( 209856 )  2024/09/08 16:42:39  
00

2025年4月から、原付免許で125cc以下のバイクを乗れる「新基準原付」制度が始まる予定。

警察庁がパブリックコメントを募集しており、制度改正の詳細が検討されている。

新基準原付では、最高出力を抑えた125cc以下のバイクが乗れるが、従来の50ccの原付も引き続き乗車可能。

2025年4月に制度が施行される見込みで、ホンダなどのメーカーが新原付モデルを開発中。

ただし、不正改造防止や新旧原付の判別方法が課題となっている。

(要約)

( 209858 )  2024/09/08 16:42:39  
00

2025年4月から「新基準原付」がスタート。警察庁がパブリックコメントを募集中 

 

最高出力を抑えた125cc以下のバイクを原付免許で乗れる「新基準原付」の制度改正が進められている。そんな中、警察庁がパブリックコメントの募集を開始。2025年4月に新制度が施行される見込みだ。そのタイミングに合わせ、スーパーカブなど数々の50ccが終了し、新原付モデルが登場するか? 

 

【画像】スーパーカブ新原付版の予想CGなど関連画像をギャラリーで見る(4枚) 

 

文/Webikeプラス 沼尾宏明 

 

原付一種(50cc以下)を運転できる従来の原付免許で新原付に乗車でき、交通ルールも現行のまま。今までの50ccも従来どおり乗車できる。原付二種(125cc以下)の乗車に必要な「小型限定普通二輪免許」は今後も継続 

 

これまで原付免許は、排気量50cc以下(電動バイクは定格出力0.6kw以下)のバイクしか運転できなかったが、2025年から125cc以下の二輪車まで乗車できる「新基準原付」の新制度が検討されている。 

 

実施時期は今まで明らかではなかったが、警察庁が「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」の意見募集(パブリックコメント)を8月30日から開始。これにより順当に行けば「2025年(令和7年)4月」から制度がスタートとなることがわかった。 

 

新基準原付とは、排気量125cc以下で最高出力4kW(5.4ps)以下に制限したバイクのこと。今までは排気量で原付一種(50cc以下)を区分してきたが、今後は枠組みが変わり、出力を制限した125cc以下の新原付バイクを原付免許で運転できるようになる。 

 

2023年に、PCX、CB125R、スーパーカブ110、リード125、ビジョン110(国内版ディオ110)の5車種(いずれもメーカーはホンダ)を新原付として試作。いずれも運転のしやすさは現行原付と「同程度」かそれ以下だった。 

 

区分が見直されるキッカケとなったのが、50ccバイクの生産終了だ。2025年11月から厳しい排ガス規制が適用されるが、排気量の小さい50ccでは規制値をクリアすることが困難。また排ガスの異常などを検知する車載式故障診断装置(OBDII)の登載も義務化されるなど高コスト化で採算が取れないことから、メーカーは生産から撤退すると予想される。 

 

とはいえ、日本では地方を中心に生活の足として根ざしているため、多くの国民が困る可能性があった。そこでメーカーや業界団体が新原付を要望。2023年9月から警察庁が検討を重ねてきた。 

 

同年末に発表された有識者検討会による報告書では、125cc以下のバイクでも出力を抑えれば、安全性と運転のしやすさを確保でき、一部のモデルでは「50ccより運転しやすい」と結論づけた。 

 

 

1958年にデビューした初代カブのスーパーカブC100(トップ画像)も50cc。1982年に50ccの生産台数は278万台を超えたが、近頃は9万台規模に激減。また日本専用となっており、コストも上昇していた。 

 

現在、原付一種を販売しているホンダ、ヤマハ、スズキの3メーカーのいずれも未だ正式に撤退を表明していないが、ホンダは2025年5月で生産終了の見込み。来年4月に制度改正となれば、ホンダが「5月に生産終了」する情報は正しいと予想できそうだ。 

 

ホンダからOEM供給されているヤマハも、ホンダが生産を終了すれば同じ道を辿るはず。さらにスズキも撤退の方針という。既に一部車種は予約が殺到しており、買いにくくなっているとの情報もある。 

 

2024年9月2日現在、新原付モデルはまだ登場していない。既にメーカーは新原付を開発中との噂だが、2025年4月の新原付制度スタートに合わせ、発売される可能性は十分あるだろう。 

 

ちなみに、1958年の初代デビュー以来、庶民の足として活躍してきた50ccのスーパーカブシリーズも生産終了の見込み。しかし、ホンダ首脳が「スーパーカブはなくなりません」と明言しており、スーパーカブ110(30万2500円)をベースにした新原付版が登場すると予想される。 

 

今後の課題として残されているのが「不正改造防止策」と「判別方法」だ。 

 

新原付は、ブランニューモデルを新規開発するのではなく、既存の125cc以下をベースにデチューンされる見込み。容易に出力を戻すことができれば、原付免許で125ccに乗れることになってしまう……。 

 

出力制御の詳細な方法は未定だが「スロットル開度の規制など物理的な制御」「燃料噴射コントロールなどECUによる制御」および両者の組み合わせが自工会では検討されている。完成車でも最高出力が測定できる仕組みの導入も含め、簡単に不正改造できないようメーカーにはぜひお願いしたい。 

 

従来の125cc以下とすぐ判別できる制度も重要。原付二種(51~125cc)は前後の白いマークとピンクナンバーで50ccの原付一種と区別しているが、同様にパッと見て新原付とわかるシンボルが必要だ。 

 

さらに価格も気になるポイント……。国内4メーカーの50ccクラスでは現在、レッツ(スズキ)の17万8200円が最安。検討会で試作車として登場したビジョン110(ディオ110)は21万7800円~で、125cc前後のクラスではリーズナブルな価格を実現している。新原付も20万円を下回る価格になると嬉しいのだが、果たして!? 

 

――警察庁ではパブリックコメントを9月28日まで募集。意見のある人は送ってみてはどうだろうか。 

 

沼尾宏明 

 

 

 
 

IMAGE