( 213473 )  2024/09/20 01:41:53  
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写真:LIMO [リーモ] 

 

「老後」と聞いて、どんなイメージが浮かびますか?  

 

私も日々、将来の資金についての相談を受けることが多いのですが、あまりポジティブなイメージを持っている人は少ないです。 

 

◆【写真5枚】高齢者世帯の生活が「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」どれだけの人が回答した? 

 

「年金だけじゃ足りないんじゃないか」とか「年金がなくなっちゃうんじゃないか」と心配する声がよく聞かれます。 

 

今日は、高齢者世帯が実際にどんな気持ちでいるのか、生活意識調査を基に見ていきたいと思います。 

 

それから、「年金生活者支援給付金」がどんなものなのかも、詳しく掘り下げてみましょう。 

 

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。 

 

厚生労働省の2023年の調査によると、高齢者世帯の約59%が「生活が大変苦しい」または「やや苦しい」と答えています。 

 

●全世帯の結果 

 ・大変苦しい:26.5%(前回20.2%) 

 ・やや苦しい:33.1%(前回31.0%) 

 ・普通:35.8%(前回42.1%) 

 ・ややゆとりがある:3.9%(前回5.5%) 

 ・大変ゆとりがある:0.7%(前回1.1%) 

●うち児童のいる世帯の結果 

 ・大変苦しい:28.5%(前回22.9%) 

 ・やや苦しい:36.5%(前回31.7%) 

 ・普通:31.5%(前回39.0%) 

 ・ややゆとりがある:3.1%(前回5.4%) 

 ・大変ゆとりがある:0.4%(前回0.9%) 

●高齢者世帯の結果 

 ・大変苦しい:26.4%(前回18.1%) 

 ・やや苦しい:32.6%(前回30.2%) 

 ・普通:36.7%(前回45.1%) 

 ・ややゆとりがある:3.9%(前回2.5%) 

 ・大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%) 

2022年の調査では「大変苦しい」や「やや苦しい」の合計が48%だったので、たった1年で「苦しい」と感じる世帯が10%も増えていることになります。 

 

物価がどんどん上がってきて、特に高齢者の生活が厳しくなっているのがよくわかりますね。 

 

年金や貯蓄だけで暮らしている高齢者にとって、生活必需品や医療費の負担が増えることで、日常生活がどんどん大変になっているのでしょう。限られた収入で生活を維持するのは本当に難しいんですね。 

 

次の章では、年金の平均受給額について見ていきますので、引き続きチェックしてみてください。 

 

 

厚生労働省が発表した令和4年度のデータによると、厚生年金の平均受給額は月14万5000円ほどです。 

 

●厚生年金の平均月額 

物価が上がっているのに対して、年金の増額はなかなか追いついていないのが現実です。 

 

つまり、実質的には年金の価値が少しずつ減っているというわけです。 

 

●国民年金の平均月額 

次に、国民年金の平均受給額を見ていきます。 

 

 ・注1.新法基礎年金について老齢基礎年金の受給資格期間を原則として 25 年以上有するものは「老齢年金・25 年以上」に、それ以外のものは「通算老齢年金・25 年未満」に計上している。 

 ・注2.( )内は、基礎のみ・旧国年の受給者について再掲したものである。ここで「基礎のみ」とは、同一の年金種別の厚生年金保険(第1号)(旧共済組合を除く)の受給権を有しない基礎年金受給者をいう。 

 ・注3.[ ]内は、基礎のみ共済なし・旧国年の受給者について再掲したものである。ここで「基礎のみ共済なし」とは「基礎のみ」の受給者のうち、共済組合等の組合員等たる厚生年金保険の被保険者期間(平成 27 年9月以前の共済組合等の組合員等の期間を含む)を有しない受給者をいう。 

国民年金は5万6000円前後となっています。これだけで生活するのはなかなか厳しいですね。国民年金だけに頼っている世帯は、生活がどんどん難しくなっているのが現状です。 

 

そんな厳しい状況に対応するために、政府は「年金生活者支援給付金」という制度を用意しています。これは、生活が厳しい高齢者に対して支給される給付金です。 

 

