( 198429 )  2024/08/05 00:41:16  
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自民党選対会議であいさつする岸田文雄首相(左)=7月25日午後、党本部(春名中撮影) 

 

岸田文雄首相(自民党総裁)は9月の自民総裁選に再選を目指して出馬するか断念するか、中央アジア訪問後の今月半ば以降に決めるとみられる。決断に影響を与えそうなのが麻生太郎副総裁と森山裕総務会長の動向だ。首相は党内の一部から「選挙の顔にならない」と撤退圧力を受ける。麻生、森山両氏の支持も離れれば外堀が埋まりかねず、2人と面会を重ね、連携強化を図っている。 

 

首相は2日午後に約1時間、党本部で麻生氏と会談し、党内情勢について話し合った。その6時間後の夜には、石川県出張から帰京した直後の森山氏を約1時間公邸に招いた。「誰が総裁選に出る意向なのだろうか」と質問するなど、総裁選の情勢も話題になった。ただ、首相自身の進退には言及しなかった。 

 

首相は麻生氏と7月25日にも党本部で約50分間、森山氏とは翌26日に官邸で約30分間、2人きりで会っている。総裁の座を狙う茂木敏充幹事長との関係が冷え込む中、麻生、森山両氏との関係強化が際立つ。 

 

■派閥を残した麻生氏 

 

麻生氏は今や党内唯一の派閥領袖(りょうしゅう)だ。パーティー収入不記載事件を受け、岸田派を皮切りに多くの派閥が解散を表明したが、麻生氏は麻生派を存続させ、同派50数人のうち一定数を動かせる。首相は再選のため、自身の旗振りに反した麻生氏に傾斜している。 

 

岸田政権発足以来の首相の後ろ盾の麻生氏は、防衛費増額や反撃能力の保有を例に「安倍(晋三)内閣ではできなかったが、岸田になったら1年でできた」と手腕を認めてきた。 

 

4~6月、不記載事件の関係議員処分や改正政治資金規正法の法案修正を巡る首相の対応に麻生氏が不満を抱き、溝が生じた。ただ最近は再び首相を評価することがあり、周辺は「首相を担ぐのでは」とみる。 

 

とはいえ、各種世論調査では首相の続投を望まない声が多い。来年改選を迎える参院議員の一人は「首相に引導を渡せるのは麻生さんしかいない」と語る。 

 

■相談相手の森山氏 

 

 

森山氏は7月26日の記者会見で次期総裁に求める資質を問われ、「国際情勢への理解」と「デフレからの脱却」を挙げた。国民人気を最優先する党内の風潮とは一線を画し、首相の再選支持も選択肢のようだ。 

 

党内で岸田降ろしが表面化した6月には、周囲に「国際情勢がこれだけ大変な時に、岸田首相以上に世界の首脳に顔が利く日本の政治家はいない」と語った。党三役である限り総裁を支える責任があるとも強調している。 

 

首相は政権初期、森山氏を非主流派として扱ったが、じきに「誠実に働いてくれる仕事師」(首相周辺)として頼った。不記載議員処分や改正規正法修正で党内の意見が割れた際、最も相談し、意見を聞き入れた相手は森山氏だった。 

 

この重鎮2人以外に、首相の再選のため自民議員らとの調整を担える実力者はあまり見当たらない。バイデン米大統領はペロシ元下院議長ら民主党重鎮の支持が離れて外堀が埋まり、選挙戦撤退を決断した。(田中一世) 

 

 

 
 

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