( 221386 ) 2024/10/12 01:21:42 0 00 潰瘍性大腸炎患者・伊藤克明さん(28)
潰瘍性大腸炎。
大腸の炎症から腹痛や下痢、血便などに悩まされる病気で、安倍元総理も患者だった事で知られています。
原因はわかっておらず、今の医療技術では完治することはありません。発症のピークは20代から30代と、受験・就職・結婚など若い世代のライフプランに影響を与えることもあります。
【動画で見る】患者数は24~25万人 安倍元総理も苦しんだ難病「潰瘍性大腸炎」 患者らが危惧する“指定難病外し”とは
潰瘍性大腸炎患者の内視鏡写真(むらのクリニック提供)
高額な治療費がかかることもあり、国から「指定難病」と認定され、患者は助成を受けることができます。しかし今、「指定難病」から外されるかもしれないと、患者達が危惧する状況に置かれています。
体調が悪化時は 5万円近い医療費がかかることも
広島に住む伊藤克明さん(28)。4年前に潰瘍性大腸炎と診断されました。
高校生の時からお腹に”違和感”があったと話す伊藤さん。23歳の時、会社の友人と食事をした際に出て来たナッツで下痢が止まらなくなり、大学病院を受診します。しかし病名は分からず・・・「潰瘍性大腸炎」の診断が下るまで約1年、5つの病院を転々としたといいます。
「何か分からないっていうモヤモヤが晴れたというのはありました。ただ一方で、自分が難病だったというのは思いもしませんでした」。
その後は医師の診断・治療方針に従い、1日10錠以上の薬を服用。普通の生活が送れる「寛解」(かんかい)状態を維持しています。
1回あたり5万円近い医療費がかかることもありましたが、指定難病の助成制度のおかげで、伊藤さんの毎月の出費は最大2万円で済んでいます。
「助成制度がなかったら、(体調が悪いときは)毎月6万円ぐらい負担することになります。病院に行く頻度は、下がってくるんじゃないかと思ってます」。
村野実之医師(むらのクリニック院長)
約500人の潰瘍性大腸炎患者を診ている村野実之医師(むらのクリニック院長)によると、原因ははっきりとは分かっておらず、根治のための方法も確立されていないため、症状を落ち着かせる「寛解」を維持することしかできないとのことです。そして、患者数も急増しているといいます。
(村野実之医師) 「(患者数は)2015年までで17万人でした。その後、約10年経っていますから、試算では24万人から25万人まで増えているんじゃないかと推測されています」。
昨年末 厚生労働省が出した文書
”難病”と呼ばれる病気は世界に数千あるとも言われ、厚生労働省はそのうち、「患者数が一定数以下で診断基準が確立している」341の疾病を指定難病としています。指定難病と認められた患者には医療費が助成されますが、去年の冬、厚生労働省・指定難病検討委員会の会議で、「指定難病の検討について」と題された資料が出されました。
患者数が増え、すでに指定難病の要件を満たさないのでは?と言われている
そこには、次のように書かれています。
・「指定難病の要件に合致しない状況であると判断される場合には、対象疾病の見直しについて検討する」 潰瘍性大腸炎も指定難病ですが、すでに「患者数が一定数以下」(人口の0.1%程度以下、当面18万人未満)という要件を満たさないのではといわれています。
厚労省は取材に「特定の疾患について、絞って表現したものではない」と回答
そして・・・
・「根治のための治療方法がなく、継続的な治療が必要な疾病であっても、一般と同等の社会生活を送ることが可能である場合には、該当しないものとする。」 ABCテレビの取材に対し厚生労働省は、「特定の疾患について、絞って表現したものではない」と回答しましたが、患者など当事者から「潰瘍性大腸炎などの病気を、指定難病から外す動きではないのか?」と、不安の声が上がっています。
大阪IBD代表・布谷嘉浩氏
大阪を拠点に活動する患者会「大阪IBD」は9月、”指定難病外し”問題をテーマにした講演会を開きました。布谷嘉浩代表は、厚生労働省の動きに危機感を抱いています。
(布谷嘉浩・大阪IBD代表) 「これほどバカな政策は無くて、何が起こるかというと、(患者は)経済的にしんどいので診療控えですね。そうすると体調を崩します。納税者から入院患者に転落するシステムを作っている。国にとっても損な政策をしようとしている」。
布谷氏と共同代表を務める三好和也氏
布谷氏と共に大阪IBDの共同代表を務める三好和也さんも潰瘍性大腸炎の患者で、寛解状態を維持しながら、会社員と並行して患者会活動を行っています。
(三好和也・大阪IBD共同代表) 「『普通に生活できてるやん』って言われる訳ですよ我々も。でも体調が落ちると、(費用が)莫大にかかる治療があるわけで、助成が無くなったら、私たちは病院に行けない」。
「この病気は治らず、一生向き合わなければならない」と話す患者の伊藤さん
広島に住む、28歳の潰瘍性大腸炎患者の伊藤さん。
半年ほど前に東京都内での仕事を辞め、昔から好きだったという瀬戸内に移住。農家などと協力し、「地元の味」をふるさと納税サイトに掲載する仕事を立ち上げました。早くも軌道に乗ったということです。
「今は素晴らしい環境にいるので、ガンガン働いています。今の制度のおかげで、いい治療法を選んで、いい状況を保てています。ただ、この病気は治りません。一生、向き合わなければなりません。この制度がなくなってしまうと困ります」。
(2024年10月9日 「newsおかえり」で放送)
|
![]() |