次の章では、この年金生活者支援給付金の詳細について、支給金額や対象者などをわかりやすく解説していきますので、ぜひチェックしてみてください。 

 

年金生活者支援給付金は、老齢年金、障害年金、遺族年金の受給者に対して、一定の条件を満たすと支給される給付金です。 

 

●老齢年金生活者支援給付金の対象者と給付額 

 ・65歳以上の老齢基礎年金の受給者 

 ・同一世帯の全員が市町村民税非課税 

 ・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が87万8900円以下(※2) 

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。 

※2 77万8900円を超え87万8900円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。 

 

この支給金は、保険料をどれだけ納めたかや免除期間を元に計算されます。 

 

 給付額 

 

 ・保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5310円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月 

 ・保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/被保険者月数480月 

●障害年金生活者支援給付金の対象者と給付額 

 ・障害基礎年金の受給者 

 ・前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下 

※1 障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。 

※2 扶養親族等の数に応じて増額 

 

 給付額 

 

 ・障害等級2級:月額5310円 

 ・障害等級1級:月額6638円 

●遺族年金生活者支援給付金の対象者と給付額 

 ・遺族基礎年金の受給者 

 ・前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下 

※1 遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。 

※2 扶養親族等の数に応じて増額 

 

 給付額 

 

 ・月額5310円 

※2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5310円を子の数で割った金額をそれぞれに支給する 

 

年間でおおよそ6万円が支給されることになります。ただし、この給付金を受け取るには申請が必要です。自動的に振り込まれるわけではないので、申請しないと受け取れません。 

 

申請の方法や具体的な手続きについては、次の章で詳しく解説します。 

 

 

年金生活者支援給付金を受け取るには、簡単な手続きが必要です。以下の手順で進めてみましょう。 

 

●老齢基礎年金を新たに請求する人 

65歳になる3ヵ月前に、老齢基礎年金の請求書と一緒に給付金請求書が送られてきます。 

 

その中に入っている給付金請求書に必要な情報を記入して、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出すれば完了です。 

 

●すでに特別支給の老齢厚生年金を受給している人 

年金を受け取っている人が所得の減少で対象になった場合、9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書」が郵送されます。 

 

この請求書に必要事項を記入して、郵便ポストに投函すれば手続き完了です。 

 

一度手続きすると、毎年の手続きは不要です。ただし、繰上げ受給をしている場合は、必要な書類が異なるので、しっかり確認してくださいね。 

 

ここまで「年金生活者支援金」について説明しましたが、退職後は長いセカンドライフが待っています。できるだけ金銭的な不安を減らして、安心して暮らしたいですよね。 

 

次の章では、ファイナンシャルアドバイザーの視点から、老後の資産形成についてアドバイスをお届けします。 

 

高齢者世帯の約59%が生活が「苦しい」という答えでした。最近の物価上昇から考えていくと、この割合はさらに増える可能性があります。 

 

輸入に頼らざるを得ない日本では他国の物価変動に連動してしまう傾向があります。 

 

そのため国に頼るのではなく、ある程度は個々に対応していく必要があると言えるでしょう。 

 

では、将来資金についてどのように準備すればよいのでしょうか。 

 

まずは、目的別にお金を分けるところから始めてみましょう。例えば、銀行口座も分けて準備するとわかりやすいでしょう。 

 

日常の生活費、教育費、老後、その他など、何のためにお金を貯めているか区分けすると頭の中が整理できます。 

 

そして、次にそのお金はいつ頃使うのかという期間を分けていきます。期間が分かれることで、運用にも取り組みやすくなります。 

 

すぐに使うお金は預貯金へ。老後に使うお金は、NISAやiDeCo、個人年金なども選択肢として出てきます。 

 

運用に関してわからないことはプロに相談するのもよいでしょう。まずはお金を区分けするところから始めてみてはいかがでしょうか。 

 

 ・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」 

 ・日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」 

 ・日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金を受給されている方の請求手続きの流れ」 

 ・厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」 

 ・厚生労働省「令和4年度「厚生年金保険・国民年金事業の概況 」」 

 ・総務省統計局「2023年(令和5年) 家計の概要」 

 

渡邉 珠紀 

 

 

 
 

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