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経済アナリストの森永卓郎氏は、日経平均株価は将来3000円程度になると考えており、その理由を歴史的なデータから説明している。

また、新NISAで積み立て投資をしている人は為替リスクがあるため危険だとして警告している。

中国の経済発展が限界に達し、世界全体が不況に陥る可能性があると述べ、半導体産業の状況にも言及している。

(要約)

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(c) Adobe Stock 

 

 獨協大教授で経済アナリストの森永卓郎氏は、「新NISAには指一本触れるな」と警鐘を鳴らす。「日経平均株価3000円」「長期分散積立投資は最悪の投資」などと衝撃の持論を展開する森永氏に、その真意について聞いた。 

 

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 私は、日経平均株価は今後3000円くらいになると思っています。これは、歴史から導き出された結論です。 

 

 たとえば1929年の世界恐慌では、NYダウは3年弱で89%下落しました。日本のバブル崩壊のときには、日経平均株価は8年間で82%下がっています。つまり、歴史を振り返ると、バブルが崩壊すれば株価は8割以上、下がるんです。 

 

 とくに新NISAを始めた人なんて、その大半がオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)やS&P500に積み立て投資しているわけですが、これは何より危険な投資です。その理由は、「為替のリスクがあるから」です。 

 

 為替とは、正確に言えば「通貨の交換比率」を指します。つまりこれは、物の値段が日米で同じようになるよう調整されているということ。ごく簡単に言えば、同じハンバーガーを日米で買うときに、米国では1ドル、日本では100円だった場合、交換比率(購買力平価)は1ドル=100円となるということです。 

 

 ただ、国際通貨基金(IMF)が公表しているドル円相場の「絶対的購買力平価」は、2023年で91円となっています。つまり、本来1ドルは91円のはずなんです。これがなぜズレているかというと、それは「金利差を材料とした投機だから」にほかなりません。 

 

 ただ為替もバブルと同じで、いくら投機で値が動くと言っても、長期間にわたって本来の価値から逸脱することはできません。長いときには10年近くかかるケースもありますが、最終的には本来の価値に戻っていきます。 

 

 つまり、いま1ドル145円程度ですから、91円まで3割以上も下がるということ。株価が8割下がり、為替が3割下がるわけですから、最終的に日経平均は1割も残らない。だから「日経平均は3000円になる」と言っているんです。 

 

 私は最近、1989年後半のビジネス誌やマネー誌、経済論壇誌を読み返しました。するとみんな、「日本経済は力強い成長を続けていて、日経平均は上がり続ける」と言っていたのです。大手証券会社の部長は、「私たちが毎日仕事を放棄してドンチャン騒ぎしていても、日経平均は上がり続ける。それがいまの株式市場です」とまで言っていました。そしてわずかその数ヶ月後、ドカーンと急落しました。いまはそのときの状況とそっくりです。 

 

 

 そもそも本来は、リーマン・ショックが起こったときに、もっと株価が下がってもおかしくありませんでした。そこで下げ止まったのは、中国がとてつもない額を投資して開発を進めたから。中国が2011年からの3年間で使ったコンクリートの総量は、アメリカが20世紀の100年かかって使ったコンクリートの総量をはるかに凌駕しているというんですから、すさまじいですよ。 

 

 ただその中国もいま不動産バブルが崩壊し、「失われた20年」が始まると言われています。ヨーロッパもアメリカも駄目、中国も駄目となると、世界全体が駄目になるに決まっているじゃないですか。そんな中で「日本だけはなんとかなるだろう」と考えるのは甘すぎます。 

 

 また私は「半導体はすさまじいバブルだ」とは言っていますが、「半導体はインチキだ」と言っているわけではありません。ですが、よく考えてみてください。エヌビディアというたった一つの企業の銘柄の時価総額が、日本全体の国内総生産(GDP)と近い水準にあるというのは、誰がどう考えたっておかしな話だと思いませんか。 

 

森永卓郎 

 

 

 
 

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