( 227526 ) 2024/10/28 23:53:23 0 00 霞が関の官庁街=東京都千代田区
27日に投開票が行われた衆院選で、自民・公明両党の連立与党は、民主党に政権が交代した平成21年以来、15年ぶりとなる過半数割れとなり、不安定な政権運営を強いられる見通しとなった。東京・霞が関の官僚らからは、政権運営の行方を冷静に受け止める一方で、与党内で決めてきた法案策定のプロセスの変化を懸念する声が上がった。
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■司令塔不明の恐れ
「自公だけでは決められなくなった」。文部科学省幹部からは、ため息も漏れる。幹部の頭によぎるのは、大規模な政策転換を強いられ、混乱が生じた、21年の民主党への政権交代だ。幹部は「あの時とは違うだろうが、政策によっては、どの党の誰が司令塔になるのか分からなくなる恐れもある」と、子育て支援策などの対応を不安視する。
厚生労働省のある幹部は「自公のみの政権が長かったので、意思決定のプロセスは少しずつ変わるのでは」としつつも「影響が出るかは見通せない」と動向を注視する。
石破茂首相が最優先政策に掲げる「防災庁」設置という最重要課題を抱える内閣府防災部門。ある幹部も「衆参がねじれることがあれば10年以上ぶり。うまく対応できるだろうか」と訴える。
能登半島地震の復旧を含め、防災行政の強化については野党側もおおむね賛同しているが、「来年7月の参院選に向けて政権の成果にさせまいとする野党側との間で〝政争の具〟にならないと良いのだが…」とも話す。
■エネ政策に大きな影響も
一方、石破氏が強みを持つ防衛政策では当面、国会での目立った懸案はない。防衛省幹部は「直ちに影響はないが、有事の際には国会の理解が欠かせない。動向に注意していきたい」と語る。
転換期を迎えるエネルギー施策を進める資源エネルギー庁幹部も動向を見守る。
日本のエネルギー政策は、岸田文雄政権下で脱原発から180度大転換し「原発回帰」にかじを切った。29日には東北電力女川原発2号機(宮城県)が再稼働し、12月には中国電力島根原発2号機(島根県)の再稼働も予定されている。
幹部は「主要各党は今後の電力需要拡大を見据え、原発容認の立場だった。今の政策が大きく変わることはないだろう」と前置きした上で「政権の枠組みがどうなるのか。政局を注視しつつ、年度内にまとめるエネルギー基本計画の策定を進めたい」と話す。
首都圏に電力を供給する東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)は、再稼働に向けて地元同意のハードルが残る。東電関係者は「岸田政権は国が前面に立ち、再稼働を後押しするスタンスだった。少数与党になればこれまでとは違った対応になるかもしれない」と本音を漏らした。
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