( 201339 )  2024/08/13 17:20:02  
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日本が活力を取り戻すためには、学校教育を解体・変革しなくてはいけない……。そう語るのは、新刊『ホリエモンのニッポン改造論』を発表した堀江貴文氏だ。なかでも「オンライン授業」の導入は、あらゆる面においてメリットしかないという。ホリエモンが思い描く、新たな学校のカタチとは? 存分に語ってもらった。 

 

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私が考える新時代の教育改革は、「教師不足」「教師の質の低下」という難題にも、鮮やかな解決策を提供できるだろう。 

 

教師不足は年々ひどくなっている。2023年4月の文部科学省アンケートでは、43%の自治体が「教師不足は1年前より悪化」したと答えている。一時期、東京都内の公立小学校では教師不足を補うため、やむなくハローワークに求人を出したことさえあった。 

 

だからといって、一部に動きがあるように、教員試験のハードルを下げるのは論外である。いくら教師不足といっても、力不足の教師を増やしては“教師ガチャ”でハズレを引く不幸な子どもが増えるだけ。何の解決にもならないばかりか害悪である。 

 

こんな時代に、あえて教師になるとしたら、そうとう高いモチベーションが必要だ。時間外労働や休日労働は当たり前、安月給のうえに公立校では残業代もろくろく支払われない。いくら残業をしても、給与のわずか4%の教職調整額が支払われるだけである。 

 

そのうえ、昔は「聖職」とまで呼ばれた教師の職業柄、同じ人間なのに、とりわけ清廉潔白であることが求められる。そんな窮屈で不自由な生活を強いられながら教師を続けるには、よほどの意欲と志がなくてはならない。 

 

しかし、教師にまつわる難題を強い意欲と志で乗り越えろと言われても、多くの人にとっては無理な相談だろう。要するに、教師不足は起こるべくして起きているのだ。 

 

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さて、ここまで私は教師不足、教師不足と連呼してきたが、前の記事〈堀江貴文「できる子・できない子を1クラスに閉じ込めるのが間違い」…学校という“檻”から子どもたちを解放する方法〉ですでに解決策を示してある。すなわちオンライン授業を導入すれば、教師不足問題など瞬殺なのだ。おまけに教師の質の低下まで解決できる。 

 

オンライン授業は、パソコンやタブレットディバイスを使って自宅で受ける。クラスルームに何十人もの生徒が集まらないわけだから、この時点で、教師は大勢の生徒を一度に見なくてはいけない労力から解放される。 

 

それに、オンライン授業は基本的に「録画」である。つまり、教師は、ひとたび自分の都合のいい時間に授業の動画を撮影してしまえば、同じ内容の授業を何度も繰り返すような無駄が省けるのだ。 

 

その結果、授業の準備にかける時間、授業そのものにかける時間が大幅にカットできて、びっくりするほど労働時間を短縮できるのである。 

 

学校に生徒が集まらない結果として、学校に必要な教師の絶対数も格段に減る。教師不足は、つまり教師を増やすことではなく、必要数を減らすことで解決されるのだ。 

 

それにより教師の任を外れた元・学校教師にも果たせる役割がある。オンライン授業を受けるだけでは学力を伸ばせない子どもたちの個別サポートだ。 

 

前の記事〈堀江貴文「できる子・できない子を1クラスに閉じ込めるのが間違い」…学校という“檻”から子どもたちを解放する方法〉でも述べたが、本当にできる子は放っておいても自ら学び、勝手に伸びる。教師の目などむしろ邪魔といってもいいくらいだ。一斉授業をやめる代わりに、サポートが必要な生徒にだけ、きめ細やかなサポートを入れるようにすればいいのだ。 

 

 

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もちろん、オンライン授業の導入は生徒にとってのメリットも大きい。 

 

まず、オンライン授業ならば、決められた時間に学校に行き、決められた時間を学校で過ごす必要はない。好きな時間に、好きな場所で授業を受けられる。 

 

そして、何より大きなメリットは、つまらない教師の授業を我慢して聞かなくてよくなることだ。つまり教師ガチャが解決されるわけだ。 

 

ある科目を嫌いになった理由として、よく挙げられるのは「教え方が悪い先生に当たってしまったから」ではないだろうか。 

 

本来、「新たなことを学ぶ」「知識を身につける」というのは、誰にとっても楽しく刺激にあふれるものであるはずだ。 

 

にもかかわらず、子どもが特定の科目、ひいては勉強そのものが嫌いになるのは、ほとんどの場合、子ども自身のせいではない。子どもの知的好奇心を刺激できない教師、もっといえば減退させる教師のせいである。 

 

子どもの知的好奇心は、考える力やクリエイティビティの基盤であり、長じてからの独創性や生産性に直結している。だからこそ、教師の質を保つことが重要なのだ。 

 

オンライン授業を導入すれば、教え方が抜群にうまい教師の授業を1クラスの範囲を超えて広く届けられる。各教科において、誰の授業を受けるのかを選べるようにすれば、教え方が絶望的に悪いダメ教師は淘汰される。まさに教師ガチャからの解放である。 

 

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近年、YouTubeなどを活用した大人の学び直しブームや教養ブームが社会人の間で高まっているが、これはオンライン授業の先駆け的な現象といっていいだろう。この現象を牽引しているのが、優秀なクリエイターのつくる良質なコンテンツだ。 

 

チャンネル登録者数530万人(2024年6月時点)の「中田敦彦のYouTube大学」をはじめ、教養系のYouTuberや、教え方に定評のある塾講師が続々と優良コンテンツを送り出している。 

 

こうなってくると、もはや学校教師が授業を行う必要すらないように思えてくる。 

 

国語、算数、数学、社会科、日本史、世界史、物理、化学……と、それぞれの教科で、優秀な「先生」が教えている動画コンテンツを視聴すれば事足りてしまう。 

 

たとえば、国語なら、東進ハイスクールの林修先生以上にうまく教えられる国語教師は、そうそういないだろう。どの教科にも、必ず、そんな「林修先生」が存在するはずだ。 

 

そしてオンライン授業なら、すべての教科で、教え方が抜群にうまい先生の授業を全国津々浦々にまで平等に届けることができる。文部科学省が、学習指導要領の策定などを通じて行き届かせようとしている「一定水準の教育」も簡単に叶ってしまう。 

 

オンライン授業が当たり前になれば、いつでも、どこでも「いい授業」を受けられる。教師ガチャどころか学校ガチャ、さらには地域ガチャすらも解消されるわけだ。 

 

まずは過疎地や離島から導入して、効果のほどを確かめるのもいいだろう。 

 

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つづく記事〈堀江貴文「いずれ東大ブランドは価値を失う。日本の小中学校は潰れていい」…ホリエモンが思い描く「新しい学校」〉では、堀江貴文氏が大学の「ブランド価値」や小中学校の存在意義について考察する。 

 

堀江 貴文(実業家) 

 

 

 
 

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