( 198289 )  2024/08/04 16:45:44  
00

パビリオンの建設工事が進む大阪・関西万博の会場(6月、大阪市此花区の夢洲で、読売ヘリから)=中原正純撮影 

 

 2025年大阪・関西万博会場の北側で整備されているカジノを中核とした統合型リゾート(IR)を巡り、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)幹部が、騒音や景観悪化を懸念し、万博期間中の工事中断を大阪府・市に求めていることがわかった。府と市は、IRの開業が遅れる恐れがあるとして慎重姿勢を示しており、調整が難航しているという。 

 

IR予定地 

 

 万博は、大阪湾の人工島・夢洲(大阪市此花区)で、来年4月から半年間、開催される。会場北側のIR用地では、30年秋頃の開業を目指し、IR事業者が昨年末から液状化対策工事を始めた。国が昨年4月に認定した整備計画によると、今夏に仮囲いなどの準備工事に入り、来春に建物本体の建設工事に着手する。 

 

 関係者によると、府と市は最近になって、万博協会の要請を受け、IR用地でクレーンが並ぶなど工事のイメージ図を提供。万博期間中に唯一、工事を進める工区が会場から最も近いこともわかり、万博協会会長の十倉雅和・経団連会長や博覧会国際事務局(BIE、パリ)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長らが、景観悪化などに懸念を示しているという。 

 

 7月25日には吉村洋文知事が、十倉氏と東京都内で面会し、IRの工事に理解を求めたが、折り合わなかったという。 

 

 BIEの担当者は読売新聞の取材に対し、「(万博の)来場者の体験に悪影響を及ぼす可能性があり、期間中は全ての建設活動が停止されることを期待している」と回答した。 

 

 府・市と事業者が締結した実施協定には、26年9月までIR事業者側が違約金なしで撤退できる「解除権」が盛り込まれており、万博期間中に工事を止めてIRの開業が遅れれば、事業者が撤退するリスクがある。このため、府と市はIRの工事区域を塀で覆うなどの対策を取った上で、そのまま工事を進める方針を変えていないが、吉村知事と大阪市の横山英幸市長、IR事業者は近く、対応を協議するという。 

 

 府市幹部は「IRの整備計画は国の認定も受けており、万博期間中に工事をするというのは以前から説明していた」と主張する。 

 

 

 
 

IMAGE