( 222326 ) 2024/10/14 17:06:07 0 00 横川楓さん
日本銀行の利上げを受けて、金融機関が住宅ローンの金利を引き上げる動きが相次いでいます。私の周りでも、銀行から「金利が上がる」というお知らせが来た、という声があがっています。今回は、住宅ローンと金利についてお話しします。
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前々回の記事で、日本銀行の利上げによって銀行の普通預金の金利が上がり、お金を預けているだけでもらえる利息が以前より増える一方、住宅ローンの金利が引き上げられて出費が増える、というお話をしました。
実際、金融機関では住宅ローンの金利を見直す動きが出ています。
「住宅ローン変動金利、あすから0.15%幅上昇 大手行で17年ぶり」(9月30日配信、朝日新聞デジタル)
3メガバンクなど大手銀行は30日、住宅ローンの変動型金利を10月1日から引き上げると発表した。既存の契約者らを対象に、9月と比べて0.15%幅上げる。
住宅の価格は高額のため、その代金を一括で支払うのは難しいもの。そこで、購入する際には住宅ローンを組み、金融機関からお金を借りることが一般的かと思います。代金は、銀行口座から毎月引き落とされる形で、長期にわたって少しずつ返済していくことになります。
借りたお金(元金)には利息をつけて返さないといけないわけですが、利息がどれだけ上乗せされるのかという計算に使う割合が「金利」です。
この住宅ローンの金利は、日銀が政策金利を上げたり下げたりすることなどを受けて、それぞれの金融機関が決めるものです。
■固定金利、変動金利とは
住宅ローンの金利には、一般的に「固定金利」と「変動金利」があります。
固定金利のうちの「全期間固定金利型」は、お金を借りたときの金利が、返済が終了するまで一定のものです。日銀が「利上げ」をしても住宅ローンの金利は変わりませんが、一方で「利下げ」をしてもそのまま、ということになります。
ずっと金利が一定なので返済計画を立てやすいというメリットがありますが、金利が高めに設定されていることが一般的です。
また、固定金利でも「固定金利期間選択型」は、一定の期間は固定金利で、その後は固定金利か変動金利かを選べるというもの。一定期間は金利の変動を避けたいという事情がある場合などに検討するといいでしょう。
そして、今回話題となっている「変動金利型」は、情勢の影響を受けて金利が変動するものです。
ただ、変動といっても頻繁にあるわけではなく、金利上昇の影響が反映されるまでに「猶予期間」があります。そして返済月額の見直しは5年ごとという「5年ルール」と、急激に金利が上がっても上昇幅は前回までの返済月額の最大125%までという「125%ルール」が、条件によって適用されます。
なので、金利が急上昇しても月々の返済額が突然増えるわけではありませんが、長期的には金利が上がれば負担が増えることに間違いありません。
住宅ローンを組んだ際、ご自身の働き方の変化、子どもの成長といった将来設計もふまえて、月々どれぐらいを支払っていくか返済計画を立てたと思いますが、そのプランが無理のないものかどうか、あらためて確認しておく必要が出てくるかもしれません。
■「金利のある世界」になった今
住宅ローンを「固定型」にするか「変動型」にするか、その判断は難しいものですが、今回取り上げた記事でも触れられている通り、住宅ローン利用者の約7割が「変動型」を選んでいるそうです。今回の利上げの影響を、多少なりとも受ける方は多いでしょう。
今後の返済計画にも影響しますので、ローンを「変動型」で借りている方は、ご自身が借りている銀行の金利がどうなっているか、あらためて確認してみてはどうでしょうか。
そして、これから家という大きな買い物をしようとしている方にとっては、住宅ローンとは長い間、付き合っていくことになります。
長く続いた低金利の時代から「金利がある世界」になった今、金利の仕組みをあらためて知っておく必要があります。
(横川楓)
横川楓(よこかわ・かえで) 1990年生まれ。経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得し、「やさしいお金の専門家/金融・経済アナリスト」として活動。一般社団法人日本金融教育推進協会代表理事。「誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーにお金の知識を啓発、金融教育の普及に取り組んでいる。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)、『お金の不安と真剣に向き合ったら人生のモヤモヤがはれました!』(オーバーラップ)。
横川楓
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