( 211863 ) 2024/09/15 01:34:10 0 00 新NISAで投資を始めた人たちはどんな失敗をしているのか(写真:イメージマート)
老後資金を増やすために、新NISAで投資デビューしたという人も多いだろう。だが、決断次第では虎の子の資産を失いかねない。新NISAで投資を始めたばかりの60代男性Aさんが、自身の“しくじりケース”を語る。
「マネー誌で『日銀の政策変更による利上げで銀行株が値上がりする』との記事を読み、3月末頃、定期預金の一つを解約して新NISAの成長投資枠で銀行株に150万円ほど投資しました。期待通り、7月初旬には含み益が30万円近くまで膨らんで大喜びしていたのですが……」
日経平均が過去最大の4451円の大暴落を記録した8月5日。Aさんはパニックに陥った。
「どこまで下がるか不安になり、すぐに全株を売って損切りしました。50万円ほどの損失となりましたが、その後すぐに株価が急回復。焦って売ってしまったことを後悔しています」
投資運用コンサルティング会社「マーケットバンク」代表の岡山憲史氏によれば、新NISAで投資を始めた初心者は株価の下落に怯えて損切りしてしまうケースが多いという。
「暴落局面で『これ以上損失を大きくしたくない』という気持ちはわかりますが、銀行株のように配当利回りが高い優良株であれば、我慢して保有すればいずれ株価が回復し収益につながる可能性が高い。特に暴落の直後は優良株を狙う機関投資家の買いが入りやすく、回復基調になるケースが多いんです。新NISAは長期保有・長期運用が鉄則。目先の株価に一喜一憂していると失敗します」
新NISAで注目されている投資信託「オルカン」こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」にも落とし穴がある。
「巷では『新NISAはオルカンだけでいい』と盛んに喧伝され、投資初心者が飛びつきましたが、注意点もあります。オルカンの国別組み入れ比率を見ると、7月末時点で米国が62.7%、日本が5.4%、英国が3.3%と実質的には米国集中投資にほかなりません。7月に米国株が暴落したように、一国偏重はリスクがあることを知っておくべきです」(岡山氏)
さらに外貨建て商品は円高に振れると基準価額が下がり、“損”をする為替リスクも孕む。このため、新NISAでは長期保有に加えて「分散」を意識することが重要になる。
「歳を重ねれば長期保有の効果を得にくくなるため、よりリスクが低い国債などの債券や金投資も選択肢に入れて分散投資を心がけましょう」(同前)
「短期&集中」は投資の大敵である。
※週刊ポスト2024年9月20・27日号
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