( 225536 ) 2024/10/23 17:16:07 0 00 (c) Adobe Stock
2022年2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻を契機として、世界的にインフレが進んだ。その結果、日本もデフレからインフレに転じている。現金優位のデフレから、モノが優位のインフレに転じたことで、特に資産運用では、単に現金を持つだけでは時間の経過とともにその価値が減少してしまう。デフレが終わり現金優位の時代も終わった、という認識を持った上での行動が求められていると言えるだろう。みんかぶプレミアム特集「資産防衛白書」第3回ーー。
日本経済は長くデフレに苦しめられました。失われた30年はいわばデフレの時代です。しかし2022年2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻を契機に、世界はインフレの時代に突入しています。デフレ脱却のため、あらゆる手段を尽くした日本政府や日本銀行でしたが、結局は海外要因でデフレを脱しインフレの時代に突入しました。
2022年2月のロシアによるウクライナ軍事侵攻を契機に世界的なインフレが進む中、特にアメリカの激しいインフレが注目を集めました。アメリカの都市部でランチを食べると日本円で約4,000円かかる、というニュースを耳にした方も多いのではないでしょうか。
しかし2022年2月を境に、先進国で最も経済環境が変わったのは実は日本です。日本はそれまでデフレに慣れきっていたものの、インフレに転じました。確かにアメリカやイギリスに比べれば、日本はインフレの進み方は緩やかです。しかし英米両国はこれまでデフレではないため、経済環境の変化という点では、日本はより大きな変化を迎えました。
デフレからインフレに変わった、という認識は、今後日本で生活する上で忘れてはならない視点ではないでしょうか。
一生活者の視点で見た時、インフレの特徴は以下の2点となります。
1.物価高
2.現金の価値の減少
それぞれ解説します。
①物価高
多くの方が、インフレ=物価高、というイメージを抱いています。2024年も食料品の値上げが相次いでおり、スーパーなどで買い物をする都度、物価高が身近に感じられます。また日本では一気に値上げが行われるのではなく、時間をかけて徐々に値上げが進展中です。
このため、欧米ではインフレが一段落したものの、まだ日本ではジワジワと物価高が続いています。
②現金の価値の減少
物価が下がるデフレ時代は、現金さえ持っていれば時間の経過とともに資産が増える時代でした。デフレは現金優位の時代です。一方、インフレ時代は物価が上昇します。このため、インフレに転じた現在はモノが優位の時代です。
現金さえ持っていれば資産が増える、というデフレマインドのままでは、知らず知らずのうちに資産を減らすことになるでしょう。当然、現金は生活に必要不可欠です。しかし、インフレに転じると現金の価値は時間の経過とともに減少します。本視点は資産防衛に欠かせません。
デフレ時代は現金さえ持っていれば様々な面で優位に立てました。日本では資産運用の必要性が言われながらも、長らく資産運用が根付きませんでした。これは、デフレのため資産運用せずとも現金を持っていれば資産価値が上がった、という時代背景も影響していたと言えるでしょう。
しかし世界的なインフレ時代となり、日本もデフレからインフレに転じました。現金を保有するだけでは、実質的に資産が目減りする時代が既にスタートしています。日常生活でもデフレ時代に通じた、そのうち値段が下がるだろう、という考えは既に通じません。
人が生きていく上で現金は欠かせません。しかしデフレからインフレに時代が変わる中で、現金の保有が全てを解決する、という時代は終わりを迎えています。デフレの現金至上主義の時代が終わったという認識が、資産運用そして日常生活で必要な時代となったのではないでしょうか。
石井僚一
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