( 214163 )  2024/09/22 00:44:48  
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2013年の参議院選挙の直前に、安倍元総理と旧統一教会の幹部らが面談していたことが報じられました。しかし、自民党総裁選の候補者は全員が教団との関係について再調査することを否定しています。選挙直前に行われたとされる、この面談。背景を検証しました。 

 

【写真を見る】安倍元総理と旧統一教会の幹部らが選挙直前に“面談”報道 内部文書には「首相からこの方を後援してほしいとの依頼」 教団による選挙支援の実態【報道特集】 

 

■再起をかける両者の利害が一致した時期に…総裁室で教会幹部と面会か 

 

再調査に前向きな候補は一人もいなかった。 

 

小川彩佳キャスター(17日放送「news23」より) 

「教団との関係について、何らかの再調査を行うという方は挙手をお願いします」 

 

自民党総裁選の9候補 

「・・・・・・・・・」 

 

この日、朝日新聞の朝刊が安倍元総理が教団の幹部と面会する写真を一面トップで報じた。 

 

旧統一教会 元渉外担当の信者 

「やっぱり出たかという感じ。教団がどこに行っても記念撮影して宣伝に使うっていうのは、もう昔からやってることなので」 

 

こう話すのは、教団の渉外担当だった信者だ。 

 

報じられた写真は、2013年6月30日に自民党本部の総裁応接室で撮影されたものだという。 

 

当時、総理だった安倍氏の両隣には旧統一教会と関連団体のトップ・世界平和統一家庭連合の徳野会長と全国祝福家庭総連合会の宋龍天総会長、そして教団の政治団体・国際勝共連合の太田洪量会長と幹部2人。衆議院議員の岸信夫氏と、萩生田光一氏も写る。 

 

2013年6月30日は日曜日。首相動静では、午前中に自民党本部で中小事業者とのイベントに出席したのち、午後1時9分から45分の間に、萩生田議員と岸議員と会ったことになっている。 

 

日下部正樹キャスター 

「宋総会長は日本語がペラペラ?」 

 

元渉外担当の信者 

「日本語は全然です。太田さんは韓国語ができるので、(写真の座り位置は)通訳している可能性がありますね。このリボンが不可解ですね」 

 

注目したのは、総会長たちが胸につけていた白いリボン。記念撮影時には外されている。 

 

調べてみると、教団はこの日の午後2時に都内でイベントを開いていた。出席していた宋総会長の胸に、白い何かがついているようにうかがえる。元渉外担当は… 

 

 

元渉外担当の信者 

「推測では、すでに教団イベントの準備をしていて(議員側から)『急遽時間が出来たから来て』って言われて飛んで来た。付けたまま。記念写真のときは違和感があったのか取りましょうとなって取って写っている。もしそうだとしたら、安倍さん側が逆に『来て』って言ったのか?指示したのか?」 

 

面会の4日後には、参院選の公示が控えていた。2009年に下野した自民党にとって、参議院でも過半数を取り戻すための重要な選挙だった。 

 

一方、旧統一教会側も違法な霊感商法による逮捕者が出た2009年以降、宗教団体としての再建を進めていた時期だ。 

 

しかし2012年、教祖である文鮮明氏が死亡し、教団内部は分裂の危機に。 

 

そうした中で2013年、教義を国民の宗教にするとした教団の方針、「ビジョン2020」を打ち出した。 

 

再起をかける両者の利害が一致した時期だったという。 

 

元渉外担当の信者 

「実際、あの頃(教団の)大会に呼べば、自民党の人が祝電を打ってくれたり、実際に来て挨拶してくれたり、そういうのが続いていた。次の選挙では絶対勝たせようと、自民党を全面的に応援すると。その代わり教会も守ってほしいという考えがあった」 

 

日下部キャスター 

「一種、そのときの自民党と教団の蜜月みたいなものを象徴する写真?」 

 

元渉外担当の信者 

「そういうことになりますね。一番端的に、この1枚でわかる」 

 

■「世界平和連合という団体が応援につくから」教団による選挙支援の実態とは 

 

安倍氏が総裁応接室で教団幹部たちと面談したのは、「教団側による自民党候補者の選挙支援を確認する場だった」と朝日新聞は報じている。 

 

その候補とは、安倍派の北村経夫参院議員だ。 

 

安倍昭恵 氏(2013年参院選) 

「主人も北村さんとは親しくさせていただいて、本当に素晴らしい…」 

 

