( 223134 )  2024/10/17 00:56:47  
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無所属で立候補する萩生田光一氏が、自民党内では不信感を持たれるなど、波紋を広げている。

萩生田氏は裏金事件で問題となり、自民党から非公認とされ、総裁選では高市早苗氏の票集めを呼びかけていた。

また、石破内閣についても批判的な発言をし、自らの裏金事件への関与について反論している。

萩生田氏は野党と接戦しており、地元での発言も疑念を抱かせるものが多い。

畑尻文夫氏など、他の候補者も立候補している中で、萩生田氏の選挙戦は厳しいものとなりそうだ。

(要約)

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無所属での立候補となった萩生田光一氏 

 

「この期に及んでも空気が読めない人だ」 

 

 とぼやくのは、東京都八王子市の自民党市議A氏。空気が読めないというのは、衆院選で東京24区(八王子市の一部)に立候補している自民党元政調会長、萩生田光一氏だ。 

 

【写真】萩生田氏が総裁選で票をまとめた結果はこちら 

 

 自民党の政治資金パーティー収入を裏金化した事件で、安倍派5人衆の一人である萩生田氏は、2018年から22年までの5年間で2728万円という巨額の裏金をつくっていた。石破茂首相は萩生田氏を含む裏金議員12人を衆院選で「非公認」と決定。萩生田氏は、裏金事件で政調会長を辞任し、党役職停止処分を受け、最後は「非公認」となって、衆院選には無所属で立候補している。 

 

 萩生田氏は党公認ではないため、集会などに足を運ばない自民党関係者らもいるが、すると、 

「萩生田氏は『〇〇はきていない』『△△はいないってどういうわけ』と愚痴るんです。指摘された党関係者の耳に入ると、当然ムッとして『この野郎』ってなりますよ」 

 とA市議は言うのだ。 

 

■総裁選で安倍派の結束を呼び掛けた 

 

「国会でも同じですね」 

 

 と話すのは、安倍派の衆院議員だった、B氏だ。 

 

 9月27日に投開票された自民党総裁選の時だった。同じ安倍派であってもあまり交流がなかった萩生田氏が、次のようにB議員に声をかけてきたという。 

 

「総裁選は(安倍派)みんなで結束しよう。私が中心になる。いずれまた私が安倍派のみんなをまとめることになるから」 

 

 B議員は総裁選でどの候補に投票するか公にしていなかったため、萩生田氏が接触してきたようだった。そして萩生田氏は総裁選候補の高市早苗・前経済安保担当相の名前を挙げた。 

 

「政治の師匠、安倍晋三元首相が高市氏だと言っていたので間違いない人。それで頼む。(安倍派の)他の人もそれでやるんだ」 

 

 萩生田氏はそう言って、高市氏への投票を求めたという。 

 

■「高市氏なら早期の選挙はない」 

 

 B議員が言う。 

 

「萩生田氏は安倍派の幹部として、裏金の中心にいた人でしょう。そのせいで派閥解消となり、処分まで受けている。それが派閥を復活させるような動きをして、高市氏に票を集めようとしていた。萩生田氏は衆院の解散・総選挙について、『高市氏が総裁になれば早期の選挙はない』との見方をさかんに語ってもいました。裏金議員にとっては選挙が早いほど不利ですから、それで歓心を買おうとしたのでしょう。別の安倍派議員からは萩生田氏が高市氏の『推薦人集めを助けた』とも聞き、言葉がなかった。そのためですかね、高市氏の推薦人は20人中13人が裏金議員で、旧統一教会と関係していた議員は9人もいました」 

 

 萩生田氏に不信感を持ったB議員は、結局、 

「高市氏ではなく、石破氏に投票した」 

 という。 

 

■石破内閣は「数少ないお友達と、やったことない人」 

 

 萩生田氏は10月1日にYouTubeの番組に出演し、 

 

「(石破首相は)高市さんを幹事長にすると思った。そしたら総務会長(を打診)で断ったっていう報道を聞きましたけど、そこは私ね、挙党一致考えるんなら、やっぱり幹事長にお願いするべきだった」 

 

 と語り、できたばかりの石破内閣については、 

 

「やっぱり(石破首相の総裁)選挙の応援した人たちがポジションを取ってるような感じ。(石破首相の)数少ないお友達と、今までやったことない人、みたいな感じがしますね」 

 

 と痛烈な批判を展開した。 

 

 また、安倍派内では「次の会長になったらと言われていた」と大物ぶりもアピールし、自らの裏金事件への関与については、 

 

「5人衆っていうのは安倍さんが亡くなった後、これから派閥どうしようかって閣僚や与党の要職のメンバーで打ち合わせしたのが5人。私は、事務総長やったことないから(パーティー券の)ノルマを決めたこともないし、会場の予約したこともない。そういうこと言うと、反省がないって言われてしまうが、それが事実」 

 

 と反論していた。 

 

 

■情勢調査では野党と接戦 

 

 萩生田氏の発言について先のA市議に聞くと、地元でも同様の発言をしているそうで、 

 

「マスコミに囲まれて非公認について聞かれると、『反省している』『原点に戻って、すがすがしい』と言うのです。けど、格好つけて言っていることが見え見えです」 

 

 今年1月の八王子市長選では、自民党と公明党が推薦、東京維新の会が支援した前都人事委員会事務局局長の初宿(しやけ)和夫氏が約6万3800票を獲得して当選。立憲民主党などが支持した次点の滝田泰彦氏は約5万7200票で、その差は約6600票だった。 

 

 当時、すでに東京地検特捜部が裏金事件の捜査を進めており、初宿氏の当選時に萩生田氏は、 

「胃が痛い思いだった。私がブレーキをかけてしまった」 

 と裏金事件が選挙結果に響いたという認識を述べていた。 

 

 その後、党から役職停止処分を受けながら党都連会長は継続していたが、7月の都議補選で敗退したことで退任に追い込まれた。 

 

 連立与党の公明党は、自民党が非公認とした西村康稔氏(兵庫9区)ら2人を推薦したが、萩生田氏は推薦されなかった。公明党幹部がこう話す。 

 

「萩生田氏は裏金だけではなく、旧統一教会との関係もある。とても推薦は無理でした」 

 

 萩生田氏にとって厳しい選挙戦。自民党の情勢調査では、萩生田氏は野党候補と接戦だったという。 

 

 A市議は言う。 

 

「萩生田氏は事務所開きでは、『教育の充実』という政策を訴えていた。聞いていた有権者は『裏金議員が教育って、子供に何を教えるのか』というような反応でした」 

 

 東京24区では、ほかに参政党の與倉さゆり氏、立憲民主党の有田芳生氏、無所属の畑尻文夫氏、国民民主党の浦川祐輔氏、維新の佐藤由美氏が立候補している。 

 

 ジャーナリストとして、旧統一教会の問題を徹底追及していたことで知られる元参院議員の有田氏は、 

「統一教会の問題、裏金の問題にしても、あった事をなかった事にするわけにはいきません」 

 と萩生田氏への対抗姿勢を明確にしている。 

 

(AERA dot.編集部・今西憲之) 

 

今西憲之 

 

 

 
 

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