( 228856 )  2024/11/01 02:44:34  
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Bloomberg 

 

(ブルームバーグ): 自民、国民民主両党は31日、国会内で幹事長・国対委員長が会い、総合経済対策や税制改正で政策協議を開始することで一致した。党首会談を11月9日にも行う方向で調整する。国民が実現を強く求めている基礎控除などの拡大による所得減税の扱いが最大の焦点となりそうだ。 

 

自民の森山裕幹事長と国民の榛葉賀津也幹事長らが国会内で会談後、記者団に明らかにした。森山氏は補正予算、来年度予算、税制を含め、政策を個別分野ごとに協議することで合意したと語った。榛葉氏は案件ごとに与野党と協議するとの方針を伝え、自民側から理解を得たと説明した。首相指名選挙への対応について自民側から具体的な協力要請はなかったという。 

 

国民は衆院選公約で基礎控除など所得税の非課税枠を103万円から178万円への引き上げる減税を掲げた。玉木雄一郎代表は31日、自身のX(旧ツイッター)で「103万円の引き上げができなければ、わが党は予算にも法案にも協力できません」と投稿し、所得減税を重視する姿勢を鮮明にした。 

 

政府・与党は11月11日に特別国会を召集し、同日中に首相指名選挙を実施する方針だ。自民、公明の与党は衆院選で過半数割れしており、今後の国会運営には野党の協力が欠かせない。国民はもともと政策実現に向けた与党との協議に前向きだったが、石破茂首相が早期策定を指示した経済対策や年末の税制改正に向け、早くも揺さぶりをかけた形だ。 

 

所得減税で消費拡大 

 

国民が掲げる基礎控除の拡大を通じた所得減税案を巡っては、他の野党からは所得の高い人ほど減税額が大きくなるとの批判が出ている。 

 

玉木氏は31日午後の会見で、高所得者に高い減税効果があるのは「普段高い税率で税金を払っているからだ」と指摘。手取りの増加率で言うと所得が低い人への恩恵は大きいと述べた。所得減税による消費の拡大で法人や消費税収は増えるのではないかとの見解を示した。 

 

これに先立つXの投稿で、党の減税案について「高所得者に有利なことは最初から分かっている。だからと言ってやらない理由にはならない。基礎控除額に現在のような所得階層ごとの差をつけるかどうかは議論すればよい」とした。 

 

 

林芳正官房長官は同日午前の記者会見で、仮に基礎控除の額を国・地方で75万円ずつ引き上げた場合に「7兆円から8兆円程度の減収」が見込まれるとの試算を明らかにした。一般論として控除拡大により高所得者がより減税の恩恵を受けることも認めた。国民民主の減税案については「個別の政策の取り扱いは各政党間で議論されるべき事柄」と述べるにとどめた。 

 

一方、非課税枠の拡大幅について玉木氏は「100%これを飲まないと1ミリも変えたら駄目だということではない」と述べ、今後の交渉次第で変更を受け入れる可能性も示唆した。 

 

玉木氏は所得税減税のほか、ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除も早期の実現を求めていく構えだ。消費税減税、子育て支援のための教育国債の発行なども今後の政策課題として挙げた。 

 

立民も多数派工作 

 

首相指名選挙を巡っては、自民と立憲民主党による多数派工作が活発化している。立民の野田佳彦代表は30日、維新の馬場伸幸代表、共産党の田村智子委員長と国会内でそれぞれ会談し、2回目の決選投票で自身の名前を記名するよう要請。自民側も、衆院選に無所属で当選した世耕弘成氏ら計6人が同党と同じ会派に入る見通しとなったと共同通信が報じた。 

 

国民の玉木代表は30日、「石破さんに入れるわけにはいかないけれども、勝つ見込みのない野田さんに入れるわけにもいかない」と記者団に明言。同党は同日の執行役員会で、1回目も決選投票も玉木氏の名前を書く方針を確認した。 

 

国民は立民、公明とも11月1日、幹事長らによる会談を開き、今後の国会運営などについて意見交換する見通しだ。 

 

(c)2024 Bloomberg L.P. 

 

Akemi Terukina, Yuki Furukawa 

 

 

 
 

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