( 198799 )  2024/08/06 01:55:17  
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終値4451円安となった日経平均株価=5日午後、東京都中央区(三尾郁恵撮影) 

 

5日の日経平均株価が「ブラックマンデー」を超える過去最大の下落幅を記録した。米国の景気減速懸念が強まり、世界中に株安が連鎖している。中でも日経平均の下落率は12・4%と突出。日銀の植田和男総裁が利上げに積極的な「タカ派」と化し、円高を引き起こした「植田ショック」も日本株の重しとなっている。 

 

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■安全資産に資金流入 

 

「過去のリセッション(景気後退)でみられた過剰投資がみられない。現段階での景気後退入りの可能性は低い」。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは米国経済の現状をこう分析する。足元の金融市場の反応はやや過剰で景気への影響は限定的とみる。 

 

8月1~2日に発表された米国の経済指標が、雇用や製造業の景況感の悪化を示す内容だったことで、投資家心理は急速に冷え込んだ。アジアや欧州の主要市場でも株価は大幅に下落し、世界同時株安の様相を呈する。 

 

投資家が株式などのリスク性の資産の代わりに目を向けるのが、日米の国債を始めとする比較的安全とされる資産だ。この影響で、日本の長期金利も5日は一時、約4カ月ぶりの低水準(債券価格は上昇)した。 

 

一方、外国為替市場では円高ドル安が急速に進む。7月の金融政策を決める会合で、日銀が追加の利上げ、米FRBが9月の利下げ開始に前向きな姿勢を示したためだ。相対的な魅力が低下していくドルを売り、円を買う動きが強まっている。 

 

■円安・株高基調終焉か 

 

市場では、米FRBが景気刺激のため、年内に3回連続で利下げするとの見方が強まる。9月に通常よりも大幅な利下げを行う可能性も取り沙汰される。 

 

米国が利下げを急ぎ、日銀が追加の利上げを進めていけば、それだけ円高傾向は強まりやすい。日本の輸出関連株や訪日需要に沸く内需株には逆風となる。 

 

日本株の急落について、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「世界的な物価高騰の下でも維持された日銀の異例の金融緩和が生んだ〝円安・株高バブル〟の崩壊が背景にある」と語り、さらに下値を探る展開も予想する。(永田岳彦) 

 

 

 
 

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