( 200924 )  2024/08/12 15:43:02  
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黒船なき令和の日本で、革命なき安逸の日々のなかで、激烈な政権交代は起きるのか? 

 

しかし、いま変わらなければ――かならず日本は、沈む! 

 

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百戦錬磨の戦略家、橋下徹(55歳)。時代を見定め、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔的リアリズム、それが「政権変容論」だ。橋下氏は言う。 

 

「『政権変容』が劇的に新しいのは、自民党がどうであろうと関係なく、野党が腹を括って決断しさえすれば次の総選挙で実現できるところです」 

 

2024年の選挙から、グレートリセットは始まるのだ。 

 

7月19日発売の最新刊『政権変容論』(講談社刊)から、特別に内容を抜粋してお届けしていこう。 

 

『政権変容論』連載第20回 

 

『夜の料亭で「根回し」ばかり...政権交代を狙わない野党に、大阪維新で「攻めの選挙」を戦った橋下徹が”いま”求めることとは?​』より続く 

 

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―「政権変容」とその先の「政権交代」を実現するためには何をすべきか。それをより深く理解するために、ここからは過去の政権交代を検証していきます。 

 

93年の政権交代は「乱世型政権交代」として、今と状況が似ている気がします。 

 

当時は、自民党と社会党による自社体制に対する不満が世の中に充満していた。今は、自民党と公明党による、自公体制への不満が高まっている。ところが、その不満の受け皿になりうる強力な野党が存在しない、という状況が共通している。 

 

とにかく野党第一党の立憲民主党や第二党の維新が頼りない。そんななか、れいわ新選組を筆頭に、参政党や作家の百田尚樹さんの日本保守党など、新しい政党がいくつか誕生しています。彼ら彼女らに唯一共通するのは、「既存政党に対する不満」です。 

 

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橋下この新党が乱立する様子は、極めて日本らしいとも言えます。これだけ多様な価値観が並存する社会で、政治権力に対しても好き放題に言える国というのは世界の中でも少数です。さすが八百万の神を奉じてきただけのことはある。 

 

候補者も自分が訴えたいことを自由に言えるし、有権者も権力者に何でも言える。一人一人が、自分の「推し」政党を持てる多様性は素晴らしいと思います。 

 

―しかし今回は、そうした新党ブームの後に政権交代が成った30年前のように、政権交代が成立する可能性は低いと、橋下さんは言います。 

 

橋下状況が似ているからと言って、同じことが繰り返されるという見立ては甘いと思います。現実的な政権交代という観点では、30年前と現在では決定的な違いがある。それは有権者の意識の違いです。 

 

今の国民は「いくら与党がダメでも、野党にも任せられない」と経験で学んでしまった。細川政権しかり、民主党政権しかり。「与党崩壊型」で、「与党はもうダメだ」「ならば野党しかない」と投票した結果どうなったかを、国民はしっかり記憶している。 

 

 

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細川政権は1年と持たず、民主党政権もわずか3年で瓦解した。その結果、自民党が返り咲いて長期政権が再開した。 

 

あれほど舌鋒鋭く与党を批判していた野党も、いざ自分たちが政権を担えば、理想と現実が違うと分かり、慣れぬ政権運営に四苦八苦した挙げ句に尻すぼみに。国民は振り回され、「どれだけ自民が不人気に陥っても、野党よりマシ」という実感を得てしまった。 

 

そうした「野党不信」は今も続いています。たとえば政治とカネ問題がちょうど炸裂していた2024年2月前半に時事通信社が行った世論調査では、岸田内閣支持率は16.9%と当然ながら急落していた。危険水域とされる20%をはるかに下回り、不支持率は60.4%。しかしここまで政権与党がグダグダになっても、野党の支持率は伸びていなかった。立憲民主党4.1%、公明党3.6%、日本維新の会3.3%、共産党2.4%、国民民主党0.4%……。 

 

つまり、どれほど自民党の信頼が地に落ちても、野党への信頼が自動的に浮上するわけではない。このままでは「政権交代」は見えてきません。 

 

では、どうすればいいか。焦点となるのは、6割を超える「支持政党なし」の無党派層です。「自民も嫌だが、野党もダメ」と判断している層の関心を、どれだけ惹きつけられるか、それが政治の変化を実現するためのカギとなります。 

 

橋下 徹(元大阪府知事・元大阪市長) 

 

 

 
 

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