( 194293 )  2024/07/24 16:49:17  
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中国の習近平国家主席 Photo/gettyimages 

 

バイデン大統領が21日、大統領選の撤退を表明した。バイデン氏は、ハリス副大統領を後任の大統領候補に指名するということだ。 

 

【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 

 

しかし、銃撃事件を逆手に勢いを増すトランプ氏が、再び大統領となる可能性が高まっている。トランプ氏が復権すれば、前回以上に中国に対し苛烈な「関税戦争」を仕掛けてくることだろう。 

 

一方、中国では習近平国家主席が3期目を超えてトップの座に留まるのではないかという観測が広がっている。 

 

長期的な経済政策を定める中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第3回全体会議」(三中全会)で、2029年までに改革の任務を完成させるという目標が示されたからだ。2029年は建国80年にあたるが、習氏の3期目の任期は27年までだ。この新しい目標が、習氏4期目の布石と見られている。 

 

トランプ氏と習近平氏という相性の悪すぎる二人が、米中の二大大国のトップとして少なくとも2029年まで君臨する――。日本や世界にとっても難しい局面を迎えるわけだが、より深刻なのは中国の長期停滞が一層現実味を帯びることだろう。 

 

とりわけ、トランプ氏が大統領に再任されれば、中国の頼みの綱である輸出への影響は必至だ。 

 

スイスの投資銀行UBSは7月16日「トランプ氏が当選後に公言したとおり中国からの輸入品に60%の関税を課せば、中国の国内総生産(GDP)は2.5%と現在の半分にまで減少する」との分析結果を示した。 

 

グローバリゼーションの恩恵を長年享受してきた中国だが、「今は昔」だ。 

 

国際通貨基金(IMF)によれば、新興国市場への資金流入は好調だが、中国だけ例外だ。海外からの中国への直接投資が激減しており、今年上半期は前年比29.1%減の4989億元(約10兆円)にとどまっている。 

 

このため、中国政府は内需主導の経済運営を目指さなければならなくなっている。だが、肝心の個人消費は冷え込むばかりだ。 

 

中国政府の指示に従い、銀行が預金金利を引き下げているのにもかかわらず、6月の小売売上高は前年比2%増と1年半ぶりの低い伸びになるなど、個人消費は一向に盛り上がってこない。むしろ、将来のリスクを回避するための債務返済を優先する姿勢が目立っている(7月18日付ロイター)。 

 

企業金融の分野でも同様の傾向が生じている。 

 

 

国内経済は火の車…Photo/gettyimages 

 

この状況は1990年代前半に不動産バブルが崩壊した日本を彷彿とさせる。筆者は「中国もバランスシート不況に陥ってしまったのではないか」と危惧している。 

 

バランスシート不況とは、不動産バブル崩壊で景気が極端に悪化した局面で家計や民間企業がバランスシートの修復(投資や消費よりも負債の圧縮を優先)に動くため、かえって景気後退が長期化する現象のことを指す。 

 

これから中国社会は深刻な長期停滞を経験することになりかねず、すでにその兆候は随所に現れている。 

 

その中身については、後編『中国の「親ガチャ化」に深圳のホームレスは何を思うか…習近平「4期目の布石」で、ついにネットで広がりはじめた「反逆の言葉」』でじっくりと解説していこう。 

 

藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー) 

 

 

 
 

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