( 229026 ) 2024/11/01 16:48:05 0 00 青春18きっぷ(画像:写真AC)
JRが誇るロングセラー商品の「青春18きっぷ」がこの冬にリニューアルされることが発表された。このきっぷは、若者に限らずだれでも、JRの普通列車に丸1日乗り放題が2410円からかなう、お得で自由度の高いきっぷである。
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愛好者が多いだけに、このリニューアルへの反響は大きく、ネット記事には賛否両論のコメントが殺到している。変更点は次のとおりだ。
・自動改札機が利用可能へ ・複数人での利用は不可へ ・連日利用のみ可能へ ・5日間用に加え、3日間用が登場
これまで、青春18きっぷは1日の使い始めにきっぷに日付のスタンプを押してもらい、その後の出入りは窓口で駅員に確認してもらうシステムだった。
大きな駅では、無人の改札口もあるため有人の改札口を探す必要があり、駅員に対応してもらうために順番待ちをするなど、時間と手間がかかっていた。自動改札機導入でだいぶ便利になるし、心理的な負担も減る。
ただそれにより、複数人で
「5日分を分け合う」
といったことができなくなった。
「連日利用のみ」
になったことも使い勝手を悪くさせるといわれている。
それも理解できるのだが、3日間用の登場は“朗報”ではないか。人によっては5日分を持て余してしまうこともあったからだ。
旅情のイメージ(画像:写真AC)
青春18きっぷは、利用時期が春、夏、冬と、学校が休みの時期に設定されてきた。この冬に利用できる期間は2024年12月10日から2025年1月10日までの1か月間である。
社会人になると、なかなか5日間の休みはなかなか取れなくなる。学生も休みの時期といえど、さまざまな予定が入り、連続した日程を確保しづらいものである。
青春18きっぷの旅に憧れていても、5日間というハードルの高さから諦めてしまっていた人もいるだろう。
料金は、5日間用は1万2050円で1日あたり2410円になる。3日間用は1万円で1日あたり3333円だ。3日間用は1日あたりでは
「割高」(38%増)
になるものの、1万円ジャストとなればハードルも下がるものだ。
人によっては1泊旅行に使えるように2日間用の方がよかったと思った人もいるかもしれない。しかし3日間用であることで、毎日移動し、
「青春18きっぷの旅らしさ」
が保てるのではないだろうか。
3日間のプランを考えるうえで大前提になるのは、1日あたり3333円以上の移動をすること。日程が短い分、多少はハードな日程も可能になる。しかし無理しすぎてはいけない。1日だけでも移動距離を短めにするべきだし、観光の時間を多少なりとも確保したい。
青春18きっぷ(画像:写真AC)
具体的な旅行プランを考えてみよう。2024年12月28日(土)を初日として検索してみる。
●例1 東京から温泉スポット2か所をめぐる旅。長野駅、群馬・水上駅が目的地
・7時43分:東京発(中央線快速 高尾行き、八王子経由) ・9時1分:高尾着(トイレ休憩) ・9時17分:高尾発(中央本線 甲府行き) ・10時55分:甲府着 ・10時58分:甲府発(甲府本線 松本行き) ・12時54分:松本着(ランチ休憩) ・14時30分:松本発(篠ノ井線 長野行き) ・15時49分:長野着
・距離:298.1km ・運賃:通常5170円
初日だけ例としてタイムスケジュールを載せてみた。
2日目は長野から群馬の水上へ449km、通常7480円の移動をする。例えば8時15分に出発し、乗り換え5回、休憩少なめで17時39分に到着する。一度東京都内に戻りそこから向かうという、定額チケットでもないとやらないシュールさもあるコースだ。
3日目は東京に戻る日で。移動は少な目に。水上から高崎を経由して東京へそのまま戻ると3時間半弱の所要時間で164.1km、3080円だが、例えば、高崎から2駅の新町駅のガトーフェスタハラダで無料の工場見学をする、
その後高崎で下車してランチしてから帰ると3390円の運賃になって元が取れる。さらに夕飯は都内の好きなJR駅下車で夕飯を食べてから帰宅すればなおよし。通常なら1万6040円ほどの運賃が、1万円で済む。
●例2 京都、大阪、名古屋をそれぞれ少しずつ観光する旅
1日目は東京から京都へ。7時1分に出発し、あまり休憩なく乗り継いでいくと、15時43分と、日没前に京都に着く。513.6km、8360円の移動だ。
2日目は大阪に行き、観光したあとに名古屋に向かうと、トータルで3時間半ほど、約233km、3990円の移動になる。
3日目は名古屋から東京まで、6時間強で366km、6380円。途中、乗り換えポイントの熱海に途中下車し、温泉や海の幸で移動疲れを癒やすのも一案だ。通常なら1万8730円ほどの運賃が、1万円で済む。
『ジョルダン乗り換え案内』には青春18きっぷ用の検索機能が付いている。ヘッダーの「乗り換え案内」から選択できる。
旅情のイメージ(画像:写真AC)
今回は、仕事納めをした翌日から、年末にかけての3日間をリフレッシュするような旅プランを紹介した。
前年の例からすると、冬季や夏季の青春18きっぷ利用期間には、3連休も含まれる。1日だけ有休を取って、通常の週末に付けるのもいい。
5日間の旅に比べたら、目的地が近場になる分、
「気軽さ」
がある。車窓を楽しみつつ、観光にも時間を持ちつつ、リラックスした旅程を組み立てやすい。このように、3日間の旅は、5日間に比べて気軽に実現しやすい。3日間ならば、移動が長い日でも、途中下車で
「ちょい寄り」
する気になる。シンプルなスケジュールになりがちな最終日もつぶすことなく、お楽しみを用意しやすくなる。また2日間の旅では線になるところ、3日間の旅では
「面」
になって、一気に広がりが出るのではないか。
賛否があるのはわかるが、まずは3日間用をトライしてみてはいかがだろうか。
古宮宗(フリーライター)
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