( 205537 )  2024/08/26 17:37:25  
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ドジャース対レイズ 9回裏ドジャース2死満塁、サヨナラの満塁本塁打を放つ大谷(撮影・菅敏) 

 

 ドジャース大谷翔平投手が、驚異的なペースでホームランだけでなく盗塁も量産しています。メジャー史上6人目、また史上最速で40本塁打&40盗塁、いわゆる「40-40」達成。それどころか史上初の「45-45」も現実味を帯び、さらに「50-50」も可能です。ちなみに、「43-43」時点で前人未到の記録となります。 

 

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 しかし、大谷にとって「50-50」は決して容易な記録ではありません。なぜならチームが地区優勝争い、さらにはメジャー最高勝率を争っているからです。そのため個人の記録を犠牲にし、チームの勝利を最優先に戦わなければなりません。それが常勝軍団の宿命とも言えます。 

 

 過去の「40-40」達成者を見ると、チームが優勝し、なおかつ偉業達成したのは1988年アスレチックスのホセ・カンセコ、昨年ブレーブスの6年連続地区優勝に貢献したロナルド・アクーニャの2人だけ。あとは皆、優勝戦線から脱落したチームの選手ばかりです。 

 

 また、大谷は相手チームから徹底的にマークされています。8月に入って打率が低迷し、スランプではないかと言われていますが、強いチームとの対戦ばかりで、それだけ優秀な投手陣に厳しく攻められているからです。だから、いくら大谷でも打つのは並大抵でありません。 

 

 それでも、大谷には「50-50」を達成するチャンスがあります。それは今シーズン残りの試合日程です。ドジャースはホームで31試合中15試合、また勝率5割以下のチームとの試合も残っています。特に、最後の12試合中9試合がマーリンズ、ロッキーズと現在の最下位チームとの対戦になります。 

 

 

 

 それと6月17日以来、不動の1番という打順です。毎試合大谷が1番を打つことにより、通常5打席立つチャンスが巡って来ます。また2番に右のクラッチヒッター、ムーキー・ベッツが入ることにより、よほどのことがない限り申告敬遠で歩かされることはなさそうです。 

 

 その上で、やはり偉業達成のカギはホームランでしょう。名うてのスラッガーにとって、最大の目標は50本塁打です。メジャー史上初の「40-40」を達成したカンセコが言っていたように、ホームランさえ達成すれば「いつでも盗塁はできる」と計算出来るからです。 

 

 昨年メジャーは新ルールとして「ベース拡大」を導入。それによって、アクーニャが40-40どころか、前人未到の「40-70」を達成。今年はレッズのエリー・デラクルスが史上5人目の「20本塁打、60盗塁」など、さまざまなパワーとスピードを兼ね備えた記録が生まれています。 

 

 その中で最も価値があるのは、パワーとスピードが絶妙にブレンドされた「30-30」、「40-40」などです。これまで「40-40」達成者はラテン系や黒人選手ばかりで、白人選手が1人もいません。その中で日本人選手の大谷が初の「40-40クラブ」入りとはすごいことです。 

 

 はたして、大谷が前人未到の「50-50」にどこまで迫るか、何よりもチームの優勝、ナ・リーグ87年ぶりの3冠王争いともども見逃せません。 

 

 【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」) 

 

 

 
 

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