( 209993 )  2024/09/09 01:24:25  
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PS5大幅値上げでユーザーたちの本音は? 

 

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は9月2日より、家庭用ゲーム機『PlayStation5』(PS5)の本体及び周辺機器の希望小売価格の改定を行った。 

 

【表】「PS5および関連周辺機器」の新しい希望小売価格 

 

 ディスクドライブを搭載した通常版のPS5は6万6980円から7万9980円へ、ディスクドライブを搭載しないデジタル・エディションは5万9980円から7万2980円へと、それぞれ1万3000円の値上げ。また、コントローラーの『DualSense』は9480円から1万1480円、VRデバイスの『PlayStation VR2』は7万4980円から8万9980円へと値上げされた。 

 

 PlayStationの公式ブログでは価格改定の理由について〈昨今の世界的な経済情勢の変動などの厳しい外部環境を受け、当社ビジネスへの影響を踏まえ、このたびの決断にいたりました〉と説明している。 

 

 2020年11月に発売されたPS5。当時の価格は通常版が5万4978円、デジタル・エディションが4万3978円だった。その後、2022年9月に通常版が6万478円に、デジタル・エディションが4万9478円に価格改定。さらに、2023年11月には本体サイズが小型化され、SSDが825GBから1TBに増量するマイナーチェンジが行われるとともに、価格が6万6980円(通常版)、5万9980円(デジタル・エディション)に値上げされた。 

 

 さらに今回の値上げによって、通常版もデジタル・エディションも7万円台となり、通常版に至っては約8万円という、これまでの家庭用ゲーム機の価格水準から考えれば、かなりの高価格となった。8月27日の価格改定発表直後には、値上げ前に新品を買おうという人も多かったのか、全国的に品切れ状態となった。 

 

 そんなPS5について、ネット上ではここまで高くなれば、 もはや“ゲーミングPCを買ったほうがいい”といった声があふれる事態に発展した。実際、そうなのか――ゲーム事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。 

 

「PS5に比べてゲーミングPCはプレイできるゲームの種類が多いほか、ゲームの内容を拡張できる自由度が高い。より濃密にゲームをプレイしたのであればPS5よりゲーミングPCを選ぶメリットがあります。 

 

 単純にスペックの面ではPS5のほうがコストパフォーマンスがいい。PS5と同等のスペックのゲーミングPCを自作した場合、安くても12万円ぐらいかかりますから。ただ、PS5が8万円ほどにまで値上げし、コスパが悪くなったことを考えると、多少の費用を追加して拡張性の高いゲーミングPCを選ぶというゲームファンが増えてきてもおかしくないと思います」 

 

 他の家庭用ゲーム機の価格に目を向けてみると、任天堂の『Nintendo Switch』の通常版が3万2978円、有機ELモデルが3万7978円。マイクロソフトの『XBOX SERIES X』はディスクドライブ搭載型が6万6978円(通常版)、今年10月15日発売のディスクドライブ非搭載型が5万9978円。『XBOX SERIES S』は512GBバージョンが4万4578円、1TBバージョンが4万9978円だ。7万円を超えているのはPS5のみである。 

 

「家庭用ゲーム機で8万円近くするのは異例で、ライトなゲームファンや新規のゲームファンにとっては簡単に手を出せるものではなくなってしまいました。その一方で、ゲーミングPCを選択するコアなゲームファンもいるわけで、PS5の位置づけが難しいものになってきたようにも思えます」(藤井氏) 

 

 

 現在PS5を所有しているゲームファンにとっても、今回の値上げは他人事ではない。都内に住む会社員のAさん(40代男性)はこう話す。 

 

「私は発売当初にPS5の通常版を買って、いまでも楽しく遊んでいます。でも、今後このPS5が故障したら結構厳しい。私はソフトをディスク版で買っており、それをプレイするには通常版のPS5が必要になります。買い替えたら8万円の出費がかかるので、いまあるPS5をどうにかして大切に扱わないといけません。そう簡単に壊れるようなものではないと思いますが、なんとなくあと10年くらいは使わないと……という気にもなってきます」 

 

“PS派”から“Nintendo Switch派”への鞍替えを考えるゲームファンもいるようだ。神奈川県に住む自営業のBさん(30代男性)はこう話す。 

 

「個人的には、Switchは子供やファミリー向けなイメージで、PS5のほうはもうちょっとコアなゲーマー向けというイメージ。重厚なゲームを楽しみたいと思ってPS5を選んでいました。でも、よく考えてみると、自分がプレイしているゲームって、必ずしもコアな感じでもないし、なんならSwitchでプレイできるゲームも多いんですよね。あと、いま1歳になる息子がいて、そのうち一緒にゲームをするようになるとしたら、PS5よりもSwitchのほうがいいのかなという気持ちもあります。仮に今後“PS6”が出たとしても、相当高くなりそうだし、それならば今のうちにSwitch派になるのも手かな」 

 

 ちなみに、Nintendo Switchの次世代機については、今年度内になんらかの発表があると明かされている。 

 

「Nintendo Switchの次世代機がどのようなスペックになるかは不明ですが、価格がどうなるか、注目度が高まっているのは間違いないでしょう。PS5ほどの高価格にならなければ、カジュアルゲーマーにとっては高価なPS5よりもNintendo Switchのほうが選ばれやすくなるはず。 

 

 また、Nintendo Switchでしかプレイできない人気タイトルが多い一方で、PS5には独占タイトルがそこまで多くない。そうした面で、“PS5を選ばなくてはいけない理由”が少ないという事情もあります。だからこそ、Nintendo Switchの次世代機への期待も高まっています」(藤井氏) 

 

 多くのゲームファンに衝撃を与えることとなったPS5の値上げ。今後の家庭用ゲーム機市場が大きく動くことは間違いなさそうだ。(了) 

 

 

 
 

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