( 194980 )  2024/07/26 16:55:30  
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2023年度の国の税収が過去最高の72兆761億円で、この中でドライバーによる自動車関連の税金は約9兆円に上る。

しかし、ドライバーたちはこの高い税金に負担を感じており、実際に負担感が増していることがアンケート調査から示されている。

日本の自動車税は海外と比べても高いと指摘されており、特に自動車税の重課措置に関して問題があると批判されている。

環境配慮が目的とされている重課措置についても、実際には新車への転換が環境に対してどの程度有益なのか疑問視されている。

特に地方の高齢者など特定のグループにとっては、重課措置が不適切であるとの指摘もあるが、これに対してまだ改善がなされていないとの報告がある。

(要約)

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photo by iStock 

 

財務省は7月3日、2023年度の国の税収が72兆761億円だったと発表した。この数字は過去最高で、かれこれ4年連続更新し続けている。 

 

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そんな日本政府の財布の厚さに、大きな貢献をしているのが全国のドライバーだ。クルマに関わる税金は全部で9種類。ここから毎年約9兆円もの税収が得られるという。 

 

しかし、このような状況でドライバーが苦しくないわけがない。 

 

ロードサービスでお馴染みの日本自動車連盟(JAF)が2023年に実施したアンケート調査によれば、「自動車に係る税金をどのように感じますか?」という問いに「負担に感じる」と答えた回答者は98.4%。ほぼ、100%と言っても差し支えないだろう。 

 

さらに注目すべきは回答者が感じている負担の度合いだ。「非常に負担に感じる」と答えた回答者の割合は66.5%で、同じ質問をした2021年のアンケート時より5%も上昇している。ドライバーたちの負担は増し続けているのだ。 

 

日本の自動車税制のおかしさを長年訴えてきたJAFの担当者は、「日本のクルマに課せられている税金は海外と比べても突出して高い」と指摘する。 

 

「車体の取得と保有にかかる税金を、日本と海外4カ国で比べてみるとかなりの差があります。例えば、排気量が2000cc、重量1.5t、燃費値21.4km、車体価格269万円のクルマを13年間使用した場合、日本では約90万円の税金を支払わなければなりません。この額は、アメリカの29倍、フランスの13倍、ドイツの5倍、そしてフランスの1.9倍です。世界的にも極めて過重な税負担であることは間違いありません」 

 

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毎年5月が訪れるとドライバーは憂鬱になる。自動車税の納付書が送られてくるからだ。そして恐ろしいことに、この税金には重課措置が設けられている。登録から13年を超えるガソリン車と11年を超えるディーゼル車は、税額が約15%増すのだ。 

 

例えば、1.5L超~2.0L以下のエンジンを搭載したガソリン車を2019年9月末までに登録していた場合、通常の税額は3万9500円。それが登録から13年を経過するだけで、4万5400円に跳ね上がる。 

 

13年超の軽自動車に至ってはさらに露骨だ。7200円の軽自動車税が、約1.8倍の1万2900円になってしまう(2015年3月31日以前の届け出の場合)。 

 

こうした自動車税のあり方について、自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏は首を傾げる。 

 

「自動車税は、クルマという財産の所有に対して課される税金です。財産税の一種であり、本来は価値の高い資産により多く課される。しかしクルマは古くなるほど価値が下がります。 

 

例えば、13年以上前に登録された乗用車だったら、売っても数千円の価値にしかならないケースもあるでしょう。それなのにドライバーは割増された数万円の自動車税を毎年納めなければいけない。むしろ時間の経過に伴い、車両の価値が下がった度合いに応じて課税額を下げなければおかしいくらいです」 

 

そもそも自動車税の重過措置は、環境への配慮が目的とされている。古いクルマは燃費が悪く、二酸化炭素を多く排出する。だから税額に差をつけて、環境性能に優れた低燃費車に乗り換えてもらおうというわけだ。 

 

とはいえ、新車への乗り換えが本当に環境のためになるのだろうか。もちろん、同じ排気量で比べれば、いまのクルマのほうが燃費は良くなっている。ただ、13年以上前の軽自動車から普通乗用車に乗り換えるケースではそうなるとは限らない。 

 

 

「2009年に発売されたスズキの7代目アルトは、計測方法の古い10・15モード燃費ではありますが、燃費性能は24.5km/Lでした。WLTCモードという最新の方法で測定したとしても、20km/L近くにはなるでしょう。 

 

一方で環境性能が良いとされるハイブリッド車であっても、燃費が12km/L前後に留まるクルマもあります。こうしたクルマは減税されるのに、『古い』という理由だけで燃費性能の高い軽自動車が増税される。これは矛盾以外の何物でもありません。 

 

それに、環境性能に優れたクルマに買い替えたとしても、製造や流通の段階で二酸化炭素は必ず排出されます。それでも環境性能の高い新車に乗り換えるほうがエコなのか。これまで裏付けるようなデータは出てきていません」(渡辺氏) 

 

また、登録から13年を超えたクルマにやむなく乗り続けているケースもある。代表的なのが地方に住む高齢者だ。 

 

「地方ではどこへ行くにもクルマが必須です。こうした地域では年金暮らしの高齢者が古いクルマに乗っているケースが珍しくない。たとえ新車に乗り換えたいと思っていても余裕がないため購入できないのです。 

 

しかし、政府はそのような状況などお構いなしに、重課措置として割増の自動車税を徴収している。特に古い軽自動車などの増税は、福祉の観点から考えてもおかしいと思います」(渡辺氏) 

 

冒頭で紹介したJAFのアンケートによれば、約80%のドライバーが自動車税の重課措置に反対している。実際、JAFはこうした声を政府に届け、改善を求めているがいまだに何も変わらないという。 

 

つづく記事『ちょっと待て...「日本のクルマに課される税金の多くは課税根拠がない...?」さらなる《ウワサの新税》導入で全国民が味わう「ヤバすぎる苦しみ」』では、クルマの税金のさらなる問題点と検討中との見方が強い“新税”が国民全体にもたらす影響について解説する。 

 

週刊現代(講談社・月曜・金曜発売) 

 

 

 
 

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