( 224219 )  2024/10/20 01:32:46  
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ワクチン製造の国内化が進んでおり、モデルナのCEOは日本の重要性を強調。

湘南アイパークでのワクチン製造を開始し、デュアルユース補助金を活用して有事にも対応可能な施設整備を進めている。

他にもMeiji Seika ファルマも補助金で製造設備を新設している。

経産省は国内のワクチン製造を強化し、輸入依存を脱する方針。

(要約)

( 224221 )  2024/10/20 01:32:46  
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モデルナのステファン・バンセルCEO 

 

新型コロナウイルスが猛威を振るった当初、国内ではワクチンを製造できなかったため、100%輸入に頼る結果となりました。次なるパンデミックに備え、国内でワクチンを製造する動きが始まっています。 

 

 

神奈川・藤沢市にある多くの製薬会社やバイオベンチャーなどが研究拠点を設ける「湘南アイパーク」。17日、新型コロナワクチンの製造で知られるアメリカのバイオ医薬品企業「モデルナ」の経営トップの姿がありました。 

 

「私たちはバイオテクノロジーと製薬の分野でリードしていくために、日本が非常に重要な位置を占めると考えている」(モデルナのステファン・バンセルCEO) 

 

モデルナは湘南アイパークでワクチンの製造を開始すると発表。日本はモデルナのコロナワクチンをこれまで輸入してきましたが、数年後にはそのワクチンが国内で製造可能になります。 

 

「この施設(湘南アイパーク)の中の1区画を使って製造設備を建てていく予定。日本の人口のほとんど全てをカバーできるものを、1年以内に製造することを目指す」(モデルナ・ジャパンの長山和正社長) 

 

平時と有事で2つの異なるワクチンを作ることができるデュアルユース 

 

ワクチンの製造拠点を整備する取り組みは、経産省が約3200億円を投じる「デュアルユース補助金」によるものです。 

 

デュアルユースとは、平時と有事で2つの異なる使い方ができる設備のこと。この施設では、平時はインフルエンザやコロナのワクチンなどを製造しますが、パンデミックなどの有事が起こった際には、新しいワクチンの製造に24時間以内に切り替えられるといいます。 

 

モデルナのバンセルCEOに直接話を聞きました。 

 

「日本にワクチン製造拠点を設立する意味は?」(豊島晋作キャスター) 

 

「私たちは生産技術の規模を拡大し、優れた製品の要素と日本の技術を組み合わせて、世界に向けて発信できる」(バンセルCEO) 

 

日本に注目した背景には、補助金などを通じた日本政府の後押しがあったといいます。 

 

「コロナ前後で日本政府は変わったと思うか?」(豊島キャスター) 

 

「日本政府は国内の大学に素晴らしい科学的知見があることを分かっている。しかし今の日本は科学を製品化できる産学連携の枠組みが十分にないことに気付いた。だから私たちモデルナは製品や雇用の創出だけでなく、その枠組み作りに貢献したい」(バンセルCEO) 

 

 

「Meiji Seika ファルマ」も経産省の補助金により製造設備を新設 

 

経産省のデュアルユース補助金を使ってワクチンの製造拠点を作る企業は他にもあります。少ない成分で効果が長く続くとされるレプリコンワクチンを開発する「Meiji Seika ファルマ」です。レプリコンワクチンは国内で一部製造するものの、輸入する分もあるといいます。補助金を使って製造設備を新設して、供給量を大きく増やしたい考えです。 

 

「レプリコンワクチンの技術はワクチンだけではなく、がんや免疫疾患への治療薬として新たなアプローチになりうる。研究開発の輪を広げて、製剤工場でできるものの価値を最大化したい」(「Meiji Seika ファルマ」の小林大吉郎社長) 

 

一方、補助金を支出する経産省は、コロナ禍でワクチンの多くを輸入に頼った事態を繰り返さないと意気込みます。 

 

「コロナ禍では日本の力が一歩及ばなかった。創薬力を今一度立て直す」(経産省生物化学産業課長の下田裕和さん) 

 

「もし次にパンデミックが起こったときに、全てを輸入に頼る事態にはならない?」(豊島キャスター) 

 

「それは約束したい。まず拠点を日本に造り、日本で製造する」(下田さん) 

 

「厚生労働省だけには任せておけない?」(豊島キャスター) 

 

「今でも厚労省と二人三脚でやっている。政府一体となって取り組んでいきたい」(下田さん) 

 

経産省が進めるワクチン製造拠点は全国で8拠点 

 

こちらの地図で示しているのが、現在経産省が整備を進める新たなワクチンの製造拠点です。全部で8拠点、第一三共や富士フイルム富山化学など、日本の大手メーカーが立ち上げる施設も含まれています。 

 

ただ、こうした拠点でワクチンを作るためには、様々な設備や製品が必要になってきます。しかし、例えばバイオ装置やワクチンを入れる薬瓶なども生産能力が足らず、これまでほとんど外国の製品に頼ってきました。このため設備や製品も国産化しようという動きが徐々に進んでいます。 

 

部材メーカー「ZACROS」はワクチンの製造過程で溶液を入れるビニールバッグを手がけていて、経産省の補助金を使って年内に国内の工場を増設するということです。こうした国内の体制が整えば、かつてのコロナ危機の際のように輸入されるワクチンをただ待つという事態は今後避けられるかもしれません。 

 

※ワールドビジネスサテライト 

 

 

 
 

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