( 222796 ) 2024/10/16 01:00:55 0 00 送電線=北海道豊富町
政府・与党内で、10月末に期限を迎える電気・都市ガス代の補助金や年内が期限のガソリン補助金の再延長案が浮上している。15日公示、27日投開票の衆院選で物価高対策が争点の一つとなる中、公明党は補助金の継続を公約に掲げ、自民党も同調する気配を見せる。ただ、補助金を巡っては、与党内でも財政負担増や脱炭素政策への逆行などの懸念から強く反対する声が出ており、政府も対応について言葉を濁している。
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■与党は補助金が基本線
衆院選の公約や討論をみると、エネルギー価格上昇への対応は各党さまざまだ。立憲民主党は「中低所得者に月3千円のエネルギー手当を給付」、日本維新の会は「事業者への補助金ではなく、需要家への直接給付」などを挙げている。
これに対し、与党は現行の補助金を基本線とする。自民は明言こそしていないが、公約に「電気・ガス料金、燃料費高騰対策と併せて、物価高への総合的な対策に取り組む」と明記。13日のNHK番組では、公明の石井啓一代表が「補助金の継続」を強調した際、横に座る石破茂首相が大きくうなずく場面もみられた。
ロシアのウクライナ侵攻や歴史的な円安によるエネルギー価格の高騰を受け、政府は令和4年にガソリン補助金、5年に電気・ガス補助金を始めた。電気・ガス補助は今年5月使用分で一旦終了したが、酷暑対策として8~10月分に限って再開。とはいえ、2年以上延長を繰り返してきたガソリン補助も含め、年内に終了することになっている。
だが、6~7月使用分(7~8月請求分)の補助金が途切れた影響で、8月の消費者物価指数は電気代が前年同月比26・2%上昇、都市ガス代も15・1%上昇するなど高止まり。また、8月は実質賃金が3カ月ぶりにマイナスに転じ、物価高に賃金が追い付かない状況に戻っている。こうした状況から、暖房需要の膨らむ冬季に補助金を延長すべきだという声が与党内で聞かれるようになった。
■補助の支出額11兆円超に
もっとも、延長を繰り返した結果、電気・ガスやガソリン補助に投じた支出総額は11兆円超にも達する。ある自民議員は「これだけあれば、どれだけの脱炭素への投資を進められたか」と、脱炭素に逆行する補助金の継続に否定的だ。
補助金の長期化が需給バランスで価格が決まる市場の原理をゆがめているとの批判もある。明治安田総合研究所の小玉祐一フェローチーフエコノミストは「円安や原油価格が落ち着き、やめるのにちょうどいいタイミングだ」と指摘する。
その一方で、年明けから補助金を再開するとの一部報道もある。政府は「経済対策を議論する中で総合的に検討する」と明言を避けている。経産省幹部はこうつぶやく。「本音を言えばやめたい。あとは首相の判断次第だ」(万福博之)
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