( 204997 )  2024/08/25 01:43:12  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

2024年7月19日、『「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」第1回会議』において、こども家庭庁が婚活支援検討会の立ち上げを発表しました。 

 

◆【写真4枚】地域少子化対策重点推進交付金。2枚目以降では、年齢階級別未婚割合の推移などを掲載。 

 

同検討会では若者に意見を聞いた上で、若者のライフデザインや出会いの支援を実施する方針です。 

 

また先日は、東京都が独自のマッチングアプリを開発していることが発表されました。このアプリはAIが価値観診断テストをもとに相性のいい相手を紹介するシステムです。 

 

利用には独身証明書が必須化される予定のため、利用者の安全性も保障される見込みです。 

 

一方、現代社会において結婚をあえて選択しない人も少なくありません。 

 

こうした人たちの中には出会いや経済事情に関係なく、ライフプランの中にパートナーとの暮らしが組み込まれていない人も多いようです。 

 

ひとりが好き、仕事をがんばりたい、趣味で忙しいなど理由はさまざまですが、結婚に関心がない人が結婚したいと思うようになるのは、大きなきっかけがない限り難しいでしょう。 

 

本記事では、未婚者の推移や結婚しない理由を見ていきましょう。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

厚生労働省「令和5年版 厚生労働白書 (令和4年度厚生労働行政年次報告)―つながり・支え合いのある地域共生社会―」から「年齢階級別未婚割合の推移」を見ていきましょう。 

 

上記の表を参照すると、男女ともにいずれの年代も未婚率は増えています。 

 

1960年の時点では、男女ともに35歳以上の未婚率は一桁台であったものの、2020年には、いずれの年代においても未婚率が上がっています。 

 

35~39歳男性の未婚率については1960年は8.5%でしたが、2020年は38.5%となっています。 

 

また、同年代における女性は1960年は5.5%だったものの、2020年は26.2%です。 

 

一方、2020年において50~54歳については男性は26.6%、女性は16.5%が未婚です。この年代の男性の未婚率は多いものの、女性の未婚率は1割台となっています。 

 

アラフィフ世代がアラサー世代だった頃、30歳代前後の未婚女性から多くの共感を集めた『負け犬の遠吠え』(講談社、2006年)が話題になったほか、未婚のキャリアウーマンがドラマで大きな存在感を放っていました。 

 

しかし、未婚という選択をつらぬいている女性は全体で見ると意外にも少ないように思います。 

 

未婚女性にエールを送る作品や、未婚女性が共感できる作品はいくつも生み出されていたものの、それでも社会においては肩身の狭い思いをしていた姿がうかがえます。 

 

次の章では、若者が独身でいる理由について深堀りしていきましょう。 

 

 

前述のように、一昔前までは未婚者は社会で居心地の悪さのようなものを感じることがあったようですが、現代においてはそうでもないように思います。 

 

こうした中で、「結婚しない」発言をする若者は増えているといえます。 

 

こども家庭庁「令和5年度 我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施状況」(令和6年版こども白書)」より「若者が独身」でいる理由を見ていきましょう。 

 

なお、以下の表で調査対象となっているのは、25~34歳の未婚者です。 

 

男女ともにもっとも多くの回答を集めたのは「適当な相手にまだめぐり会わない」でした。 

 

こうした声が多いことを鑑みると、東京都のマッチングアプリや政府による出会いの場の提供などは効果が見込める施策といえるかもしれません。 

 

また、男女ともに「結婚する必要性をまだ感じない」も多くの回答を集めました。 

 

20歳代は働き始めてから数年しか経っていないため、これからキャリアを形成していこうという意気込みの人も多いかもしれません。 

 

また、30歳代前半は仕事が面白くなってくる年代であるほか、早ければ役職が就くこともあります。 

 

あるいは、独身として自由を謳歌したいという人もいるでしょう。 

 

とはいえ「独身の自由さや気楽さを失いたくない」「今は、趣味や娯楽を楽しみたい」「今は、仕事(または学業)にうちこみたい」も多くの回答を集めています。 

 

これらの回答をした人の中からも結婚重視へと考えがシフトする人も出てくると思われますが、結婚の必要性を感じない考え方が変わらない人も一定数いるでしょう。 

 

一方、「結婚資金が足りない」「住居のめどがたたない」と回答した人はそう多くはありませんでした。 

特に、女性は結婚資金を理由に未婚でいる人は13.4%と少数派です。 

 

妊娠・出産になると経済的な事情を考慮する人も多いと思いますが、結婚の段階で経済的なことを考える人は少ないのかもしれません。 

 

互いの収入が少なかったとしても現在の仕事をそれぞれが継続し、同居することで生活水準が上がるケースも多いです。 

 

次の章では、独身生活の利点として挙げられるポイントを解説していきます。 

 

 

前章にて説明した内容は「独身生活の利点」を見ても明らかです。 

 

未婚者のもっとも多くが独身の利点として「行動や生き方が自由」を挙げています。 

 

次いで「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」も多くの回答を集めています。 

 

この結果から、現在の暮らしを変えたくない人や現在の生活を満喫している人が多いと察することができるでしょう。 

 

一方、男女ともに「金銭的に裕福」と回答した人は意外にも少ない結果になりました。 

 

「独身は既婚者よりも自由に使えるお金が多い」や「結婚も子どもも贅沢品」など、結婚とお金についてさまざまな意見がネットを中心に飛び交っています。 

 

実際のところ結婚について考えるにあたっては、経済的な部分とは別の部分を重んじている人が多いのかもしれません。 

 

20歳代・30歳代の結婚適齢期といわれる世代の人たちには選択肢が用意されています。 

 

また、ミドル層以上の未婚者も独身であることで肩身の狭い思いをする人は、以前より少ないのではないでしょうか。 

 

現在は、女性が生涯働くことを前提にしたカリキュラムを用意している大学が多く、男女で業務の役割分担を明確にしている企業は減ってきています。 

 

また、動画配信サービスやSNSによりひとりで楽しく過ごせるようになったほか、飲食店においてもおひとりさま向けの席やプランが用意されています。 

 

さらに、推し活文化により趣味を堂々と楽しむ人も増えてきました。 

 

そうした中で、結婚を“あえて”選ぶ人が少なくなってもおかしくないように思います。 

 

一方、リモートワークの普及や新型コロナウイルス感染対策などにより出会いの場が少なくなっているのも事実です。 

 

男女の出会いの場が増えることで、パートナーに出会える人も増えるかもしれません。 

 

 ・こども家庭庁「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ(第1回)資料2_結婚に関する現状と課題について」 

 ・厚生労働省「令和5年版 厚生労働白書 (令和4年度厚生労働行政年次報告)―つながり・支え合いのある地域共生社会―」 

 ・こども家庭庁「令和5年度 我が国におけるこどもをめぐる状況及び政府が講じたこども施策の実施状況」(令和6年版こども白書)」 

 ・講談社 

 ・AIマッチングシステム「TOKYOふたりSTORY」 

 ・こども家庭庁「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ(第1回)」第一回議事要旨 

 

西田 梨紗 

 

 

 
 

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