( 198929 )  2024/08/06 15:55:41  
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武見厚労相 

 

 武見敬三厚労相は8月2日の閣議後の記者会見で、自身の政治資金パーティーを7月に開いたことを明らかにした。大臣規範は「大規模なパーティーの自粛」を定めているが、これについては「盛大にやったわけではない」とし、抵触しない旨を説明した。が、自民党派閥の裏金問題に司直のメスが入った直後というタイミングもあり、理解を得るのはかなり難しそうだ。 

 

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 都内のホテルで行われた政治資金パーティーの会費は通常通り2万円。出席は数百人規模とのことだが、パーティー券はそれ以上が購入しているのが常で、2000万円ほどの収入を得た可能性がある。 

 

「大規模なパーティーの自粛を求める大臣規範は2001年に閣議決定されました。が、“大規模”の定義はありません。武見氏は会見で大臣規範に抵触しない旨を説明したうえで、開催理由について、“私の事務所の金庫は7月中旬で全く空になることになっていた。背に腹は代えられなかった”と言っていたようです」 

 

 と、政治部デスク。 

 

 政治資金パーティーと聞けば自民党派閥の裏金問題がよみがえるご時世だ。 

 

「パーティー券を売った際の収入が裏金になり、それが摘発されたわけで、その記憶がまだ新しい中で政治資金パーティーを重要閣僚が開いたことに“驚きを禁じ得ない”といった反応が多くありました。武見氏は“事務所が破産宣言をしなきゃいけないぐらいの状況であった”と開催理由を説明していましたが、それについても“まぁ懐事情が苦しいところはどこも同じで理解できなくもないけど、それを言ったらおしまいでは?”といった感想が聞こえてきましたね」(同) 

 

「理解できなくもないけど……」のあたりをもう少し説明してもらうと、 

 

「四半世紀前くらいまでは、私設秘書を多く抱えて、秘書同士が相手の名前を知らないくらいだったなんてことがありましたが、今はそういう時代でもない。なんだかんだとカネが必要だってことはあるんでしょうが、昔ながらの永田町の常識を押し付けるような発言を重要閣僚がするのはどうかと思うといったリアクションでしたね」(同) 

 

 

 武見氏は日本医師会長を長年務めた武見太郎氏を父に持つ自民党厚労族のベテラン。自身は医師免許を持たないが、世界保健機関の親善大使なども務めた経験を持つ。永田町では日本医師会をはじめ、医療界とのつながりが深い人物との評価で、実際にその界隈からの献金が多くを占める。 

 

 昨年11月に行われた閣僚の資産公開では、【土地】4832万円【建物】1878万円【預貯金】4991万円【有価証券】NTT1万200株、北海道ガス7500株、ツムラ2250株、三井住友トラスト・ホールディングス311株、湘南ベルマーレ4株、国債1200万円、公社債1200万円【ゴルフ会員権】1口【自動車】3台、といった内容だった。あくまでも配偶者を含めた個人資産のレベルだが、これを踏まえると、武見氏が発した「破産」という言葉に拒絶反応を示す国民も少なからずいることだろう。 

 

「武見氏は参院の東京京都選挙区の選出で、過去に落選を経験し、直近の選挙でも最下位当選で得票率は10%未満。つまり“選挙に弱い議員”の典型です。その分カネもかかってきたのでしょうが、来年改選を迎えるにあたり出馬せず引退することがかねてささやかれてきました。もともと、そんな立場の人物を重要閣僚に起用する岸田文雄首相のセンスが疑われたものですが、武見氏が所属する派閥ボスの麻生太郎自民党副総裁に気を遣った結果だったのかもしれません」(同) 

 

 破産という言葉はいかにも大袈裟だと感じられたが……。 

 

「そうですね。どちらかというと、自身が大臣であり、かつ国会議員である間にパーティーを開いておきたかったという思いが募っていたのではないかとの見方もありますね」(同) 

 

 麻生派は他と違って派閥を解消していない。派閥とカネの問題にやや無頓着なところもあったのだろうか。いずれにせよ閣僚の任命権者であり、9月の総裁選で再選を目指す岸田首相にとっては悩ましい振る舞いだったことだろう。 

 

デイリー新潮編集部 

 

新潮社 

 

 

 
 

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