと発表した。ＦＢＩピッツバーグ事務所のケビン・ロジェック氏は早い段階で記者団に対し、銃撃の容疑者は身分を証明するものが見つかっておらず、情報分析官は「なぜこれが行われたのか動機」を調べていると語っていた。
一方、複数の捜査担当者が記者団に話したところによると、死傷した集会参加者はいずれも成人男性だという。
ガーランド司法長官によると、司法省の国家安全保障部門も捜査に協力している。
バトラー郡のゴールディンガー地方検事はＣＮＮに対し、発砲した人物がイベント会場の外にいたと語った。
事件があったのは米東部時間13日午後６時（日本時間14日午前７時）過ぎで、トランプ氏が壇上で演説を始めてからほんの数分後だった。
銃声が響いたのを受け、トランプ氏は手で耳に触れて身をかがめた。さらに複数の銃声が聞こえ、集会参加者から悲鳴が上がる中、警護の要員が身をていしてトランプ氏を守った。集会参加者は安全のため一斉に身を伏せた。
要員の１人がトランプ氏にエスコートの準備ができたことを知らせると、同氏は靴を履き直したいと答えた。
警護要員はその後、トランプ氏に頭部から出血していると伝えた。同氏は立ち上がって叫び始め、何度も握りこぶしを上げた。ステージを降りるトランプ氏に対し、聴衆は「ＵＳＡ！ ＵＳＡ！」と歓声が上がった。トランプ氏はスポーツタイプ多目的車（ＳＵＶ）に乗せられ、検査のため医療機関に搬送された。
民主・共和両党の議員は発砲事件に加え、セキュリティー上の不備がなかったか捜査や調査を求めている。下院監視・説明責任委員会のコマー委員長（共和）は、シークレットサービスに報告を求めて接触済みであり、シークレットサービス長官に公聴会出席を要請すると話した。
トーレス下院議員（民主）は、「大統領候補者の暗殺未遂に絡んだセキュリティー上の不備は捜査が必要だ」とＸに投稿した。
バイデン大統領は声明で、トランプ氏が「無事で元気」であると聞き、「感謝している」とコメント。「さらなる情報を待っているところで、私は彼とその家族、集会に参加していた全ての人々のために祈っている」とした。
また、「ジル（大統領夫人）と私は彼を安全に救出したシークレットサービスに感謝する。米国にはこうした暴力の場所はない。われわれは一つの国家として結束し、これを非難しなければならない」と強調した。
ホワイトハウスはバイデン大統領が、シークレットサービスのチートル長官やマヨルカス国土安全保障長官、シャーウッドランドール国土安全保障担当補佐官から報告を受けていると明らかにした。ザイエンツ大統領首席補佐官ら他の側近もブリーフィングに参加した。
集会には、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの最高経営責任者（ＣＥＯ）を務め、共和党の上院議員候補に転じたデービッド・マコーミック氏もいた。
マコーミック氏は連続して七つもしくは八つの銃声が聞こえ、自分の後ろにいた人物が撃たれたと述べた。
関連記事：
原題：Trump ‘Fine’ After Assassination Attempt, FBI Names Suspect (1)、World Leaders React After Trump Injured in Shooting at Rally（抜粋）
--取材協力：堀江広美.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Hadriana Lowenkron, Jennifer Jacobs
|
|
|