( 192943 ) 2024/07/20 17:10:32 0 00 写真:LIMO [リーモ]
内閣府によると、65歳以上の68.5%が「経済的な心配はない」と回答したとのことです。
◆【円グラフ】70歳代・二人以上世帯の「貯蓄分布」と平均・中央値はいくら?(出所:金融広報中央委員会など)
筆者も毎日資産運用の相談を受けますが、20歳代の方でも将来のお金が心配だと相談に来られます。対照的に、今のシニア世代はそれほど余裕があるのでしょうか。
年金をたくさん受給できているから、あるいは今までの蓄えがあるからなのか、その理由が気になるところです。
今回は貯蓄や年金額のデータをもとに、今のシニア世代のお金事情を確認していきます。
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内閣府の最新資料「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の68.5%が「経済的な心配はない」と回答しました。
※「心配がない」とは、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」の計
・65~69歳:65.3% ・70~74歳:68.2% ・75~79歳:66.5% ・80歳以上:73.1% ・全体:68.5% 70歳以上でも6割以上となっており、80歳以上ではさらに増えるのが印象的です。
貯蓄を減らしながら生活するというのは、現役世代にとってなかなかイメージにしくいところではありますが、半数以上の方は不安を抱えずに過ごせているようですね。
では、実際に70歳代を迎えた人はどれほどの収入があり、どれほどの資産を保有しているのでしょうか。
まずは70歳代二人以上世帯の「貯蓄額」にせまります。
老後2000万円問題により、「老後資金は2000万円」と意識する方が増えました。
もちろん2000万円はひとつの目安にすぎないのですが、ここでは参考までに、70歳代・二人以上世帯の中で「貯蓄2000万円台」「2000万円超」の人がどれくらいいるのか見てみましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、「貯蓄2000万円台」の世帯は7.4%であることがわかりました。(金融資産を保有していない世帯を含む)。
●貯蓄2000万円台の割合 ・7.4% ●貯蓄2000万円以上の割合 ・27.1% ●貯蓄額平均と中央値 ・平均:1757万円 ・中央値:700万円 貯蓄2000万円台は7.4%で、貯蓄2000万円以上が27.1%となりました。しかし、金融資産を保有しないいわゆる「貯蓄ゼロ」世帯も19.2%います。
参考までに、60歳代の貯蓄平均は2026万円、中央値が700万円 。「貯蓄ゼロ」世帯は21.0%です。60歳代に比べ、70歳代は完全にリタイアした世帯の割合が高まっていると考えられます。
では、今の70歳代はどれほどの年金を受給できているのでしょうか。次章にて年金額についても見ていきましょう。
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70歳代の「厚生年金」は平均14万円台となりました。
ただしこれは、国民年金も含む金額です。
国民年金のみの場合とあわせてみていきましょう。
●70歳代の厚生年金の平均月額(国民年金を含む) ・70歳:14万1350円 ・71歳:14万212円 ・72歳:14万2013円 ・73歳:14万5203円 ・74歳:14万4865円 ・75歳:14万4523円 ・76歳:14万4407円 ・77歳:14万6518円 ・78歳:14万7166円 ・79歳:14万8877円 ●70歳代の国民年金の平均月額(70歳~79歳) ・70歳:5万7320円 ・71歳:5万7294円 ・72歳:5万7092円 ・73歳:5万6945円 ・74歳:5万6852円 ・75歳:5万6659円 ・76歳:5万6453円 ・77歳:5万6017円 ・78歳:5万5981円 ・79歳:5万5652円 国民年金のみであれば5万円台となるので、年金だけで生活するのは難しいと考える方が多いでしょう。厚生年金の上乗せがあっても、14万円台が平均となっています。
実際、年金だけで生活できている人はどれほどいるのでしょうか。最新資料から見ていきましょう。
2024年7月に公表された厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」から、公的年金・恩給の総所得に占める割合を見てみます。
公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯(年金収入だけで生活できている高齢者世帯)は41.7%に留まります。
・公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%:41.7% ・公的年金・恩給の総所得に占める割合が80%~100%未満:17.9% ・公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満:13.9% ・公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満:13.2% ・公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~60%未満:9.3% ・公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満:4.0% 残りは稼働所得や貯蓄の取り崩し、あるいは子世帯からの援助等で補っています。
経済的な心配がない世帯は、上記の41.7%に入るか、年金は十分でなくとも貯蓄が十分にある世帯とうかがえます。
稼働所得がある場合でも、いつまでも働けるわけではないことを意識し、備えている世帯が多いのではないでしょうか。
シニア世代の貯蓄や年金額を確認すると、70歳代の貯蓄額や年金額も個人差があることが分かりました。個人差があるため、必要な準備もそれぞれ違います。
ファイナンシャルプランナーである筆者が老後準備のコツを伝授します。
●老後の理想の生活を考える 準備をするにも老後生活でどれぐらいお金が必要かは知る必要があります。
「ゆとりをもって生活をしたい」のか。それならどれぐらい生活費がかかるのか。介護状態になればどれぐらいお金がかかるのか等をしっかりと知って準備をする必要があります。
●老後の収入源も確認 老後の大事な収入源である年金は、60歳で受給開始するのか、65歳なのか、70歳なのかで金額に違いがあります。
繰り上げて受給するメリット、繰り下げて受給するメリットがそれぞれあります。年金の受給が近づいてきたらそのあたりの確認も必要でしょう。
●何歳まで働くのか 働くシニア世代は増加しています。長く働くほど老後の生活は豊かになりますが、働くには気力も体力も必要です。
自身の身体とも相談して、そのあたりも老後を迎えるまえに考える必要があります。
しっかりと自身の状況・一般的な老後の生活などを確認し、準備することで老後を慌てることなく迎えられるかもしれません。
65歳以上の68.5%が「経済的な心配はありません」と回答する現代。しかし、若い人ほど老後に不安を抱えているものです。
長く働くことは一つの選択肢ですが、働き続けられる環境が保証されているわけではありません。また、できれば60歳代の間にリタイアしたいと考える方もいるでしょう。
老後を安心して迎えるには、老後資金の準備も欠かせません。
現役世代のうちに計画的に進めておきましょう。
・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」2024年7月5日
山本 大樹
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