( 205787 )  2024/08/27 15:45:38  
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兵庫県の斎藤元彦知事 

 

 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑をめぐり、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が県職員アンケートの中間報告を23日に公表した。パワハラ以外にも、贈答品を受け取っていたとの指摘も出ており、政治資金パーティー券の購入依頼や阪神・オリックスの優勝パレードにかかる裏金疑惑など「政治とカネ」の問題についての記述もあった。アンケート結果や斎藤知事の一連の行動や言動について、元宮崎県知事の東国原英夫氏は知事としての資質や「政治とカネ」の問題について厳しく指摘する。 

 

【写真】自死した元県民局長が「三流のイエスマンばかり」と書いた県の公式サイトはこちら 

 

 百条委の23日の中間報告によると、アンケートには職員全体の約7割にあたる約6700人が回答し、8月5日までに回答があった約4500件についてまとめた。回答者の9割が無記名だが、実名での記入が333件あった。 

 

■アンケート結果に斎藤知事は「残念な思いだ」 

 

「市内での視察の際、知事がエレベーターに乗ろうとすると目の前でエレベーターの扉が閉まり、乗り損ねたことに激怒して、エレベーター前にいた県職員に、施設の職員も見ている前で『お前はエレベーターのボタンも 押せないのか』と大声で怒鳴りつけた」 

 

「ばばたんペイのうちわ作成の際に、一度知事の顔写真が入っていなかったものを作成していた。それを知事協議の際に報告すると激怒され、急遽知事の顔写真入りのうちわが作り直されることになった」 

 

「怒るとバンバン机を叩きだす」 

 

 パワハラについては他にも多くの声が出ており、同日に行われた会見で百条委は、 

 

「(県の)最高幹部がパワハラなどの行動を目撃している」 

 

 と明らかにしている。 

 

 しかし、斎藤知事はその後の報道陣の取材に対し、 

 

「これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」 

 

 などと述べた。 

 

 斎藤知事のこれまでの言動やアンケートで書かれたことに対して、2007~11年に宮崎県知事を務めた東国原英夫氏は、 

 

「県職員の方が覚悟をもって、アンケートに協力している。今の県政を変えたいと強く願っている表れだ」 

 

 と指摘し、こう続けた。 

 

 

「ここまで批判が相次ぎ、数百人の県職員が実名でアンケートにも協力している現状でも斎藤知事が辞めないのは、今後の進退を考えてのことではないでしょうか。斎藤知事のなかに、衆院選に出るとかの“野望”があるはず。ここで辞めれば全てを認めてしまうことにもなるから、政治の道を絶たれてしまうと捉えているのでは」 

 

 との見解を述べた。 

 

 そして、自身の知事の経験から、知事には“悪魔的な魅力”があると説明する。 

 

「人事権や予算権も握れるから、自分が偉いと勘違いしてしまう知事が多いと感じています。リーダーシップと権力との使い分けをできないのは、知事の素質をもっていないと言えるでしょう」 

 

■東国原元知事「ゼロからやり直した方が……」 

 

 東国原元知事はそう言い、斎藤知事に対しては、 

 

「清く辞職をして、出直し選挙をしたほうが潔白さは担保できる。ここまで炎上をしているのなら、出直し選挙としてゼロからやり直したほうが、見栄えが少しはまともになるのではないでしょうか」 

 

 と辞職を勧める。 

 

 東国原氏によれば、斎藤知事が辞職をしないもう一つの理由としては、パワハラなどの一般的な道徳問題の方を注目させて、政治的な問題をぼやかすためではないか、と言う。 

 

 元県民局長の男性が斎藤知事の不祥事に関する告発文章を報道機関に送ったのは、今年3月12日。斎藤知事は同月20日に告発を認識し、告発者の特定などの内部調査を指示した。結果、男性は4月に県の通報窓口にも通報するが取り扱ってもらえず、県は5月に男性を停職3カ月の懲戒処分としている。「死をもって抗議する」。そんなメッセージを残し、男性は7月に死亡した。 

 

 東国原氏は 

 

「知事の行動は告発者を保護する公益通報者保護法違反。政治道徳的な問題であり、知事の対応は今後、法的な問題へと発展する可能性が高い。知事はそれをわかっていて、辞めずにパワハラの方に注目させ、ことの重大さを薄めようとしているとも捉えられる」 

 

 との見方を示した。 

 

 

 また、今回のアンケート結果についても、 

 

「パワハラも問題ですが注目すべきなのは、阪神とオリックスの優勝パレードをめぐっての裏金疑惑と、県職員に対する政治資金パーティー券の購入依頼です。これらが事実ならば明らかに地方公務員法違反であり、そこで政治生命は終わりです」 

 

 中間報告では、405人の職員が阪神・オリックスの優勝パレード開催をめぐる資金の還流疑惑について、「見た・聞いた」と回答している。 

 

■副知事の鶴の一声で増額? 

 

 アンケートで、「目撃などにより実際に知っている」と無記名で答えた回答者の声では、 

 

「当該補助金の補正予算は査定途中で、1億円から片山副知事の鶴の一声にて3億円増額されており、これが告発文書のパレード寄付金へのキックバック額と合います。理屈のない積算など認めないはずの財政課の査定経過にも残っているはずです」 

 

 政治資金パーティーについても、 

 

「県内企業に(政治資金)パーティー券の購入依頼にまわっている」 

 

「パーティー券の販売を手伝った県OB本人から聞いた」 

 

「政治資金パーティーへの参加を働きかけるよう幹部職員に指示した」 

 

 など具体的に明示している回答が多く出ていた。 

 

 斎藤知事はこれまでの会見で、一連の騒動を否定している。百条委は30日に知事の証人尋問を行う予定だ。 

 

 最後に東国原氏は、 

 

「これまで何も明言をしていないのは、なにか狙いがあるはず。いずれにせよ、30日の百条委員会で真摯な対応をされることを期待しています」 

 

 と語った。 

 

(AERA dot.編集部・板垣聡旨) 

 

板垣聡旨 

 

 

 
 

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