( 194932 ) 2024/07/26 15:56:03 0 00 五輪マークが掲げられたエッフェル塔を背に記念撮影する観光客=17日(沢野貴信撮影)
五輪の日本国内での経済波及効果が薄れてきている。第一生命経済研究所のエコノミスト予想では、パリ大会の消費押し上げ効果は2016年のリオ大会を下回る見通しだ。海外プロスポーツの日本人選手の活躍が日常化した現在、多くの国民の興味はドジャースの大谷翔平選手を中心とした米大リーグ(MLB)や海外プロサッカーなどに移る。五輪の個人競技を仲間と集まり観戦するような熱は感じられにくく、ネット視聴の普及もあり、以前ほどの需要創出は見込めない。
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第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストの試算では、パリ五輪による国内の消費押し上げ効果(7~9月)は2560億円で、一部を除いて無観客開催だった東京大会(2021年)の2476億円は上回るものの、リオ大会(16年)の2621億円は下回る見通しだ。
五輪開催で押し上げられる消費の分野では、観戦するためのテレビの買い替えやパブリックビューイング開催による飲食関連、観戦ツアーなどが見込まれる。だが、関連消費の多くを占めるテレビの買い替えは期待が薄い。「五輪の競技の多くをネットで無料視聴でき、若者を中心にスマートフォンで観戦する人が増えたためで、五輪が買い替えを促す動機にならなくなった」(永浜氏)という。
現在は多くの海外プロスポーツがネットで配信され、五輪以外で海外での日本人選手の活躍を容易に視聴できるようになったことで、「五輪の特別感が薄れたことも経済波及効果を縮小させた」(永浜氏)。
また、今回のパリ大会では、サッカーやバスケットボールなどの人気競技は、日本時間未明の開催が多いことも国内消費にとってマイナスの要因となりそうだ。飲食をしながら観戦を楽しむスポーツバーの売上高や、ビールや宅配料理といった自宅観戦のお供となる商品の需要を拡大させる材料は乏しい。
一方で、五輪観戦ツアーの需要は堅調だ。JTBが販売した高級ホテルに宿泊でき、開会式や競技を観戦できる6泊7日のツアーは、1人約410万円と高額だが、完売した。歴史的な円安で旅費は高騰しているにも関わらず、観戦ツアーの売り上げは伸びているという。(西村利也)
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