( 212793 )  2024/09/18 01:17:37  
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(※写真はイメージです/PIXTA) 

 

タワーマンション(以下、タワマン)とは、基本的に地上20階建て以上の居住用高層建物のことを指します。高級感漂うイメージが多いですが、「広さ」という面では割とコンパクトな物件も存在しています。実際のところ、住みやすいものなのでしょうか。本記事では「日本のタワマン」について見ていきます。 

 

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――なぜ人はタワマンに住むのか。 

 

「豪華な設備」「高いセキュリティ」「利便性の高さ」……タワーマンションには、多くのメリットがあり、憧れを抱く人も少なくない。しかし、タワマンの実際の生活はどうなのか、住人のリアルな声に耳を傾けてみた。 

 

新婚のAさん(30代)が暮らしているのは、30平米のタワマン、1DK。賃料は管理費込みで毎月20万円弱。Aさんは一般職で、手取りは月24万円ほど。 

 

「主人の職場が近いエリアを選ぶなかで、タワマンに住んでみたいという思いが捨てられず、この物件を選びました。駅から近いし眺望もいいんですが、シンプルに狭いです。ダイニング6帖なので夫と喧嘩したときは最悪です……。ガッカリされたら嫌なので友達を呼んだことはありません。子どもができたら一人部屋も用意してあげたいし、住んであと1~2年ですかね」 

 

賃料20万円ともなると、毎月の家計の負担になるのは紛れもない事実。お金の不安はないのだろうか。 

 

「車のローンもあるのですごく心配しています。大きな貯金としては、私の両親が結婚資金にくれた300万円がありますね。ただこのお金は結婚式の費用に使いたいんです……。あとは……夫の収入(非公開)と私の収入をあわせて、月2万円ぐらい細々と貯金しています。お恥ずかしいですが、合計2ケタ万円ってところです」 

 

ちなみに総務省統計局『家計調査(二人以上の世帯)2024年(令和6年)7月分』によると、2人以上の世帯の消費支出(除く住居等)は1世帯あたり「25万5,969円」。子育て資金を貯めたいということもあり、なかなか厳しい生活を送っているのが実情のようだ。 

 

 

およそ10年前、野村不動産ソリューションズはタワマン居住者を対象に「タワーマンションに関する意識調査」(2012年)を発表した。当時の結果が以下だ。 

 

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「タワーマンションに住んで良かったと思いますか。」 

 

→ 良かったと思う 91.8% 

 

→ 良かったと思わない 8.2% 

 

 

「タワーマンションの資産価値は高いと感じますか。」 

 

→ 高いと感じる 72.4% 

 

→ 高いと感じない 27.6% 

 

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時は流れ、現在。「タワマン」と検索すれば、ネットニュースはもちろんのこと、YouTube、Twitter、TikTokなどでも「タワマン夫婦の暮らし」「超高級タワマン内見してみた!」といった文字が並ぶ。 

 

国民のタワマンへの関心は高まっているが、「大規模修繕」が話題になっていることをご存じだろうか。 

 

実はタワマン、その歴史は1970年代から。建設ラッシュが始まったのは1990年代後半であるため、揃いも揃って大規模修繕工事に追われる……という懸念がまことしやかに囁かれている。 

 

その分、賃貸組は「困ったら引っ越し」の選択肢があるだけよいかもしれない。では、タワマン購入組はどう思っているのだろうか? 

 

都内某タワマン、2LDKをお買い上げしたBさん。証券会社勤務で、妻と子どもの3人暮らし。賃貸であれば毎月50万円~はくだらない。 

 

「築浅なので、大規模修繕工事にはまだ時間があります。まあそれはともかく、ウチは駅から近いし眺めもいいし、値崩れはしないと思いますね。利便性も抜群で、本当に買ってよかったと思います。不動産価格の下落って特に『タワマンだから~』って話じゃないと思いますけど、なんでタワマンばっかりフィーチャーされるんですかね。都心の一等地の建物なら、タワマンであれ戸建てであれ、当分心配することないでしょう」 

 

タワマンに住むことは、多くの人にとってステータスシンボルであり、生活の利便性も高い。しかし、狭い住空間や家計への負担、さらに大規模修繕の課題など、住む前にしっかりと検討すべき点が多い。タワマンブームが続く中、その裏にはシビアな経済的現実があることを忘れてはいけないだろう。 

 

 

 
 

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