知名度も低く「当選には程遠い」と言われていたが、2013年の参院選で比例で初当選。2019年に行われた参院選でも、同じく比例で当選した。 

 

 

勝ち抜いてきた背景に、教団の関与はあったのか。 

 

北村議員が初めて立候補した2013年に、教団から全国の信者に送られたという内部文書。そこには… 

 

「首相からじきじき、この方を後援してほしいとの依頼があり」 

 

文書には、安倍元総理から直接依頼があったことが記されている。さらに… 

 

「今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」 

 

北村議員の選挙事務所で働いていた人物から話を聞くことができた。 

 

北村経夫選挙事務所 近藤将勝 元スタッフ 

「なかなか(北村)候補は厳しいという話が6月の中旬頃まではありました。その後、福岡の北村選対の事務局長が東京に行かれまして、そのときに戻ってきて開口一番おっしゃったのが『世界平和連合(旧統一教会)という団体が応援につくから』と」 

 

村瀬健介キャスター 

「6月30日に安倍総理が総裁室で教団幹部と会って北村候補の応援について話し合っているっていうのは、自分の中ではピタッとくるものがありました?」 

 

北村経夫選挙事務所 近藤将勝 元スタッフ 

「正直ありました。やっぱり一連の流れは繋がっているんだなと」 

 

事務所から教団関係者に選挙支援を求める電話を頻繁にかけていたという。 

 

北村経夫選挙事務所 近藤将勝 元スタッフ 

「このあたり、世界平和連合、国際勝共連合。一般の企業にお勤めの方は電話に出ない、反応がよくないんですけれども、この団体の方々は全員電話に出て『頑張って下さい』『北村さん応援してます』ということをおっしゃる」 

 

選挙活動中、北村議員は教団の集会にも参加していたという。 

 

北村経夫選挙事務所 近藤将勝 元スタッフ 

「実際に(教団から)事務所に送られてきたFAXで、(北村)候補は旧統一教会の久留米教会と福岡協会と2か所ありますが、夕方から2か所回って礼拝の中で講話をされている。選挙支援を求める趣旨だと思う」 

 

教団関係者に聞いた。 

 

教団関係者 

「(北村候補が)来られたのは覚えてます」 

 

 

村瀬キャスター 

「選挙の応援を頼むための挨拶だった?」 

教団関係者 

「じゃないでしょうか」 

 

村瀬キャスター 

「北村経夫候補を教団として応援されていたと思うんですけれども、そのことは覚えてらっしゃいますか?」 

教団関係者 

「そうですね、なんかそういう話は出てましたね、確かにね。一人一人にそういう話があって」 

 

■元信者「2019年も選挙支援」「もっと票を集めなければいけないというお達しが」 

 

教団による北村議員への選挙支援は、6年後の参院選でも繰り返された。 

 

元2世信者の男性は… 

 

山本恵里伽キャスター 

「これは何を呼びかけるラインですか?」 

 

元2世信者 

「これは2019年の参議院選挙のときに北村経夫議員を統一教会全体で選挙応援しているグループラインです」 

 

やりとりには期日前投票をしたという信者を「内部」、信者が投票を呼びかけた知人を「ゲスト」として、票数が記されていた。 

 

元2世信者 

「ライバルとなる候補者は20万の基盤を持っていて、我々は内部、信者ですね、7.4万人、ゲスト4.5万で12万の票ということで、統一教会全体に対してもっと票を集めなければいけないというお達しが出ている」 

 

目標数には足りず、教団内部ではギリギリまでゲストを勧誘した記録が残っていた。 

 

グループラインより 

「ゲスト9万を目指していますが、さほど伸びず5万程」 

「このままだと落選してしまう」 

「電話帳やLINE友達を一通りみて」 

「一人7人以上、できれば10人の確定を目指して頑張りましょう」 

 

その3日後、当選が危ぶまれていた北村議員は約17万8000票を獲得し、再選を果たした。 

 

この結果に信者も… 

 

グループラインより 

「安倍首相が嬉しそうですね!」 

 

山本キャスター 

「北村議員は、信者の支援がなければ…」 

元2世信者 

「おそらく落選していたと思います」 

 

教団の関連団体の資料には、選挙を組織的に支援する狙いが記されていた。 

 

教団関連団体の資料より 

「我々が当落を左右する議員100人を結束」 

「総理大臣・閣僚選出のキャスティングボート」 

「国を動かし得る基盤」 

 

 

 
 

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