( 207641 )  2024/09/02 01:06:58  
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吉野家の牛丼が7月に30円値上げされ、498円になった。

他の牛丼チェーンも値上げし、吉野家がワンコインを維持しているが、松屋やすき家も460円程度まで値上げする可能性がある。

ワンコインメニューを提供するファストフードチェーンが減少しており、他のファミリーレストランやハンバーガーチェーンではワンコインで食事できるメニューが限られている状況。

価格据え置きでもリニューアルを行い、物価上昇に対応している。

(要約)

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今年7月に30円値上げされ498円(店内飲食)となった吉野家の『牛丼』(並盛) 

 

 牛丼チェーンの吉野家が、7月29日に価格を改定。『牛丼』(並盛)の店内飲食は468円から30円の値上げで498円となり、“ワンコイン”をギリギリキープした。 

 

【写真】名代富士そばの『もりそば』420円。日高屋の『中華そば』は2002年開業以来390円 

 

 吉野家のライバルとなる松屋の『牛めし』(並盛)は430円、すき家の『牛丼』(並盛)は430円と、ワンコインを保ってはいるものの、いずれも今年に入ってから値上げを行うとともに、深夜料金を導入している。外食チェーンに詳しいライターの小浦大生氏がこう話す。 

 

「松屋とすき家は“吉野家より安い”という点が大きなセールスポイントとなってはいますが、昨今の原材料費や物流費、人件費の高騰の中で、今後も値上げをする可能性が高い。吉野家の『牛丼』(並盛)がギリギリワンコインであるならば、松屋とすき家についても460円くらいまでの値上げはありうると思います」 

 

 かつてのファストフードでは500円あればそれなりに満足な食事ができたものだが、今となってはワンコインのメニューを探すのも簡単ではない。そこで今回は、代表的なファストフードチェーンでのワンコインメニューを調査。価格はすべて店内飲食の税込み価格で、地域によって価格に違いがあるケースもあるが、公式サイトを参照した。また、朝食メニューやランチメニューは除外している。 

 

 まずは牛丼チェーン。すべて“並盛”におけるワンコインメニューをピックアップした。 

 

 前述の通り吉野家は『牛丼』(並盛)が498円。そのほかには『豚丼』(並盛)が465円で、『スパイシーカレー』が465円で提供されている。松屋のワンコインメニューは、『牛めし』(並盛)430円と『チキンカレー』(並盛)480円の2種類。すき家では『牛丼』(並盛)が430円、『カレー』(並盛)が490円、『旨だしとりそぼろ丼』(並盛)が490円、『納豆定食』が420円だ。 

 

“丼もの”のチェーンとしては、なか卯でもワンコインメニューが提供されている。『親子丼』(並盛)450円、『和風カレー』(並盛)が490円。さらに麺類であれば、『はいからうどん』(並)300円、『はいからそば』(並)430円など、500円以下のメニューも少なくない。 

 

 

 つづいてうどんチェーン。丸亀製麺では、『釜揚げうどん』(並)が340円、『かけうどん』(並)・『ざるうどん』(並)・『ぶっかけうどん』(並)が390円など、トッピング無しのメニューの多くは500円以下だ。 

 

 はなまるうどんでは、『かけ』(小)・『おろししょうゆ』(小)が330円、『おろしぶっかけ』(小)・『ざる』(小)・『釜上げ』が390円など、こちらもベーシックなメニューの多くがワンコイン以内。そのほか『カレー』(小)が450円だ。 

 

 うどんチェーンの場合は、ベーシックなメニューに天かすなどの無料トッピングや100円以下のトッピングを加えることで、ワンコイン以内でのバリエーションを楽しむこともできる。 

 

 うどんチェーンと同様、立ち食いそばチェーンでもワンコインメニューが存続している。都内を中心に展開する名代富士そばは、『かけそば(うどん)』・『もりそば(うどん)』がそれぞれ420円だ。さらに『カレーライス』も500円となっている。 

 

 ゆで太郎においては『かけ』と『もり』がそれぞれ430円。小諸そばは、ライバルチェーンよりも安めで『かけ』・『もり』がそれぞれ370円となっている。 

 

「基本的に和食系のファストフードであれば、ごはんものよりも麺類のほうが安いというのが基本です。大戸屋ややよい軒といった定食チェーンでは、1000円前後の価格帯の定食メニューが多く、ワンコインで食事をするのは不可能。中華チェーンなどでも一部の麺類のみ価格が安くされているケースをよく見かけます」(小浦氏・以下同) 

 

 関東近郊を中心に展開する日高屋では、定番の『中華そば』が390円、『とんこつラーメン』が490円だ。また幸楽苑では『中華そば』・『みそらーめん』・『しおらーめん』がそれぞれ490円だ。今年5月に全メニューの7割ほどを値上げしている日高屋だが、『中華そば』については2002年の開業以来、変わらず390円で提供している。 

 

 

 ハンバーガーチェーンでのワンコインメニューはどうだろうか。セットメニューに限定してみると、マクドナルドは『マックチキンセット(サイド+Mサイズドリンク)』が500円で唯一のワンコインメニューだ。 

 

「ハンバーガーチェーンでは、500円以内で購入できるセットメニューはほとんどないです。私の周辺ではマクドナルドの『マックチキンセット』くらいだと思います。最近のハンバーガーチェーンは高級志向のメニューが増えているということもありますし、単品で200円台くらいの安いバーガーがあっても、セットメニューの対象にしていないというパターンが多いです」 

 

 ファミリーレストランでは、サイゼリヤがパスタやピザなどにおいて、多くの500円以下メニューを揃えている。しかし、それ以外のファミレスチェーンでは基本的にワンコインで食事をするのは難しい。 

 

「サイゼリヤでもパスタやピザのような単品で成立するメニューであればワンコイン以内におさめられますが、ハンバーグなどにライスを追加すると簡単に500円を超えてしまいます。これはファミレスだけでなく、牛丼チェーンなどでもそうですが、ワンコインで済ませるならば、麺類や丼ものなど単品で成立するメニューしかほとんど選択肢がないというのが現状です。 

 

 また、価格は据え置きでも、材料が変わったり、ボリュームが減ったりなどするリニューアルを行うケースもあり、各飲食チェーンとしてもいかに価格を抑えるかという点でさまざまな工夫をしています。それが “ステルス値上げ”としてネガティブに捉えられてしまうこともありますが、そうでもしないといけないほどに物価が上昇しているというのも事実。消費者としても、もはやワンコインで食事ができる時代が終わりつつあることを受け入れざるを得ない状況なのだと思います」 

 

 もはや絶滅の危機となっている“ワンコイン外食”。そのうち死語になってゆくのだろうか。(了) 

 

 

 
 

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