( 217285 )  2024/10/01 02:27:42  
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メダルを使わないスマスロでは獲得枚数がデジタルで表示される。数千枚クラスの出玉も珍しくない 

 

 ユーザー離れにあえいでいたパチスロ業界に、メダルを使用しないパチスロ機“スマートパチスロ”通称「スマスロ」が登場したのが2022年11月のこと。2023年4月にかつての大ヒットシリーズ『パチスロ北斗の拳』のスマスロバージョンとなる『スマスロ北斗の拳』が登場し人気を博したことも影響し、パチスロ人口がV字回復するなど、スマスロはパチスロ界の救世主にもなった。そんなスマスロ登場から2年の月日が経とうとするなか、パチンコホールではますますスマスロの存在感が大きくなりつつある。 

 

【写真】パチスロ界の救世主にもなった『スマスロ北斗の拳』 

 

 スマスロが支持される大きな理由は、それまでの6.5号機と呼ばれるパチスロ機に比べて、出玉性能が高いことだ。パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が説明する。 

 

「パチスロ機については、基本的に射幸性が高い機種が人気になりやすく、メーカーも出玉規制の範囲内で、できるだけファンの要望に応えられる機種を開発しようとする流れがあります。そんななか、2005年以降に登場した5号機と呼ばれる機種の射幸性の高さが問題となり、2018年に出玉性能が抑えられた6号機が登場します。しかし、6号機はあまりにも射幸性が低くなってしまったがゆえに、著しいユーザー離れを招いてしまいました。そこで、2022年に出玉規制が緩和されたメダル機の6.5号機が登場し、さらに出玉性能が高まったスマスロが2022年に登場したという流れです。 

 

 ちなみに、初代の『パチスロ北斗の拳』は2003年の登場で4号機です。4号機は、5号機よりも射幸性が高く、1日に数十万円勝つことが可能な機種もありました。スマスロは4号機ほどではないのですが、それなりに出玉性能が高くなっており、スマスロの時代になって4号機時代に打っていた40代・50代のユーザーが戻りつつあるとも言われています」 

 

 では、4号機の黄金時代を実際に体験しているパチスロユーザーたちは、現在のスマスロについて、どう感じているのだろうか。いまでもパチスロを楽しんでいる4号機世代の生の声を聞いた。 

 

 

 都内に住む会社員のAさん(50代男性)は、4号機の初期の頃(1990年代)からパチスロを打ち始め、現在でも頻繁にホールへと足を運んでいる。 

 

「いちばん楽しかったのは、4号機全盛の2000年代前半ですね。ストック機(ボーナスが連チャンする機種)やAT機(AT=アシストタイム。小役揃えるための打ち方をアシストしてくれる機能を搭載した機種)を打ちまくっていました。射幸性が高いので、負けるときはとことん負けましたが、その分大きく勝つこともありました。 

 

 その後、5号機になって出玉性能は寂しくなりましたが、それでも5号機の後半は一撃万枚(一連のボーナスやATなどの連続で1万枚以上獲得すること)があるような機種もあって楽しかったです」 

 

 6号機時代になるとパチスロに行く頻度は落ちたというAさんだが、スマスロの時代になり、またその頻度が高まっているという。 

 

「大きなきっかけは『スマスロ北斗の拳』でした。基本的なゲーム性が4号機の北斗とほぼ同じなので、懐かしさもあって導入時からよく打っています。ほかにも、『革命機ヴァルヴレイヴ』や『からくりサーカス』など、出玉爆発力がある機種も好きです。4号機ほどとはいわないものの、一撃数千枚を獲得することは珍しくないし、運が良ければ万枚も狙えるので、当時の雰囲気を多少なりとも感じられる。 

 

 5号機や6号機への移行で出玉性能がガクンと落ちた時代を体験している身としては、スマスロの登場は本当にうれしいです。あと、スマスロは4号機に比べると、1日の負け額がそこまで大きくなりにくいというのもありがたいですね」(Aさん) 

 

