( 217761 )  2024/10/02 16:00:17  
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初の首相記者会見を行う石破茂首相=1日午後、首相官邸(春名中撮影) 

 

自民党の石破茂総裁(67)は1日、衆参両院本会議の首相指名選挙で第102代首相に選出された。皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て石破内閣が正式に発足した。新内閣は総裁選の論功行賞の色合いが濃く、後ろ盾の菅義偉副総裁(75)に近い顔触れも多い。ノーサイド、挙党態勢とは言いがたく、政治評論家の有馬晴海氏は「暗雲が垂れ込めている」と危惧した。 

 

石破首相は夜に就任記者会見を開き、発足させた内閣を「納得と共感内閣」と自ら命名。「国民に納得し、共感してもらえる政治を真っすぐ進める」と力を込めた。 

 

有馬氏は「苦労人内閣」と分析。石破氏自身が「苦労人」で、近年では小泉純一郎、麻生太郎、岸田文雄各氏ら多くが初当選から30年弱で首相に就任したが、石破氏は1986年から38年かけて宰相の座にたどり着いた。戦後首相の就任時年齢の平均63・6歳と比べても、67歳での就任は遅咲きの部類に入る。 

 

石破氏は安倍晋三元首相と距離があり、安倍政権が長く続いた「安倍一強」時代に表舞台に立つことは少なかった。安倍氏を強く批判してきた村上誠一郎総務相(72)ら同様に冷遇されてきた人が石破氏の周辺には多く、「同じような境遇だった人に活躍の場を与えようとした側面がある」(有馬氏)。 

 

村上氏を筆頭に岩屋毅外相(67)、赤沢亮正経済再生担当相(63)ら総裁選で石破氏の推薦人となった計6人が入閣し、恩賞人事の印象は強い。また副総裁に就任した菅氏側近の坂井学国家公安委員長(59)、三原じゅん子こども政策担当相(60)が初入閣し、「菅カラー」も濃厚。ベテラン議員は「石破氏は党内基盤が弱く、幅広い人脈を持つ菅氏の政治力が頼り」と話した。 

 

総裁選の決選投票で争った高市早苗氏は党総務会長を固辞した。有馬氏は「高市氏は早くも『ポスト石破』を意識してフリーハンドでいようとしている」。結果的に「ノーサイドの人事にならなかった」と指摘した。 

 

石破首相は9日に衆院を解散し、15日公示、27日投開票の衆院選に向かう。「予算委員会も開かずに解散するのは石破さんらしくない。党内に気を遣いすぎている」と有馬氏。「裏金問題で攻められないように早期解散に踏み切ったが、選挙でいい結果に結びつくかは疑わしい。視界良好とは言えない」と断じた。 

 

 

 
 

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