( 203712 ) 2024/08/21 01:23:37 0 00 落書き被害を受け、ブルーシートがかけられた靖国神社の石柱=19日、東京都千代田区
東京都千代田区の靖国神社で19日未明、入り口近くの石柱などにまた落書きが見つかった。靖国神社の石柱は5月にも赤いスプレーで落書きされる事件が起きた。警視庁は器物損壊容疑で捜査している。参拝者らは、政府に毅然(きぜん)とした対応をするよう怒りの声をあげた。
【一覧】靖国神社が受けた主な被害
神社の職員が落書きを発見後に通報したのは19日午前3時50分ごろ。日本のメディアも同日明け方以降の現場の様子を報じた。一方、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」などでは、周囲が暗い中で撮影されたとみられる同じ落書きの画像が拡散されている。犯行との関連は不明だ。
終戦の日から4日後の19日午前、靖国神社の参拝者は後を絶たなかったが、落書きされ、ブルーシートがかけられた石柱の前で異変を感じて足を止めたり、撮影したりする姿もあった。
東京都在住の男性(67)は「千鳥ケ淵戦没者墓苑に花を手向けてから回ってきたら、このありさまだった。悪ふざけにしてもひどい。よくない」と犯人を非難する言葉を繰り返した。
警視庁麹町署によると、神社名を示す「社号標」と呼ばれる石柱や台座など6カ所に黒いマジックのようなもので書かれていた。
「トイレ」を意味する「厠所」や、「狗」「軍国主義」と読み取れる文字や「屎」か「尿」とみられる文字、アルファベットで「S」「B」らしき文字が書かれていた。
靖国神社社務所は「神社施設への落書きという、神社の尊厳を貶(おとしめ)る行為が再びあった事は誠に遺憾です。今後も神社では警備警戒を行い、静謐な環境でご参拝戴けるよう努めていく所存です」と文書でコメントした。
今回の落書きについてはこれまでのところ容疑者は不明だが、同神社では5月にも、同じ場所の石柱部分に赤いスプレーでアルファベットで「Toilet(トイレ)」と落書きされた。警視庁公安部は7月、器物損壊と礼拝所不敬の疑いで中国籍の男1人を逮捕し、実行犯とみられる2人の逮捕状を取り指名手配したが、2人は出国済みだ。
参拝者の50代の女性は石柱を見つめながら「面白がって侮辱されている。海外にものを言うとすぐに『差別だ』といわれる風潮もある。国として抗議すべきではないか」と語る。60代の男性も「国際問題ではないか。政府が対応すべきではないか」と語気を強めた。
麗澤大学の八木秀次教授(憲法学)は「一宗教法人であるとはいえ、日本の戦没者を慰霊する中心的施設には変わりがない。落書きは戦没者と遺族、ひいては日本国民全体への侮辱だ。首脳外交でも戦没者に対してはお互いに敬意を払い礼拝するなど国家儀礼に等しい。政教分離であっても、宗教施設に冒涜(ぼうとく)行為が行われた場合、政府がまったく手を出せないという意味ではない。犯人が誰であれ、最低でも官房長官レベルが非難のコメントを出すべきではないか」と指摘した。
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