( 191758 ) 2024/07/17 15:40:41 0 00 枝野幸男氏
立憲民主党の前代表・枝野幸男氏(60)は2011年、内閣官房長官として東日本大震災に対処した。不眠不休の勤務実態からネット上では「枝野、寝ろ」が流行語となった。あれから13年が経過し、今のXには「枝野、永遠に寝ろ」とポストされている。すっかり“老害”扱いなのだ。
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その枝野氏が立民の代表選に出馬するとの報道が相次いでいる。現代表は泉健太氏(49)だが、任期満了に伴って9月に代表選が行われる予定だ。枝野氏は報道を否定しているため、少し丁寧に経緯を振り返ろう。
まず“泉退陣”の口火を切ったのは小沢一郎氏(82)だった。7月9日、記者団に「野党の共闘態勢を構築できる体制に変えなければ駄目だ。泉氏なら沈没だ」と批判。ちなみに産経新聞によると、「沈没じゃねえかよ」が正確な発言だったという(註)。
そして11日の午前5時、朝日新聞DIGITALが「枝野幸男前代表、立憲民主党代表選に立候補の意向 関係者に伝える」との記事を配信した。この報道に枝野氏はXに《記事のようなことはありません》と否定した。
だが同じ11日の午後5時21分、今度は時事通信が「立民・枝野氏、代表選出馬へ 赤松前副議長に意向伝達」との記事を配信した。これにも枝野氏はXで《朝に申し上げたとおりです。その「関係者」って誰? 》と否定した。
とはいえ、朝日の報道を枝野氏が否定しても、時事は同じ内容の記事を配信したわけだ。よほど報道内容に自信があると見るのが自然だろう。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「枝野さんが代表選に出馬するとの報道を目にした時、子供のいたずらである“膝カックン”をされたような感覚に襲われました」と言う。
「記事の《党内最大グループ「サンクチュアリ」の赤松広隆・元衆院副議長らと会談し、立候補の考えを伝えた》との記述も目を引きました。『サンクチュアリ』は旧社会党の左派グループに源泉を持つ、立憲民主党の最大勢力です。以前から私は立民の再建には“旧社会党色”の払拭が不可欠であり、党の方針は中道のやや右寄りに改めるべきだと提言し続けてきました。しかし報道が事実だとすると、枝野さんは『サンクチュアリ』に仁義を切ったわけです。本当ならあまりにも旧態依然としており、呆れるのを通り越して脱力感に襲われ、“膝カックン”の感覚に襲われたというわけです」
立民は東京都知事選で蓮舫氏(56)を全面支援したが、結果は3位と大惨敗に終わった。立民内部では敗因を「共産党と一体化したと有権者に判断され、票が逃げた」と分析していると多くのメディアが報じた。だが伊藤氏は「その分析は間違っています」と指摘する。
「共産党がはしゃぎすぎ、眉をひそめた有権者がいたのは事実でしょう。しかし蓮舫さんは自分が出馬すれば勝てると判断した、その甘さが最大の敗因です。過去の参院選における東京選挙区の得票数を見れば明らかでしょう。2010年で蓮舫さんは約171万票を取りましたが、16年は約112万票に落ち、22年は約67万票と半減以下になってしまいました。22年の時点で都民の有権者は相当数が蓮舫さんから離反していたのです」(同・伊藤氏)
興味深いのはNHKの世論調査における政党支持率だ。6月の時点で立民の支持率は9・5%に達していた。ところが7月7日に都知事選の投開票が行われ、その翌日の8日に発表された立民の支持率は5・2%と急降下。調査期間は7月5日から8日の3日間だった。
「蓮舫さんが立民の支持率を低下させたのは間違いないでしょう。有権者は以前から彼女を“オワコン”と考えており、立候補が発表された時点で立民に落胆したのです。もしも立民が共産に『自民のようにステレスで蓮舫を応援してください』と依頼し、共産が言うことを聞かなかったのなら敗因に挙げていいかもしれません。しかし実際のところ、立民は共産としっかりしたパイプを構築できていません。『表立った応援はやめて』と依頼できるような間柄ではなかったのです。立民の敗因分析は『なぜ蓮舫さんで勝てると思ったのか』、『他に候補者はいなかったのか』という点から始めるべきであり、あくまでも共産とは関係ない、“立憲の敗因”を明らかにする必要があります」(同・伊藤氏)
伊藤氏は立民による「真摯な敗因分析」が始まると思っていたという。ところが、いきなり「枝野氏、代表選出馬へ」の報道が飛び込んできたわけだ。
XなどのSNSを見ると、蓮舫氏の出馬だけでなく、応援演説を行った顔ぶれに落胆した有権者も相当な数に達していたようだ。何しろ野田佳彦氏(67)、辻元清美氏(64)、長妻昭氏(64)、安住淳氏(62)、福山哲郎氏(62)、そして枝野氏──と、かつての民主党政権の主要メンバーばかりなのだ。
「私は野田さんと辻元さんは、政治家として一定の評価ができると考えています。民主党政権に問題が多かったことは事実ですが、自民党が“口撃”するほどひどくはなかったとも思います。とはいえ蓮舫さんと同じように、小沢さんも野田さんも辻本さんも、かつて民主党政権を支えた国会議員は全員が“オワコン”でしょう。SNSに『人気のない蓮舫さんが都知事選に立候補し、それを民主党政権の悪夢を思い出す立民の政治家が応援している』という違和感が投稿されたとしても、当然のことではないでしょうか」(同・伊藤氏)
一方の自民党は「岸田下ろし」を加速させ、9月に想定される総裁選で刷新感のある新総裁が誕生できるよう、着々と準備を進めている──こんな報道が目立ってきた。相変わらず“昔の名前で出ています”の顔ぶれしか出てこない立民とは対照的だと言える。
「自民がしたたかな政党であり、立民はしたたかなところが全くない政党だということは私も認めます。とはいえ、自民は裏金事件で責任を全く取らず、総裁を変えればいいだろうと居直っており、国民を馬鹿にしています。都議補選で自民は2勝6敗に終わり、有権者は自民を全く許していないことが分かりました。ところが立民は自民を追い詰めてはいません。裏金事件という千載一遇のチャンスを自ら潰しつつあります」(同・伊藤氏)
これまで無党派層は自民より立民に投票することのほうが多かった。ところが今回、都知事選の出口調査を見ると、無党派層は立民が支援した蓮舫氏に票を投じなかったことが分かる。
「有権者は立民に『まずは強い野党になってほしい』と願ってきました。しかし、いつまで経っても実現できていないのですから、票が逃げるのも当然です。党内も迷走が顕著で、例えば小沢さんが泉さんを批判している理由の一つに“人事の恨み”があります。前回の代表選で泉さんは小沢さんに『勝てば選挙担当のポストに付ける』と約束したにもかかわらず、それを反故にしてしまったのです。つまり小沢さんの泉さんに対する批判は私怨も入っているわけです。小沢さんの『野党大連立』という構想も、自民との連立を狙っている維新が応じるはずもありません。ただの理想論です。もっと若返りを図り、自民を攻撃するだけのスタイルを改め、しっかりと政策を提案できる党に生まれ変わらなければ、有権者の信頼は取り戻せないと思います」(同・伊藤氏)
註:立民・小沢一郎氏、泉代表続投なら「沈没じゃねえかよ」 代表選の対抗馬擁立に意欲(産経新聞電子版:7月9日)
デイリー新潮編集部
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