( 215313 )  2024/09/25 16:33:00  
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自由な出勤時間などの取り組みを続ける武藤社長(同社提供) 

 

 「無断欠勤OK」「嫌いな作業はしてはいけない」など、まさに“会社の常識”を見直して業績を伸ばし、注目を集める会社がある。大阪府摂津市のパプアニューギニア海産だ。社長で工場長の武藤北斗(むとうほくと)さん(48)は働き方に柔軟性を持たせている理由について「作業効率や製品の品質を上げるために必要だから」と説明する。 

 

【写真】工場で加工しているエビと従業員 

 

 働くのは武藤さんと社員3人、パート20人の計24人。パプアニューギニア産の天然エビを輸入し、工場でエビフライやむきエビに加工する。長野県内ではパンや日用品を手がける東御市の店「わざわざ」や通信販売で買える。 

 

 働き方が変わったのはパート従業員。以前はシフト制だったが2013年に「出勤・欠勤日は自由。(出欠を伝える事前の)連絡は禁止」に変更した。その後、パン粉付けや袋入れ、掃除といった作業から嫌いなものを毎月聞く「嫌い表」なども導入。嫌いとした項目は「やってはいけない」ルールになっている。 

 

 無謀とも思える取り組みだが、16年に「出勤時間も自由」としてから出勤者ゼロの日はなく、人員不足による欠品もない。離職率が低下し、長く勤める従業員が作業することで効率も品質も向上した。 

 

 工場運営が滞らないよう、作業工程の多い商品と少ない商品の生産量を出勤者数に合わせて調節するなどさまざまな工夫を重ねる。「課題が生じるたび解決法を試したり新たなルールを考えたり。その繰り返しが大事」と武藤さん。繁忙期には「できれば出社してほしい」と率直に頼むことも。もちろん従わなくてもペナルティーはない。 

 

 求人には全国から多くの応募があり、ひきこもり状態だった人や定時出勤に重圧を感じていた人もそれぞれのペースで働く。武藤さんはあいさつを重視しているが、数年前に社交不安障害のある従業員から「あいさつがつらい」と打ち明けられた。困惑したものの、「嫌い表」に「あいさつ」と追加し解決。武藤さんは「必要なのは、一緒に働くために何ができるか考えることだ」と振り返る。 

 

 

 
 

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