 Aさんは、スマスロに4号機時代の雰囲気を感じているようだが、実際の出玉性能は大きな差がある。前出の藤井氏が説明する。 

 

「4号機はかなりのハイリスクハイリターンですが、スマスロはそこまでではありません。お金がなくなるスピードも4号機のほうがかなり速いものでした。 

 

 パチスロでは1000円あたりで回せるゲーム数が少ない機種ほどハイリスクハイリターンなのですが、たとえば4号機の『ミリオンゴッド』は1000円で20回転くらいしか回らなかったのに、現在のスマスロでは1000円あたり30回以上回せる機種がほとんどです。スマスロは4号機よりもリスクが低いわけで、当然ながらリターンも小さくなります。6号機があまりにも出玉性能が低かったがゆえに、スマスロが相対的に評価されているということもあるでしょう」 

 

 

 20年前の4号機時代と比べると、スマスロは演出やゲーム性の面でも大きく進化している。液晶画面では美麗なアニメーションやCGが展開され、ユーザーの心を揺さぶる効果音も多彩だ。現在、スマスロの『モンキーターンV』にドハマリしているという神奈川県の自営業・Bさん(40代男性)は、「スマスロは4号機に比べて、打っていて楽しい」と話す。 

 

「出玉の面ではやっぱり4号機がすごかった。その点については、揺るぎないですよ。でも、ゲーム性や演出はスマスロのほうが断然面白いですね。4号機時代も液晶画面でいろんな演出がありましたが、今考えると結構チープだし、シンプルでしたよ。 

 

 でも、今の時代はそうした部分がちょっと過剰なくらいに豪華で、出玉よりも演出を楽しみたいから打っているという部分も否めません。私は『モンキーターンV』が導入された昨年12月からか、週2~3回ほどのペースで打っていますが、いまだに見たことがない演出もありますからね。『今日こそは、あの演出が見られるんじゃないか』と思いながら、ずっと打っています。ただ、音については派手すぎるような気もします」 

 

 また、ゲーム性については「練られている」と感じることも多いようだ。 

 

「4号機の時代は、その機種の内部システムをよく理解できないままだったことも多かったんです。だから『なんかよくわからないけど、たくさん出た』といったこともよくありました。でも、最近のスマスロはゲーム性もよく練られていて、打っていて『熱い!』と思わされる瞬間がたくさんあるんです。『ここで小役を引いたら熱い!』とか『次のゲームで50%の抽選を通したら熱い!』とか、そういった形でレバーを叩くときに気合が入ることも多い。よく考えられているゲーム性が、出玉面での4号機との差を埋めているのかなと思います」(Bさん) 

 

 4号機時代の20年前とスマスロ時代の今とで、世の中も大きく変わっている。なかでも、パチスロの楽しみ方に大きな影響を与えているのが、スマートフォンの普及だ。東京都の会社員・Cさん(40代男性)は、こう話す。 

 

「4号機時代は、基本的にパチスロに関する情報は専門誌で得ていました。ネット上にも情報はありましたが、いまほど充実しておらず、新機種を打つときは、雑誌でその機種のシステムを予習していくんです。ただ細かいシステムを全部覚えられるわけでもなくて、打っていてよくわからないことがあったり、チャンスがあるゲーム数がわからずに、ヤメ時を誤ってしまうこともありました。 

 

 でも今は雑誌よりもネットのほうが機種の内部システムに関する情報は多くて、スマホでそれを調べながら打つことができる。ネットを調べれば『○○ゲームまではチャンスなのでヤメてはいけない』というような情報をすぐに知ることができるのは便利です。しっかり予習していかなくても、損をしない打ち方ができるというのはメリットです。4号機の時代も楽しかったけど、いまのほうが安心して打てる気がします」 

 

 4号機とはまったく異なるスマスロだが、そこに新たな楽しみ方を見出す“4号機世代”も少なくない。パチスロの黄金時代が再到来する日もそう遠くはないのかもしれない。(了) 

 

 

 
 

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