( 193413 )  2024/07/22 01:01:36  
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石丸伸二氏(右)とインタビューした産経新聞の水内茂幸次長(酒井真大撮影) 

 

先の東京都知事選で2位に躍進した石丸伸二氏(41)。「マスメディアは当初から自らを取り上げてくれなかった」と批判するが、産経新聞を含む既存の新聞やテレビは、どう映ったのだろうか。都知事直後のテレビ出演で、質問者と厳しいやりとりを繰り返した真意など、さまざまな問いをぶつけた。 

 

【画像】都知事選で注目の石丸伸二氏をモチーフにした映画「掟」のポスター 

 

■糧にするにはなお時間 

 

ーー(メディア全般に広げていえば)、その究極の姿が、都知事選の開票番組のやり取りでもあったのか。質問者は特定の答えを短期間のうちにもらおうとして、しかも「こうだ」と最初から決めつけたうえで。 

 

石丸 実にマスメディアらしい反応が現出したなと感じた。テレビなどが、今回の事案を糧にするには、もうちょっと時間がかかるのだろう。 

 

「時間」とは、例えば石丸伸二が次に何かの選挙に出たときに、「はっ」と思うのだ。「まずい、あの時のあの対応を改めないと、次はしばきあげられるぞ」と。今はそう思っていないだろう。なんなら自分たちが「ああ、疲れた。あいつは本当にしようがない」となっている。忘れようとしている。 

 

でも、ここで身を改められなかったメディアは、次の選挙でやばいぐらい炎上する。そこが最後のトドメにもなる。「本当に終わってんなこいつら」と。 

 

だから今、実は「死刑宣告」が与えられたに等しいと思っている。この言葉はかなり苛烈だが、あえてそう言うのは、気づかないとまずいからだ。 

 

ーー自分の思い上がりの部分があり、それをマスメディアなりに強く押し付けたということか。 

 

石丸 最初から「こういう風にしたい」という思いが情報を発信する側にあるので、一次情報から二次情報のところで、とんでもなく屈折する。「それが危ない」と言い続けてきたのに、屈折させ続けているところをみると、「これは一度死なないと治らないのか」とさえ思う。 

 

ーーこちらはしつこくくらい下がっていこうとは思う。 

 

石丸 そういう意味では、危機感はすごく持っておられるだろうし、会社、新聞社であり、マスメディアをこれからも大事にしたいという思いがあるのだろうと感じたので、今日はお話ししたいと思った。職業人として、そこはすごく、勝手に共感している。 

 

ーー産経が大事にしている主張は崩してはならないし、大切にするからこそ、それを見てくれる人がいる。その反面、今の情報の受け取り方の変化や、さまざまな形で情報を流す人が増えているなかで、われわれが変わらなければならない面もある。試行錯誤の途中だ。 

 

 

■既存政党、新規開拓なければ維持不可能 

 

ーーきょうは既存政党の話も聞きたい。今回の都知事選では、小池百合子氏の後ろには自民党と公明党がいて、公明党の後ろには(支持母体として)創価学会がいた。蓮舫氏の後ろには立憲民主党と共産党がいた。以前は、これらの基礎票だけを積み上げれば、単純に獲得票が予想された。マスメディアはそういう基準で、中心的に取り上げる人を選んだ面があった。SNSが発達した現在、その色に染まっているマスメディアを飛び越えて、(SNSを通じて)話を聞いている人が増えてくると、事態は変わるのではないか。例えば、ある業界に務めている人が上司に「ここに投票しろ」といわれたから投票するような構図が剥がれているのではないか。これが石丸さんが2位になった原因とも思う。 

 

石丸 指摘の通りだ。国政の代理戦争を「バカみたいなこと」といったのは、(政党が)全部支持されていないからだ。世論調査の支持率にあるように。既存政党は早く気付いてほしい。 

 

別になくなってほしいとも、潰そうとも思わないのだが、早く気づいて軌道修正していかないと、自滅するだけだ。自民だけの問題でなく、どこもそうだ。他も超低空飛行ではないか。唯一変わらないのが共産の支持率ぐらいだ。あそこも支持層が高齢化して、だんだん、組織としては弱くなっていく。 

 

そのとき、新規開拓していく気概がないと、結果、維持できないのでないか。 

 

政治においては特に、アップデートを急がなければいけない。そうでないと、日本という国がこれからどうなるかわからない。国際競争ではもう負け始めている。他の国より政治がしっかりしていて当然なのに、そうでない。民主主義の弱い部分が出てしまっていることを考えると、急がなければいけない。(聞き手 水内茂幸) 

 

 

 
 

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