( 203590 )  2024/08/20 17:23:18  
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20年間給与が上がっていないと言われる日本では、社員の給与や待遇が改善されない理由として、国内市場に固執した企業が過剰な競争をしており、それが利益を減少させていることが指摘されている。

ひろゆき氏は、企業が競争することや利益を上げること自体は悪いことではないが、日本企業が海外市場に進出することや技術開発に投資する姿勢が不足していると述べている。

(要約)

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この20年間、先進国の中で唯一、給与が上がっていないと言われる日本。新刊『気にしない生き方』を発表したひろゆき氏は、「国内市場だけをターゲットにした企業が過剰な競争を繰り広げて、お互いの利益を削り合っている」ことが原因だと指摘する。この状況を打開するには、一体どうすればよいのだろうか? ひろゆき氏が考察する。 

 

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正社員として頑張って働き続けてたら、ちょっとずつでも給料が上がるんじゃないか、役職がついたりすれば、待遇も今よりはマシになるんじゃないか。 

 

皆さん自身も、日々、会社の愚痴は言いつつも、そんなことを期待してはいないでしょうか。 

 

日本の職場には昔から「同じ釜の飯」幻想があります。苦楽を共にしてきた仲間たちがいる「自分たちの会社」には、忠誠を誓って尽くさなければいけない。こんなに尽くしてきた会社が、自分を悪いようにするはずがない。こういう幻想は、今でも色濃く残っています。 

 

日本の有名自動車メーカーや製鋼メーカーでは、ここ数年で検査不正が次々と明らかになっていますけれど、その背景にもこの「同じ釜の飯」幻想がある、と僕は思うわけです。 

 

日本のビジネスパーソンは会社の愚痴を言い、仕事がイヤだとか言いつつ、自分の会社は「いいこと」をしていると思い込もうとしています。 

 

「うちの」会社で作った製品は、世の中のために役立っている。世の人を幸福にしている。「うちの」会社が稼ぐことで、日本経済に貢献している。そういう会社で働いている自分の仕事も、社会にとって必要なものなんだ……。 

 

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ぶっちゃけ、こういう考え方はムダだと思います。会社ってきれいごとでは成立しないですから。 

 

競合他社よりも性能がいい商品を出すとか、同じようなサービスでもちょっと早く出すとか、安売りをしてシェアを取ろうとするとか。なんだかんだいって、民間企業は競争をするしかないし、そこには必然的に勝者と敗者が生まれます。 

 

企業同士の競争もそうですし、企業とお客さんの関係も同じです。 

 

原価がそんなに高くない製品に、上乗せした価格をつけて、お客さんに売りつけて利潤を上げる。これが企業活動の本質です。もちろん、お客さんが文句をつけるような商品やサービスばかり提供していては、もっといい商品やサービスを出す競合企業が出てきた時にあっという間に負けてしまいますけどね。 

 

「この企業はいいことをしている」「この企業はイケてる」というブランドイメージにしても、その幻想によって原価の安い商品を高く売りつけることができるわけですから、ある意味では消費者をだましているとも言えます。 

 

そうやって利潤を上げることに罪悪感を抱くような「いい人」ばかりだったら、きっと会社は潰れてしまうでしょうね。 

 

 

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お客さんがお金を出して買いたいと思うような商品やサービスを作り、企業が競い合うことで、経済は拡大するわけですから、それ自体は悪いことではありません。 

 

だけど、日本の場合は、この競争原理がうまく働いていないことが問題です。 

 

たとえば、日本には何社も大きな自動車メーカーがあって、すごい競争をしていますよね。自動車メーカーの生産量は社員数と正比例しているわけではなく、生産ラインをちょっと増やせば簡単に生産量も増やすことができます。でも、そうやって自動車をたくさん生産しても買ってくれる人がいなければ価格を下げるしかない。 

 

コンビニもそう。人通りの多い、立地条件のいい場所には複数のコンビニが隣り合うようにして出店し、売上を増やそうとします。だけど同じ場所にたくさんのコンビニが出店したところで、1店あたりの売上が減っていくだけじゃないですかね。 

 

こういう例はまだまだあって、ビール会社もそうです。日本国内のビール類の売上なんて、ここ10年以上ほとんど変わっていないというか、むしろちょっとずつ下がってるんですけど、どのビール会社も必死で新商品を開発して、莫大な広告費をかけてテレビCMを打って、営業部門は汗水垂らして営業活動している。 

 

みんながそこまでして頑張っているのに、売上のほうはまったく増えていない、というのは皮肉な話だと僕は思うわけです。 

 

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要するに、日本では国内市場だけをターゲットにした企業が過剰な競争を繰り広げて、お互いの利益を削り合っているわけです。利益が増えないのですから、社員の給料や待遇がよくなるはずはありませんね。 

 

クリエイターやアーティストがたくさんいて、彼らの作ったモノやサービスでこれまでになかった市場が生まれたり、海外にそういうモノ、サービスを売ったりして外貨を稼ぐというのであれば、ぜんぜん問題ないんですよ。 

 

だけど、多くの日本企業は海外で商売をして外貨を儲けようという気があまりないですからね。もっと技術開発だとか、研究だとかに対する投資を増やして、新しいことを思いつく人を増やしたほうがいいと思うんですけど。 

 

すごく失礼な言い方になってしまうんですけど、日本企業は人をかき集めて、誰でもできるような仕事をさせてほんのちょっとの利益しか出していない。だから、皆さんの給料が一向に増えないという悪循環になっているのですよ。 

 

ひろゆき([西村博之]) 

 

 

 
 

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