( 200619 )  2024/08/11 15:26:31  
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金メダルのやり投げ・北口と銅メダルのゴルフ・松山。報奨金の額は逆転が?(写真・時事通信) 

 

 パリ五輪ではメダルラッシュに沸く日本。最終盤の大会18日目には、陸上の女子やり投げで北口榛花が金メダルに輝き、五輪の日本女子フィールド種目では史上初のメダル獲得を成し遂げた。日本勢のメダルは金18個、銀12個、銅13個で国別メダル数は6位につけている(8月11日現在)。メダルを獲得した選手たちには、その栄誉をたたえて日本オリンピック委員会(JOC)から報奨金が贈られるが、それとは別に各競技の団体から報奨金が出ることもある。メダリストはどれほどの金額を手にするのか。 

 

【詳細リスト】柔道0円、体操50万円、バドミントン1000万円…そしてゴルフはさらに高い! こんなに違う「金メダルの報奨金」 

 

 まず、JOCからは金メダルを獲得した選手に500万円、銀メダルで200万円、銅メダルで100万円が贈られる。これはどの競技でも変わらない。 

 

 今回、JOCから大きな額の報奨金を手にすることになったのが、体操の岡慎之助だ。初出場ながら団体総合、個人総合、種目別鉄棒の3冠に輝き、種目別の平行棒でも銅メダルを獲得した。JOCからは金メダル3個で1500万円、これに銅メダル1個の100万円を合わせて1600万円の報奨金を手にすることになった。加えて、日本体操協会からも報奨金が支払われる。スポーツ紙デスクが言う。 

 

「日本体操協会は国際試合でメダルを獲得した選手に報奨金を支払うが、競技会のランクによって報奨金の額が変わる。Aランクの五輪は金で50万円、銀は30万円、銅は20万円が支払われる。岡選手は金3個で150万円、銅1個で20万円の計170万円となります。JOCの報奨金も含めて1770万円を手にするわけです」 

 

 こうした競技ごとの報奨金については、各競技団体の“懐具合”によって額に差が出ている。最も報奨金を多く設定しているのがゴルフ。日本ゴルフ協会によれば、金メダルを獲得すれば2000万円、銀メダルは1000万円、銅メダルは600万円の報奨金が支払われるという。 

 

 男子ゴルフで銅メダルを獲得した松山英樹には、JOCからの100万円と日本ゴルフ協会からの600万円の計700万円が支払われる。最終ラウンドまで首位争いに絡んだ女子ゴルフの山下美夢有は4位に終わったが、金メダル獲得なら2500万円の報奨金が出て、メダル4個の岡慎之助を上回るところだった。 

 

 ゴルフに次いで報奨金が多いのは卓球とバトミントン。卓球はシングルス、バトミントンは個人に限定されているが、金メダルには1000万円、銀メダル500万円、銅メダル300万円が支払われる。卓球女子シングルスでは早田ひなが銅メダルを獲得して、JOCの報奨金と合わせて400万円を手にしたが、女子団体で獲得した銀メダルについては日本卓球協会の報奨金の対象とはならなかった。 

 

 

 続いて高額なのは7人制ラグビーで、金メダル500万円、銀メダル450万円、銅メダル400万円の報奨金が用意されたが、男子は12位で終わり、女子はリオ五輪と東京五輪の成績を上回るも9位。男女ともにメダルに手が届かず、報奨金を手にすることもなかった。競技ごとに異なる報奨金事情について、前出・スポーツ紙デスクが続ける。 

 

「東京五輪では金メダルに2000万円を贈った日本陸連だったが、今回は緊縮財政で金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円と大減額となった。もちろんその影響というわけではないだろうが、東京五輪で日本勢が銀・銅を獲得した男子20km競歩で今回はメダルなしの結果となった。女子やり投げの北口榛花は東京五輪での12位からパリでは金メダルに躍進したが、報奨金は東京で金を獲った場合より1700万円少ない格好です。 

 

 パリ五輪の新競技・ブレイキンでは女子の湯浅亜実が金メダルを獲得したが、金メダルには300万円の報奨金が用意されていた。JOCの報奨金と合わせて800万円に。男子複合決勝で安楽宙斗が銀メダルを獲得したスポーツクライミングも報奨金の設定はブレイキンと同額で、金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円になっていた」 

 

 そうした一方で、日本でメジャーとされる競技やメダル獲得の“常連”の競技で、報奨金が出ない例もある。 

 

「ニッポンのお家芸といわれる柔道は競技独自の報奨金がないし、今大会こそ不調だったがメダル常連の水泳もない。スケートボードは財源がないとして報奨金は用意されていない」(同前) 

 

 パリ五輪のスケートボードは、男子ストリートの堀米雄斗が2大会連続の金メダル、女子ストリートでは吉沢恋が金、赤間凛音が銀、そして女子パークでは開心那が2大会連続の銀メダルを獲得する快進撃を見せたが、JOCからのもの以外の報奨金はゼロというわけだ。 

 

 

 当然ながら日の丸を背負って五輪に出場している選手は報奨金が目当てではないだろうが、海外では報奨金で人生が変わるケースも少なくない。スポーツジャーナリストが言う。 

 

「北朝鮮では金メダルを獲得すれば国家の英雄。他とは別格の扱いになる。成績に応じて賞金や自動車、高級住宅などが国から贈られ、朝鮮労働党員の身分にもなれるとされている。引退後も社会的指導者となるなど安泰に。もちろん敗者は逆に厳しい待遇となるリスクがあり、まさに人生をかけた戦いとなる」 

 

 パリ五輪では、男子として初の金メダルをフィリピンにもたらした体操選手への報奨金が話題になった。床と跳馬で金メダルを獲得したカルロス・ユーロに対し、フィリピン政府と国会下院から報奨金1600万ペソ(4000万円)が支払われるほか、免税や生涯年金の優遇処置がとられる。不動産会社からは高級コンドミニアムが贈られ、大手飲食店から生涯食べ放題の権利や病院から内視鏡検査が一生無償などの褒賞が与えられるという。 

 

“メダルの価値”は、様々なところで変わってくるようだ。 

 

 

 
 

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