( 219466 )  2024/10/07 01:16:01  
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令和3年の兵庫県知事選で、期日前投票を行う女性=神戸市中央区 

 

兵庫県議会の不信任決議を受けた斎藤元彦前知事(46)の失職に伴う出直し知事選は、9日の衆院解散を経て行われる次期衆院選とは別日程となる見込みだ。同県内の各自治体にとっては、年初の想定から一転、降ってわいたような「大型選挙イヤー」の到来で、各選挙管理委員会の担当者は準備に大わらわとなっている。 

 

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■態度表明ぎりぎり 

 

「議会の解散というのは、私の中では最初からなかった」 

 

不信任を突き付けられた斎藤氏が会見でこう述べたのは先月26日のことだった。県議会を解散せず、不信任決議に伴う自動失職の上、出直し知事選に臨むと表明。斎藤氏は30日付で失職し、県選管は同日に「10月31日告示、11月17日投開票」という知事選の日程を決めた。 

 

県選管は当初、今秋の実施が取り沙汰されていた衆院選との同日選も念頭に置いていた。 

 

同県財政課によると、前回知事選(令和3年7月18日)に要した費用は約21億円で、前回衆院選(同年10月)は約26億円だった。選挙日程の統一は、人件費をはじめコスト削減につながる。「同日選の場合はこの合計額の約3割減が見込めた」とする。 

 

だが斎藤氏は9月19日の不信任決議以降、議会解散か失職かの態度表明をぎりぎりまで明らかにしなかった。 

 

■同日選は断念 

 

一方、石破茂首相は同30日、まだ首相に指名される前の自民党総裁の地位で「10月9日衆院解散、同27日投開票」を会見で明言した。首相就任前にこうした日程に踏み込むのは極めて異例だが「全国の選挙管理委員会などの選挙準備の観点から表明した」とその理由を述べた。 

 

知事選の実施がもう少し早く分かっていれば、「10月中の同日選が組めていたかもしれない」と県選管の担当者。しかし「投票用紙やポスター掲示場などの発注をはじめとする知事選の準備が間に合わない」として同日選は断念した。 

 

一方、同県丹波市では任期満了に伴う市長・市議選の日程を、今年3月の時点で「11月10日告示、17日投開票」と決めていた。 

 

しかし、知事選や衆院選の実施が現実味を帯び始めた段階で、市選管が改めて期日を変更できるか、その可能性を協議。市選管では、市民が最も注視する市長選と市議選の開票を優先したいとの観点から、大型選挙との同日選を避けるべく日程を探ったが、最終的に「知事選とのトリプル選」に落ち着いた。 

 

 

予想していなかった知事選の実施により、「各自治体とも選挙費用の予算対応に追われている」と県内自治体の財政担当者。議会開会中の自治体では補正予算を組み、閉会中の自治体は専決処分での対応となる。 

 

■期日近い選挙、できるだけ統一を 

 

立命館大政策科学部の上久保誠人教授の話 

 

石破茂首相は、就任前の衆院解散表明について「選挙管理委員会の選挙準備」を理由に挙げた。解散直前に表明した場合は批判を免れないと考え、期日から逆算してアナウンスしたのだと思うが、(選管の準備は)対外的な言い訳だろう。選挙は勝てば官軍。首相就任直後の比較的支持率の高いうちに、野党が準備ができていない早期にやったほうがいいと考え、表明したのだろう。 

 

早期解散に否定的だった過去の発言との整合性を批判されているが、数々の修羅場をくぐってきたベテラン政治家であり「何とでも説明はつく」と思っていたはずだ。 

 

とはいえ、首相が変わるたびに解散・総選挙が毎回行われるのは本来的には良くない。国民が政府の政策を詳しく理解するには3~5年はかかるといわれている。それなのに、就任直後の首相がまだ結果も出していない段階で選挙をすると、どうしても短期的なばらまき中心の政策が中心になってしまう。 

 

国内で選挙日程の統一が進まないのも問題だ。日本ではあまりにもバラバラな日程でたくさんの選挙が行われ、一貫した政策が打ち出されにくくなっている。期日が近い選挙はできるだけ日程を統一させ、シンプルで分かりやすい形にすることが重要だ。(聞き手 秋山紀浩) 

 

 

 
 

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